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【zm em中心】
⚠1話を読んだ方のみお読みください
⚠この作品には以下の描写が含まれます
(暴力、欠損、異状性癖、流血表現)
今回の作品は【★★★☆】となっています
⚠エロほぼ無しグロ要素かなり有⚠
⚠完全自己責任でご覧下さい⚠
エーミールが拉致られた
非公認の裏宗教団体にだ
その報告を受けて救助に向かったのはゾム、拉致られて行方不明になってから3日後、エーミールはゾムに抱えられて帰ってきた
「ゾム!エーミールはどうなッ………て……」
ツンと鼻に刺激が来る血の匂い
抱えられたエーミールの両足からは血が流れ出て
ボサボサになった髪の間から見える左目は
…無い
ヒュッと息が喉を通る
後ろから聞こえたシャオロンの微かな叫び声
コネシマは担架としんぺい神を、と叫ぶ
その後しんぺい神によってエーミールは医務室へと運ばれた、その間ずっとゾムは虚ろな目をして血だらけな服も着替えずエーミール、とボヤいていた
「エミさん、仕事やで」
拉致られ、大怪我を負い帰ってきて数ヶ月後、エーミールは参謀の仕事を難なくこなせる程には回復していた
ただ、
拉致られた際に切られた足の腱と、なんの目的があってかは分からないが抉られた左目は、エーミールに身体的な深い傷を与えたと共にエーミールを取り巻く人達にも影響を与えた
特に…緑の彼は以前よりもエーミールにベッタリになってしまった
「ゾムさん、ありがとうございます」
「こっちがトントンからの引き継ぎで、こっちが報告書、んでこれが過去の戦争記録やね」
目の前に積み重ねられていくファイルや書類の山
ふぅ、と一息置いてそれらに取り掛かる
予算表に火気系兵器取り扱い申請書
最新型の銃器導入確認書
新人二人の初潜入任務の報告書や天の彼の休暇申請書などに目を通し確認済みの印を押す
重要ファイルに挟まれた現在行われている戦争の報告書達は通常より内容を頭に叩き込む
ここで確認漏れが1つでもあれば何万人、何十万人という死者が出る
過去の戦争資料も再度読み漁り半日分の前線計画を練り上げる頃には外は暗く、星が見えてくる頃だった
「エミさん、しゅーりょ、」
「はい…でも、もうちょっと……」
「エミさん?しゅーりょーやで?」
「……はい、」
いつも通り作業を止めると緑の彼は私を抱える
足の腱を切られ歩けなくなり、左目を抉られ視界が狭まった今の状態ではまともに施設内を移動することも出来ずゾムさんに色々と世話を頼んでしまっている
ベッドへ座らされプラプラと投げ出された足にゾムさんは表情を変えずに触れると包帯を新しいものに変えた
ふと、窓から外を見ると窓から蝶が入ってくる
蝶はフラフラと揺れながら飛び、窓辺の隅にいつの間にかできていた蜘蛛の巣へと絡まってしまった
蝶に蜘蛛が近寄ってくる
私は目を伏せ、その光景を見ないようにした
見たく、無かった
ゾムさんに夕食はいるかと聞かれたからお腹が減っていないから大丈夫だと答えると彼は少し困った表情をしながら分かった、と頷いた
寝間着へと着替え、毛布をかぶる
ゾムさんは私の瞼が閉じ、呼吸が安定したころ部屋を出た
何度も夢に見る、あの日の事、
街を歩き、本屋に寄り道した
甘党の旧友である 総統や外交官の彼と茶会をする為にちょっとした菓子と茶葉を買った
あぁ、書記官の彼は羽根ペン用のインクが減ってきたと嘆いていたから調達しておこう、
給湯室の珈琲はまだあっただろうか、無くなれば誰かがまた買い出しに行く羽目になるだろう
……ふむ、
随分と買いすぎてしまったかもしれない
「早く帰らないとですね……」
購入品をまとめて、バイクに跨る
ガンッ
後頭部に響く鈍い重い音、視界がぐわりと動き思わず倒れ込むと意識を手放してしまった
再度目を開けた景色はあまりいい景色とは言えなかった
コンクリートの床に無駄に豪華な椅子、天井に付けられた照明は私を照らしている
目を開いた瞬間は、その眩しい光で目を閉じてしまい周りが見えなかった
「このお方が……」
「素晴らしい」
「あの髪、目、お告げのとおりだ」
「やはり我が主は実在したのだ」
「あぁ、信じ続けた我々は正しかったのだ」
意味は分かるが理解し難い言葉が飛び交う
光に慣れ、恐る恐る目を開くとそこには白いローブを着た大勢の人が私を囲うように居た
ヒュッと恐怖や驚きから息を吸うと喉がなる
その集団から1名、無駄に豪華に飾られた椅子に座らされていた私の前に跪く
「あぁ、我が主の器よ、我々に幸を与えください……」
意味が分からない、
主?器?
