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帰ってからも、全然落ち着かない。
ベッドに寝転がって、スマホを見る。
そうたとのトーク画面。
最後のメッセージは、昨日の。
『ちゃんと話したい』
それを見てるだけで、胸がざわつく。
🐧「……なんなんだよ」
期待するな。 そう思うのに。
あんなこと言われたら、無理だろ。
『それだけなのかな』
その一言を、何回も思い返してしまう。
⸻
次の日。
教室に入ると、そうたがいた。
目が合う。
前までなら普通に手を振ってきたのに、 今日は少しだけ迷ったあと、近づいてきた。
🐬「おはよ」
🐧「……おはよ」
ぎこちない。
お互い分かってる。
でも、 前みたいに完全に避けられてるわけじゃない。
それだけで、少し安心してる自分がいた。
👧「そうたー!」
教室の後ろから声が飛ぶ。
彼女だった。
🐬「あ、ごめん」
そうたがそっちを見る。
その瞬間、 胸の奥が、ズキッと痛んだ。
……当たり前だ。
忘れんな。
そうたには彼女がいる。
勝手に期待して 勝手に苦しくなってるだけ。
🐧「……っ」
視線を逸らす。
すると。
🐬「今日、昼一緒食わね?」
突然そうたが言った。
思わず顔を上げる。
👧「え?」
って顔をしたのは、彼女も同じだった。
🐧「……いや」
断ろうとする。
でも。
🐬「だめ?」
その言い方が、ずるい。
昔と同じ声。
昔と同じ顔。
断れるわけない。
🐧「……少しだけなら」
そう答えると、そうたが少し笑った。
その笑顔に、胸が苦しくなる。
⸻
昼休み。
屋上前の階段。
前によく二人でいた場所。
懐かしい空気に、少しだけ心が揺れる。
🐬「ここ来んの久々だな」
🐧「……そうだな」
沈黙。
でも、不思議と嫌じゃない。
前までの苦しい沈黙とは違った。
🐬「なあ」
そうたが、ぽつりと口を開く。
🐬「俺さ、最近変なんだよ」
心臓が跳ねる。
🐬「彼女といても」
🐬「気づいたら、お前のこと考えてる」
息が止まりそうになる。
🐧「……そんなの」
やめろ。
言うな。
🐬「昨日も」
そうたは続ける。
🐬「お前が他のやつと話してんの見て」
🐬「なんかイラついた」
……え。
🐬「意味わかんなくて」
🐬「俺、彼女いるのに」
困ったみたいに笑う。
その顔が、本気で悩んでるように見えて 余計に苦しくなる。
🐧「……やめろよ」
思わず呟く。
🐬「は?」
🐧「そんなこと言うな」
期待するだろ。
また。
🐧「俺、忘れようとしてんのに」
声が少し震える。
🐧「お前がそんなこと言ったら」
無理になる。
全部。
そうたが黙る。
真っ直ぐ、こっちを見てる。
逃げたくなるくらい。
🐬「……ごめん」
小さく言う。
でも、その顔は苦しそうで。
🐬「でも、ほんとなんだよ」
低い声。
嘘じゃないって分かる声。
🐬「前までこんなじゃなかった」
🐬「まなとが離れてくって思った瞬間」
🐬「なんか、めちゃくちゃ怖くなった」
その言葉に、胸が締めつけられる。
🐬「で、気づいたら」
🐬「お前ばっか見てる」
もうやめてくれ。
そんな目で見るな。
そんな風に言うな。
🐧「……知らねえよ」
限界だった。
立ち上がる。
🐧「俺、帰る」
🐬「まなと!」
腕を掴まれる。
ビクッと肩が揺れる。
近い。
昔みたいに近いのに、 もう前とは違う。
🐬「逃げんな」
真っ直ぐな声。
🐧「逃げてんのはお前だろ」
気づけば、そう返していた。
そうたの目が揺れる。
🐧「彼女いるくせに」
🐧「中途半端なことばっか言って」
🐧「俺にどうしてほしいんだよ」
声が震える。
怒りなのか、悲しみなのか、自分でも分からない。
🐬「……それ、は」
そうたが言葉に詰まる。
ほらな。 結局、答えなんか出てない。
🐧「俺、そうたの都合いい場所には戻れない」
強く言う。 傷つかないために。
これ以上期待しないために。
でも。
そうたは、腕を離さなかった。
🐬「……都合いいとかじゃねえよ」
低い声。
🐬「俺、ちゃんと考えたい」
真剣な目。 逃げてない目。
その視線が、苦しい。
🐬「まなとのこと」
その言葉に また、心が揺れてしまった。