「ぶっちゃけるぅちゃんのこと好きでしょ」
ふとしたお兄ちゃんの言葉に飲んでいたココアを吹きかけて、盛大に咽せた
危うく目の前にある夏休みの課題がココアで染まるところだった
汚いなぁ、とティッシュを渡してきたお兄ちゃんに誰の所為じゃ、と思いながら受け取り口を拭く
「げほっげほ、え”っほ…ごほっ…ん”ん、…なに、急に…」
「図星?」
両手で頬杖をついて聞いて来るお兄ちゃんはなんだか面白いものを見る様な目で僕を見てきた
「………」
ふい、と顔を背けるとお兄ちゃんはにまぁっと口角を上げ
「まー良いけど」
頬杖をやめて1つ伸びをして言った
その言葉に僕は呆然として口をぽかっと開ける
「………え、は…怒んないの」
「別に怒んないよ。怒ったら俺はもっと怒られるべきだからね」
お兄ちゃんは笑い、自分のカップに口をつけてココアを飲む
「……………ん?」
「てか好きなんだ?」
「……っ!!」
カァッと頬を熱くさせ、眉を顰めた
「分っかりやすいなぁ(笑)ころんのそういう素直な所好きだよ」
「で?なんか言い訳ないの」
机に肘をかけて満面の笑みを浮かべるお兄ちゃんを顔を赤くしながら軽く睨む
「…言い訳って、なんの」
「俺の弟を好きになった事へと言い訳だよ」
他に何があるんだよ、とお兄ちゃんはプンプンと頬を膨らました
いや、わかんねぇよ
「はぁ?!なんっ…ななっ、」
「露骨か」
戸惑う僕にお兄ちゃんはケラケラと楽しそうに大きく口を開けて笑う
そんな様子に僕はより頬に熱がこもった
「…べつに、ぼく…は」
「うん?」
「その、……だからぁ、…あ…」
「…ふ、はは…あははっ」
「〜〜っ!何笑ってんの!」
「あは、はぁ…いやぁ?可愛いなって思っただけだよ」
「ま、言い訳が思いつかないなら、るぅちゃんはまだ俺のだ」
にっしし、と嬉しそうに破顔させて笑うお兄ちゃんはいつもと違って子供のように見えた
「なっ…だったらさと兄は僕のだもん!」
咄嗟に頭に浮かんだ存在を口にすればお兄ちゃんは一瞬目を少しだけ見開いたがすぐに笑顔になった
「残念でしたぁ。さとちゃんはもう俺のものでーす」
「うぅ…ぐぬぬ……はぁ、もう全部お兄ちゃんのじゃん…」
人差し指を立てて自慢げに言うお兄ちゃんに僕は頬を膨らませるとお兄ちゃんは僕を見て微笑んだ
「うん、そうだよ。ジェルもなーくんも、もちろんころちゃんだって俺のだよ」
「だからるぅとくんにもころちゃんを容易くあげる気はないよ」
その笑顔がなんかムカついてなにそれ、わがまま!とイタズラに抱きつけばわしゃわしゃと頭をかき乱された
「……ん?るぅとくんにも僕をあげる気はないってどういう…」
そこまで言うとお兄ちゃんはパンッと思いっきり手を叩いて立ち上がった
「さぁ買い出しの時間だ。お喋りはここまで」
「今日の夕飯は何にしようかなぁ」
誤魔化すように鼻歌を歌い、リビングを後にしたお兄ちゃんの後ろ姿をただ見つめて、のちに顔はみるみると赤くなっていった
「ふー、危ない危ない」
パタンと閉じた扉に寄りかかり、一つ汗を垂らして笑う
昔からるぅとくんは俺にべったりな子で、ころちゃんもなんだかんだ俺にくっ付いてくる子で
兄として2人はとても大切で可愛い子なのだから
そんな揚々と他所にやるなんて事は出来やしない
「俺の弟だもん。お兄ちゃんの壁は高く厳しいぞー」
兄離れは、寂しいものなんだから
「なぁにやってんの」
ふと、現れた2つ下の弟
「あれ、部活は?」
鞄を肩に背負い、ポケットに手を入れて歩いて来る弟のさとみは優雅に微笑んで俺の前に立った
「いやぁ先生が今日休みでさ」
「サボったんだ」
困ったもんだよほんと、と両手をあげて肩をすくめるさとみの嘘をすぱっと切り捨てれば素直に頷く
「買い物?一緒に行くよ。ちょっと待ってて」
「大丈夫だよ。そんな買う物ないし」
自室に行こうとするのを止めるとさとみは振り返り俺の頭を撫でた
「いいから」
そう言って微笑めば再び歩き始めて階段を登って行ってしまった
「………急な笑顔は、心臓に悪いかも」
かぁ、と熱を持ち始めた頬に俺はため息を付いて隠すように掌で覆った
~ THE END ~
コメント
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