この人達はなんなのか、何が目的なのか
この話し方からこの人達は何かの宗教の教徒か?だとしたらなぜ私が……
まてよ?
もしや過去にとある事件が国外であったな
アルビノ連続誘拐事件…だったか?
身体の色素がほとんどなく、髪や目、体毛などが真っ白な人達が次々と姿を消したという事件、
誘拐ということが分かったのは監視カメラに白いローブを着た人間が映っていたからだ
……だとすればこの状況はまずい
誘拐された人達は誰一人として戻っては来なかった、
逃げ出さなければ、
幸い、靴の隠し小型ナイフは取られていない、足のロープを切るくらいならできるだろう
その瞬間、教団員と思われる背後の誰かから口と鼻を湿った布で覆われた
咄嗟のことで反応することが出来ずそのまま意識を手放してしまう、その瞬間、ローブを着た人達がどよめいたように感じた
意識がはっきりとした頃、視界を何か布のようなものが覆っていた。相変わらずローブの集団と思われる声は聞こえ続ける
足が触れられた。小形のナイフを取られてしまうと咄嗟に、触るなと叫ぶと腹に強い衝撃が走った
「っ……おぇ…」
革靴では無い、厚いブーツに蹴られたようで思わず胃液がのぼってくる
再び脚に触れられると明らかにナイフを触っているはずなのにそれを回収しようとしない
何故だ、と思いながらも荒い息を整えているといきなり触れられていたほうの足に激痛が走った
腱を切られたのか足首から先がまともに動かない
目隠しのせいで何も見えず歯を食いしばって耐えることしか出来なかった
「ッ…ぁ゛あ゛ッ」
その声を聞いたのか、一瞬触れていた手がピクリと反応した
その手がもう片方の足に触れ、シュッと刃の音を立て腱を切る
傷口が熱く、血液が流れ出ていくのが分かる
痛みに声を、表情を歪めながらそれを耐え続けた
ボタボタと垂れる血液が器のような物に入れられているのか気分の悪い水音が聞こえてくる
「おぉ……これが…」
再び聞こえてくる気味の悪い声
何がそんなに良いのか、理解しかねるその言動はこちらまでもオカシクしてしまいそうだった。
出血が多く耳鳴りや目眩がしてきた頃、ブーツの足音が背後に向かって歩いて来た。それと同時に目にかけられた布が解かれる
「あぁ……主よ…最後の仕上げです。どうか、耐えてください…」
気味の悪い声が響く
いきなり照明の眩しい光に目を細めていると1人のローブを着た体格から見て男と思われる人物がいきなり私の左目の瞼を開かせると鉄の器具のようなもので迫ってきた。
恐怖にカチカチと歯の震える音が響き、聞こえる
どうにか抵抗しようと両手を動かそうとするも縄はギシギシと音を立てさらに引き締めるのみ、足のナイフで足元の縄を切ろうとするもアキレス腱を切られたせいでろくに足が動かない
どうしようも無い
怖い
恐い
コワイ
「たすけてッ…」
ようやく絞り出したのはここに居ない翡翠の瞳の彼に乞う助けを求める言葉だった
私のその声が響いた瞬間、左目に器具が押し当てられ、激痛と血管や神経の切れる音がする
ブチブチと頭に響くその音には不快感しかない、それと共に訪れる感じたことの無い激痛は言葉にならず叫び声と嗚咽として口から吐き出された
案外ソレは早く終わり、痛みに左目には生理的な涙は流れず、遠のく意識の中で絶望を感じられずにはいられなかった
「……ッはぁッ、はぁッ。」
「…エミさん、大丈夫?」
ベットの横に置いてある椅子に座ってこちらを眺める翡翠の瞳の彼
彼は濡らしたタオルと適当なスウェットを持ってくるとその濡らしたタオルで私の額を軽く拭った
「汗、凄いで…またあの夢見たん?」
「……ありがとうございます…はい、そうですね…また……あの日の…」
背をさすられ荒くなった呼吸を整えると冷や汗を全身にかき、ぐっしょりとなっていたのを実感した
