わたしの平凡でしあわせな高校生活。
異変が訪れたのは、2年生の中間ごろ。
「ねえ!瀬名くんっ」
「ん?どーしたそんな慌てて。白山サン」
「紫苑くんいない??」
「え、紫苑?」
「うん。今日どこにもいなくて」
「あー、え、んー、しらねーの?白山サン」
「え、なにが?なんかあったの?」
なんだか嫌な予感がした。気がした。
「紫苑さ、昨日事故にあって病院。いる。」
「…え、!?うそ!?なにそれ。」
「やっぱしらなかったのか。まあクラスもちがうしな。知らされたりとかもないよな。」
「紫苑くんだいじょーぶなの?」
「あー、それがさ。」
なに。めっちゃ目泳ぐじゃん。瀬名くん。
紫苑くんに何もありませんよーに。
私は願った。
しかし、 現実は悪い方に進む。
「まだ、目、覚ましてねえって。」
「え、」
めまいがした。
急に視界が真っ暗になる。
紫苑くんは昨日まで笑ってた。
わたしと話しながら。
なんでわたしは知らないの。
紫苑くんは大事な…、
大事な、なに?
恋人でもないし、友達かって言われる
と、違う気もする。じゃあなに。なんな
の。考えてもわからない。
気がついたら走ってた。
必死に走ってた。
瀬名くんに病院きいて、早退した。
汗がすごい。
息もあがってる。
むせながら、走る。
とまれない。
とまっちゃだめだ。
「い、った。」
石につまづいてこけた。
「なにやってんだろ、笑笑」
自分がださくて仕方なかった。
無力な自分がつらかった。
母も、紫苑くんも。
大事な人をたすけられない。
どこまでだめな人間なんだろ。わたし。
「はぁ、はぁ、っ、ぅ、っ」
病院についた。紫苑くん何号室だろ。
「あ、のっ。紫苑くんってどこに、っ、?」
「し、おんくん、?^^」
「あ、えと、七瀬紫苑くんです、」
七瀬紫苑(ナナセシオン)
苗字で呼ばないから慣れないなあ。
「あー、えっと、どちら様でしょうか。」
「あ、同じ学校の!同級生なんですけど。」
「おともだちさんですね。お名前は?」
「白山ゆりです。17さい。」
「白山ゆりさんですね。ちょっと聞いてみます。あそこの席でお待ちください^^」
「あ、はいっ。」
不安だった。
紫苑くんまでいなくなったら。
どうしよう。
不安で仕方なかった。
「白山ゆりさーん。」
「あ、はいっ!」
「おともだちだって確認取れたので、えっと、」
「はいっ。」
「七瀬紫苑さんの部屋は102号室です。」
「あ、ありがとうございますっ!!」
病院内はさすがに走らなかった。
でも急いだ。とてつもなく急いだ。
「ここ、か。102号室って」
七瀬紫苑様と書かれた札を見つける。
「あってる。」
コンコンッ
ノックをしてドアをスライドさせる。
「しお、んっ、しおん、起きて、」
「あ、失礼します。」
「っ、ゆ、りちゃっ、ん、」
「茜さん。お久しぶりです。」
七瀬茜(ナナセアカネ)さん。
紫苑くんのお姉さんだ。
5つ年上の22歳の。
「紫苑くん。まだ起きてないんですか。」
「うん、っ、一度も目を覚まさなくって、」
紫苑くんがベットに横たわっている。
身体中あちこちに包帯を巻かれて。
痛そう。つらいだろうなあ。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝
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