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受験と新学期の準備で全く投稿できませんでした。すみません、、。(私が遊んでいたというのもあります)
これから投稿頻度増やしていきたいです…😿
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「ぇあ…」
瞬間、唇にふにっとした何かが触れた。
こんどは俺が呆然する。
兄ちゃんは俺にキスをした…
ほろほろと溢れていた涙は、まるで魔法をかけられたかのように、ぴたりと止まった。
「…にす、の…」
声としては成り立っていない声で、兄ちゃんに問いかける。
「俺は…凛のこと今も昔も、ずっとずうっと大好きだよ」
その言葉で、世界がずんと輝いた。
たった6畳のこの病室。
真っ白なシーツは白の光を反射して
インテリアの植物は、窓からの風でゆらぎ
差し込む光はきらきらとしていた。
さっきまでは眩しすぎると感じていた兄ちゃんの深い瞳が、今の俺には丁度いい。
そうだ。
俺は兄ちゃんのことが好きだ。大好きだ。
兄ちゃんが好きだから、俺はずっとみてほしかったんだ。
兄ちゃんが好きだから、潔に嫉妬していたんだ。
涙が再び溢れ落ちる。
兄ちゃんは「凛!?どうした!?」という風に慌てている。そんなところも、胸がきゅうとなるほど好きだ。
「…ッすきぃ……おぇもっ」
ここで言葉を止めた。
「あいしてる」の5文字は、口にするには勇気が必要だ…
だから俺は 耳まで赤く染め、どこかいじらしい声で、そして不器用に兄ちゃんを見つめ言ってやった。
「あいしてる…」
そう言った凛の宝石のようなターコイズブルーの瞳は、同じ色の瞳をずっと覗きこんでいて 真っ直ぐだった。
『退院おめでとうございます!』
この病室に入院して1週間だった。
4人の看護師さんたちが、俺 たち の ことを見送る。
「帰ろ!兄ちゃん」
「ああ」
お互いの好意に気づいた俺らは、兄弟ともう一つ、恋人という新しい関係を築きはじめた。
笑ったところを誰も見たことがない日本の至宝。
そいつは今可愛い可愛い恋人を瞳に映し、世界一優しい笑みを浮かべる。
…そのことを知っているのは世界にたった1人しかいないだろう。