浴室の椅子に座らせて、身体にシャワーでお湯をかける。これで少しでも酔いが抜けてくれたらいいのに、どんだけ濃度の強い酒を飲んだのか、ひばはぼんやりとされたまま。顔にかけてやったほうが目は醒めるか、なんて。さすがの僕もひばが苦しい思いをするようなことはしたくないからしない
「髪あらうから、ちょっと下向いてて」
「はぁい」
素直でめちゃくちゃかわいい。お湯で髪を濡らして、シャンプーを泡立ててから、髪につけた。僕に髪を触られながら、ひばはおとなしく目をつむっている。
ひばがいつもやってる頭皮マッサージみたいなのも一緒にやってあげてから、泡を全部流した。それにつづいて、自分の髪も洗う。少し見えづらくなった視界。傍でひばが僕の名前を呼んでいるのが耳に入った。分かったって、ちょっと待ってて。今流すから。
ようやく見えるようになった目でひばをとらえると、とろん、とした目で僕のことを見ている。
「…かなと…」
塗れた手が、同じく濡れた僕の肩を触る。あったかい。お湯のせいじゃない、アルコールのせいでもない。この熱は、
「したい……しよぉ……」
こんどは、ねだるだけではなく。ひばの方から唇を重ねてきた。今までの触れるだけのものが相当物足りなかったらしく、痛いくらいに唇と、舌を吸ってくる。うん、なんて積極的。絡める舌もいつもより熱くて、全身が火照っている。
「……んっ、んーっ…」
しばらく舌を絡めていたかと思えば、急に全体重をかけられ、バランスをくずしタイルに背をついてしまった。冷たい、けどお湯がかかってるから少しはましか。
「んは、かなとのかわいいねぇ、これ」
そういって、乳首を口に含まれる。いや可愛いとかないから。あと、ひばは僕がじっくり開発してあげてるから乳首を触られてきもちいかもしんないけど、僕は全然だから。そういう意味では、ひばのはかわいいかもね。
ちゅうちゅうと乳首を吸う姿が赤ちゃんみたいでかわいいなとは思うけど、吸われてるのは色気もなにもない胸だから、かわいさ半減。それに、こんなところを吸われて何が気持ちいいのかねえ。まったくわかんないや、ひばの唇は柔らかいなあ、って思うだけ。
「ひーばーり。ひば?僕ねえ、そこいじられてもなぁんにもうれしくないから。やめて?無駄な努力。」
頬をぺちぺちたたくと、ようやく口を離してくれた。よくわからないままこちらを見つめるひば。ああ、そんなに口の周りを涎でべとべとにして。ほんとうに、赤ちゃんみたい。
かわりに、両手でひばの乳首をいじってあげた。捏ねて、潰して。強くつまんであげたら、だらしなく開いた唇からふだんは聞かないような甘い声を惜しげもなく漏らす。
「あっ……ぁん……だ…めぇ…」
「だめじゃないでしょ。もう、僕に涎垂らさないで」
口角からはだらだらと唾液が零れ、ひばの下にいる僕の身体にぽたぽたと落ちていく。腕が力なく震えて、腰をくねらせる姿は色っぽくて、かなり下半身にくる。性器がそんなひばの姿をみて反応しているのが視界にはいって、単純すぎて苦笑した。
昨日ヤったばかりだからかナカは柔らかい、性器がこすれるたび、後孔が口をぱくぱくとさせる。ああ、これだけみたらまさかここが挿入する場所じゃないなんて思わないや。焦らすのも楽しいけど、僕も限界。それに、あくまで相手は酔っ払い、盛り上がっているときに寝るなり吐いたりされたら困るから、はやく終わらせちゃおう。
「挿れるよ、」
そういって、性器をあてがい、ゆっくりと腰を推し進めていった。挿入部は柔らかくほぐれているのに、中はきつい。根本までいれるのに一苦労で、なんとか入ったときには頬に軽く汗が滲んでいた。
「んっ……くるし……」
そういいながらおなかを撫でるひばの姿はすごくそそる。そっかくるしいんだ、と言ってぎりぎりまで引き抜くと、どうしてそんなこと、とでも言いたげな視線をこちらに向けた。
「…かなと、?」
「えっ、だって苦しいんでしょ。だから楽にしてあげたの」
「ち、ちが……」
何かいいたげな表情をしながら、次第に瞳からは涙があふれ出す。え、こんなことで泣いちゃうの。酔ったひばは泣き上戸…かどうかはわからないけど、一応心にとめておこう。
「もう、泣かないで、ごめんね、いじわるしちゃった」
水気を含み、頬に張り付いた髪をよけると、それだけで身体が反応する。かわいくて、仕方なくて。ひばの中の自分のものがまた大きくなるのがわかった。
「んっ、ぁ、ああ……」
「あ……なんか、すごい絡みついてくるんだけどっ…」
性器に絡みつくようにうねる内壁が気持ちいい。抽挿のたび、粘膜がめくれては中に納まり、ローションと先走りがまざって泡立つ。せまい浴室はやけに音が響くものだから、その水音や、肌と肌がぶつかる音、荒い息遣いがすべて大きく響く。腰を突き上げるたび、ひばの口からは悲鳴のような声が漏れ、それさえも反響して。視覚的にも、聴覚的にもかなり刺激が強い。
「あっ、あ、ア、んっ、ああっ、は、」
律動のたびに揺れるひばの性器からは少しずつ精液が飛び散って、僕らの腹を汚す。腰に痺れが集まるような感覚がする。そろそろ、お互い限界だろうか。
「ん、イき、そっ……」
「んっ、あ、なか、なかに、だしてっ…」
「うんっ……雲雀、ひばッ…」
「ふ、ぅ、んっ、んんんっ……!♡」
最後に激しく舌を絡めあいながら、腰を強く突き上げると、ひばの身体が大きく跳ね、性器の先から勢いよく精液が飛び散った。それによってうねる粘膜のおかげで、僕も最奥に熱を吐き出した。
「っは……ぁ……かな……と」
「ん?どーしたの」
力の抜けた全体重が僕に預けられる。正直重いけれど、愛の重さだねこれは。肩に頭の乗せるひばの顔を覗き込み、頬を撫でながら軽くキスをする。
「かぁと…すき…」
耳元でそんなこと囁かないでほしい。またしたくなっちゃうから。なんて、思ったけど。
「ひば…、…ひば?おーい、ねえ、ひば?」
耳元で規則正しく聞こえる呼吸。少々揺さぶっても、反応がない。やっぱり、こうなると思ってたんだよ。この酔っ払い、イくだけイって、寝た。
さて。このまま気持ちよく眠らせてあげたいけれど。この状況をどうしようか。
浴室の中にはむせかえるような精の匂いが混乱している。性器を抜くと後孔からはどろりと精液が垂れた。これもこのままにすると、明日おなかを壊すことがわかっているから。身体をあらって、お風呂も掃除しなくちゃな。
「……まあ、いっか」
普段よりいくぶん幼い表情を晒す寝顔を見つめていると、どうでもよくなった。やることはちゃんとするけれどね、もう少し、あとで。
「僕も、好きだよ……愛してる。だから、」
――普段から、もうすこし素直になって?
そういって、寝息をたてる赤い唇に、ありったけの愛をこめて、キスをした。
コメント
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ありがとうございます! 最高すぎます!!