そんな私を彼は慣れたように毛布から出すと服を脱がせ、全身を濡らしたタオルで拭く
スウェットを着せ、そばにある机から櫛を取ると撫でるように髪をとかし始める
「エミさんの髪は綺麗やな…」
「…そうですか?……ふふ、ありがとうございます」
他の幹部からは着せ替え人形、や、されるがままやな、と揶揄されるがこれは彼が考えた私が落ち着く方法なんだと最近分かってきた
彼は私の髪、目元、足に触れている時に安心するようで旧友である我らが総統からは1度失いかけたものが戻ってきた感覚なんだろうすぐにいつも通りになる、と言われた
「ありがとうございます、ゾムさん、落ち着きました」
「ほんま?」
「えぇ、」
「んふふ、よかったぁ」
もう朝の5時と二度寝するには遅い時間だ、良ければ、もう少し話したい
その意図を彼に伝えればぱあっと顔が明るくなり、立ち上がろうとした椅子に再び座る
「な、何話す?俺な、エミさんの話聞きたいねん」
キラキラとその翡翠の瞳を輝かし、私を見つめるその姿は過去に田舎の大学や孤児院で教師をしていた頃を思い出す
「ふふ、そうですねぇ…」
その時、彼の頬が妙に膨らんでいた
「ん?飴玉か何か食べているんですか?」
「せーかい!白っぽい色の甘〜いやつ!」
「へぇ、いいですね!」
「エミさんも食べる?」
彼の言葉に喜んで返事をすると彼は両手で私の頬を両側から覆い、口を開かせると口の中の飴玉を口移しした
驚いたような困惑するような顔で彼を見上げると彼はその特徴的なギザ歯を見せながら笑っていた
「味わってぇや」
彼の言葉に舌を動かしその飴玉を舐めると異様に大きく、味がしないことに気づいた
「なんですか……これ…… 」
そう問うと彼は私の口の中から飴玉を指で取り出すと見せつけるように目の前に持ってきた
絶句
驚きと困惑、そして混乱が入り乱れる
その飴玉は私の今は無い左目だった
「なん…で…それ……」
「綺麗な飴玉やろ?白っぽくて、甘いんよ」
今まで一度も恐怖を抱いたことの無い彼のその笑みに怯えた
彼の口からツラツラと信じたくない事、信じられない事が話される
私の足の腱を切ったのも 左目を抉ったのもゾムさんだった、と
宗教団体に拉致され、そこに助けに行ったのは自分だけ、という状況を利用した、と
そして、
私の事を好いている、と
「……嘘…」
「嘘やない、ほんまやで。なぁエミさん、今のエミさん、すっごい綺麗やで」
彼はうっとりとしたような表情で私の頬を両手で覆いか、恐怖を覚えたような表情の私を見つめると徐々に口角が上がっていった
“アクロトモフィリア”
性的嗜好の1つで欠損に対する性嗜好
本で知識として知ってはいたがまさか自分がその性的嗜好の対象となるとは思えなかった
混乱する頭を何とか冷静にし、ゾムさんの口からツラツラと語られる言葉に耳を向ける
「俺な、昔っからこうなんよ…砕けた骨とか、引きちぎられた手足とか……」
「最近は任務なかったし…戦争も俺、待機命令出されとったし、どーしても我慢できんかったんよ…」
「本当は腕とか足も切り落としたかったけど…そんな事したらエミさんから嫌われるやん?」
「俺エミさんだーい好きやもん、俺の事異常者って言わんかったし、何でも認めてくれたやん?」
相棒だと言ってくれたその声で、口で、ゾムさんは私に今、何を求めるのだろう
「なぁ、エミさん」
「ずぅっと一緒にいてな」
あぁ、
蝶は1度蜘蛛の巣にかかればもう逃げ出すことは出来ないんだな
ゾムさんという蜘蛛に捕まり、巣にかけられ、気分で食される
私は、そんな哀れな蝶だったのか
全5000文字
徐々に文字数が増えてる気がする……
完全自己満作品なので更新は遅くなりそうです
コメント、リクエストいつでも大歓迎です
ありがとうございました、また次回