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これは私が経験したきっと最初で最後のお話
今にも焼けて溶けてしまいそうなほど暑い夏の日。私は独り見慣れた景色の続く道を塩っぱい涙を流しながら歩く。泣け無しのお金で買った煙草を1本。何時から吸うようになったのか覚えていないがなんとなく、何かがあったのだろう。思い出すのはまだまだ先になりそうだ。
先程手に取った煙草を口に咥え、ライターの音を響かせる。
『カチッ』
雨だからだろうか。中々火がつかない。少しの苛立ちを覚えながらどうにか火をつけることができた。
「今日は冴えてないなあ。」
煙草の煙を吐き捨てながらそうポツリと呟く。
突然背後から声がした。
「なあ!そこのお前!」
「・・・。」
「おい! 聞こえてんだろ、無視すんな」
声のする方へ振り向けば見た事のない金髪の少年が立っていた。私より少し身長が低いかな。少し面倒だがきっと返事をするまで話しかけてくる様な気がして。
「なに?君は誰?」
冷たく返事をする。
「俺マイキー!ダチになってくれよ!」
「・・・はあ?」
意味が分からない。マイキー?巫山戯た名前だ。本当についていないな。
「なんで私?」
「かっけえから」
この人は何を考えてるんだろう。かっこいい?私は女だしこんな暑い夏の真昼間に泣きながら煙草を吸っている人間が?
「変な事を言うのは辞めなよ。友達にはならないよ。それに君その格好からして暴走族が何かだよね?」
「おう!東京卍會の総長やってる。」
「・・・なあ俺とダチになればきっと泣くことも減ると思うぜ。」
なんと無責任な発言だろうか。私が何故泣いているのかも分からない癖に。
マイキーの顔にふっと煙草の煙を吹きかける。
「?!」
「ゲホッ、くせえー」
噎せているその子供っぽさに少し笑いが込み上げてくる。
「巫山戯た事を言うのは辞めなよ笑」
「はあ?!ふざけてねえよ!」
「マイキー!!!」
またどこからか声がした。きっとマイキーのお友達だろう。
「マイキーここに居たのか、はあ。あ?誰?コイツ」
「俺のダチ!」
友達になるなど一言も言っていないのに。きっとこの人は1度言葉を交わせばその人を友達と言えちゃう人間なんだろう。
「困ったなあ。」
苦笑いを浮かべながら呟く。
あまり面倒事には巻き込まれたくない。暴走族と関わったら何があるか。私には縁のない人間だった。
「マイキーのダチ?すんません。ウチのマイキーが迷惑かけました」
「何謝ってんだよケンチン。」
ああ、こっちの人は結構しっかりしてそうだな。相変わらず巫山戯た名前してるけど笑
「マイキー。そろそろ行かねえと」
「え〜。あ、なあ!今日集会があんだけどお前も来いよ!」
集会?なにそれ笑
「うーん。私は遠慮しておくよ。」
「拒否権ねえよ。迎えに行くから絶対来いよ!じゃあな!」
中々強引だなあ。迎えに来るって、私の家知らない癖に。困ったなあ。
心の中でブツブツ文句を垂れながらまた独りトボドボと歩く。いつの間にか吸っていた煙草はフィルターのすぐ近くまで燃えていた。