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「ロー! 何で自分の心臓を渡したんだ!? シーザーの要求は、俺の心臓だっただろ! 俺の心臓で済むのなら、それでよかったはずだ!」
「……」
「ロー!!」
ローは何も答えなかった。ただ、前を見据えたまま歩いていくだけだ。俺は深くため息を吐く。
「お前が俺を大切に思ってくれてることはわかってるし、正直言って嬉しいよ。でもさ、俺はそんなに頼りないか? 俺の心臓じゃ、契約の材料にならないのか?」
「違う。そういうことじゃない」
「じゃあ、どうして自分の心臓を差し出した?」
「……」
「まただんまりか。……いいよ、わかった。もう何も聞かねえ。その代わり、俺はお前のこと全力で守るからな。俺はお前の部下じゃない。友人だ。全部の命令に従う気はないからな」
ローの腕を掴んで言い放つと、ローは少しだけ不機嫌そうな顔をしてから、諦めたように小さく呟いた。
――ああ……。
「はぁ。つーか俺たちってどこで寝泊まりすりゃいいんだ?」
「空室を使えって言ってただろ。聞いてなかったのか?」
「……えへ」
ローがわざわざ自分の心臓を差し出すリスクを回避できるはずだったのに、それをしなかったのは何故なのかを考えてたら、いつの間にか聞き逃していたらしい。呆れたような顔でこちらを見るローを見て、俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。
シーザーの部屋を出て、階段を上がる。すると、そこには部屋がいくつか並んでいて、その中のひとつを指差した。部屋の中は広く、ベッドと机があるだけのシンプルな作りだ。
「俺とお前で一部屋?」
「一応隣の部屋も空室らしい。……嫌ならそっちに行け」
「んー……いや、同じ部屋にしとくかな。1人でいるのなんかこえーし。あ、ベッドどうする?」
「一緒に寝れば問題ねえだろ」
「…………いっしょ?」
一瞬思考が停止して固まってしまったが、ハッとしてブンブンとかぶりを振る。
確かに、ここに来るまでは狭い船の中で雑魚寝とかしてたけど、さすがに同じベッドで寝るのはどうなん!?
「ソファあるし、俺そっちで寝るよ。いくら俺とお前の仲が良いとはいえ、男と添い寝は嫌だろ?」
俺がそう言うと、ローは不愉快そうに眉間のシワを深めて、舌打ちをした。なんで?
「順番に使ってこう。今日はお前がベッドで俺がソファ。それでいいか?」
「……あぁ」
「OK、そんじゃあ早速研究所内と外を散策でもするか」
こうして、俺とローのパンクハザードでの生活が始まったのだった。