テラーノベル
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この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません
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目黒side
『恋人の特権って何だと思う?』
「…え、何哲学?めめそう言うのに目覚めたの?」
『いや別に、なんか急に思ったんだよね』
実を言うと急にって訳じゃない。この間岩本くんが「ふっか抱き締めて良いのは俺だけだから。」って言ってたのを聞いて、ラウールもそういうこと思うのかなとかそれって恋人の特権ってやつなのかなとか色々考えた末のこの質問。
「うーん…なんだろうねぇ。心理的なのもあれば身体的なのもあるだろうし」
『…と言うと?』
「例えばね…ちょっとめめこれ見て」
手招きされたから彼の横へ行くと見せられたのは彼のホーム画面。そこには何故か康二の写真が。え、なんで?そこに一人だけで写ってる人間の写真使うならまあ無難に家族か俺でしょ。メンバー使うにしてもみんなで撮ったやつでよくない?わざわざ康二にする必要なんて…
「…っふ、顔出すぎ」
『え?』
「俺のホーム画面見てどう思った?」
正直に言ってしまって良いんだろうか。こんなことで嫉妬するような器の小さい男だと思われるのは嫌だ。けど、それ以上にこの写真のが待ち受けにされてる方が嫌かもしれない。何笑ってんだよ、良い笑顔だな
『俺じゃないんだー…って』
「じゃあこれどうして欲しい?」
『…変えて欲しい。絶対俺にしろとまでは言わないけど、単発でメンバーとかは嫌、かも』
「はい、これが心理的な特権ね」
『…?え、どういうこと?』
パッと笑顔になったラウールはスマホのバックキーを押した。スッと画面が切り替わって、出てきたのは俺の寝顔。何、どういうこと?てかちょっと口開いてるし。恥ず
「誤解されたくないから先に言っとくけど、俺の元の画面はこれね」
『え康二は?』
「あれテキトーに出したやつだよ、グルラで回ってきてたやつ」
『えぇ……。で、それが特権とどう繋がるの?』
「ただの友達からさ、嫉妬したから画面変えて!って言われても俺絶対変えないのね。それが通るのは、やだって言ったのがめめだから。…っとまあこんなざっくりした説明で通じるかな笑」
『…なるほど』
頭の中で言葉を咀嚼して反芻して、自分の中に落とし込むと思わず頬が緩む。我ながら単純だな、こんなことで直ぐに機嫌が直るだなんて
「んでもう一つの方、身体的な特権。これはねぇ、他の人がどう足掻いても出来ないことが1個だけあるのよ」
『そんなのある?笑』
「はい立って!」
突然立たされて何故か二人で向き合う。何この時間。不思議に思いながら顔を上げて彼を見上げると優しく頭を撫でられた。…そういえばラウール以外に頭撫でられたことあんまないかも
「頭撫でれるんだよね、俺だけめめよりおっきいから」
『確かに。…ん?でも他のメンバーとかも手は届く人が殆どじゃない?』
「そう。だからこれじゃないんだよね、俺の特権は。これじゃなくて、こっち」
その辺に置いてあったスマホを手に取ったかと思うと、直後にシャッター音が鳴った。撮られた?いやいや写真撮るの絶対今じゃないじゃん
「見て、可愛いでしょ俺の恋人」
『いや可愛いでしょって…俺だし』
「俺だけが見られるめめの上目遣い」
『…あ、確かに』
改めて写真をまじまじと見てみると、普段はあまり見ない自分自身の上目遣い。ラウールからはこう見えてるんだなと思うと今さらだけどなんか可愛い子ぶってるみたいで恥ずかしかった。
「これが俺だけの特権。んでね、めめが使える特権はこれ」
ふわっと彼の匂いに包まれたかと思うと、それはただ抱き締められているだけだった。暖かくて心地良い俺だけの特等席
「いつでも俺のこと抱き締めていいよの権利」
『…もう1個追加しといて』
「もう1個特権欲しいの?欲張りだなぁ……。?!ぇ、」
普段は絶対しないけれど、今なら甘えられる気がして軽くキスをした。このビックリ顔を見れるのも、勝手にキスして怒られないのも俺だけ。やっぱり彼の特別は俺じゃないと嫌だな、なんて。特権は1つじゃ足りない
『ハグだけじゃ物足りないでしょ』
「…そうだね、これも恋人だけの特権だ」
もう一度彼の唇に触れたくて目を瞑ると、直ぐに柔い感触がした。
コメント
17件
きゅん😳🫶🏻

ちょーーっとだけ賢そうなこと言って 🖤を振り回してる感じが好きです
うっっわぁお、らぶ……(?)