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太宰 side𝔻
中也 sideℕ
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side𝔻
真逆中也から映画を誘ってくれるなんて思ってもいなかった。
隣でちょこちょこ歩いている中也は何処かソワソワしていて
落ち着きがなかった。
中也はバレてないと思ってるんだろうけど顔が赫くなっているのは御見通し。
まあ其れだけ私にどきどきしてくれているってことだから私も気分が良い!
「中也。何観るの?」
映画に行こうとは誘われたものの何を観るのかは教えられていない。
「ン、最近流行ってる映画観る。手前は其れで良いか?」
最近流行ってる映画……
嗚呼、外国の恋愛ムゥビィだったか
「其う云うの中也興味有るんだ」
「馬ァ鹿、姐さんが観ろ観ろ云ってくるからだ阿呆」
「姐さんが?」
姐さんは其う云うの興味無さそうだのに……
「ま、いっか」
私は中也の手を取った
「……は?」
中也の顔は戸惑いの色1色に染まる
反応が面白くて私は尤強く手を握った
「ふふ、少しは意識してね♡」
そう、意識して貰わ無くてはならないのだ。
少しでも疾く中也に認めて貰う為に。
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映画館に着いて私達は席に座った。
周りは矢張り恋人だらけで私達だけが完全に周囲から浮いていた。
でも其ンな事中也が気にする筈は無く
ドカッと自分の席に座った。
間も無く映画が始まった。
外国の恋愛ムゥビィはあまり良い物とは云えず
唯々女と男が接吻したり抱擁したりあれば交わうだけだった。
ちらと隣に座っている中也を見たら顔が凄く顰めっていて面白かった
矢張り蛞蝓で低身長で体力化け物の中也にはこう云うのは性に合わないらしい
1時間程で映画は終わった。
「余り面白いとは思わない内容だったなァ」
「脳筋の中也には合わないに決まってたさ」
「あぁ”ん!?」
私達は程なくして喫茶店へ入った。
時刻は未だ12時
朝早くに家を出たので当たり前と云ったら当たり前の時間だった。
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sideℕ
大して面白くも無い唯の映画を見終わって俺達は近くの喫茶店へ入った。
中は俺好みの落ち着いた雰囲気だったので不思議と馴染んだ。
座席に座ると隣にチョコンと太宰が座った。
「何頼む?」
此奴は完全に俺に奢って貰う気満々だ
「俺は珈琲で良い」
「え、其れだけ?」
意外とほざけるような顔で太宰が云った
「朝は食べないんだよ」
「昔から変わらないね」
手前が変わり過ぎてるだけだわ。
そう云いたいのを我慢して窓の外に目を向ける
今は丁度降誕祭前日
外には腕を組んで歩く恋人がうじゃうじゃいやがる
……
太宰は俺と恋人になりたいんだよな……
意識すればする程太宰で頭が一杯になる
7年間。7年間共に嫌悪して喧嘩して笑いあった
仲。
今更好きなんて云える訳がない
何なら4年前のあの日にもう太宰とは会わないんだと思った。
相棒だと思ってたのは俺だけだと思ってた。
実際其うだった。
太宰は相棒なんて生温い物飛ばして好きって感情に支配されていた。
7年間もだ。
「……俺は気付いて無いだけなのか、?」
「ん?なぁに中也」
「……何でもない」
太宰がさんどうぃっちを頬張りながら問い掛けてくる。
その姿が妙に幼く感じて
昔の太宰を思い出す
『中也の馬ァ鹿!!』
『中也は僕の狗なんだから』
『はい是で僕の72連勝』
『脳筋ごりら!!』
嫌味ったらしい言葉しか思い出せねぇが
今思えば此奴は俺に付き纏ってばっかだったな……
そんな風に思い出に浸っていると太宰が立ち上がった。
「中也、行こう」
気付けば皿の中の食べ物は消え去っていて、会計も何時の間にか済ませていた
「お、おう」
不思議で堪らない光景に俺は戸惑い乍も太宰に続き店を後にした
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目の前に居る太宰は喋ってなければ上玉
其処ら辺に居る女にとっては逃せない代物だろう
良い家庭に育っていたなら其れなりの旦那様に
金持ちの家に育っていた並ば見合い殺到の主人に
ポートマフィアだなんて黒い社会に入っていなければ頭のキレる才児として扱われたのかもしれない
そんな此奴は今何も云わずに進んでいる
俺の手を確りと握って
「おい、何処行くんだよ」
話し掛けても何も反応しない
唯歩いているだけ
そんな状態が数十分続いて漸く太宰が立ち止まった
其処は人気の少ない公園だった。
すぐ傍には海が見えていて、景色が迚も良い
こんな所に引っ張り出して太宰は何がしたいんだろうか。
「おい、其ろ其ろ目的を」
俺が言い終える前に太宰が口を開いた
「私、今朝中也に重いって云われてから如何すれば良いか考えてた」
真面目な口調で太宰が喋り出すから俺は黙った
俺の目を真っ直ぐ見つめながら太宰は続ける
「今迄付き合った女の子達は私が高い物をあげればあげるほど喜んだ。でも価値が低いものを与えたり、唯の喫茶店に入ったりなんかしたら逆上して突き放してきた」
「だから高い物を与えて良い所に連れていくのが恋人としての在り方なんだって思ってた」
太宰は依然として表情を変えない
其んなの俺が1番知ってる
太宰は昔から女の引きがとことん悪い
顔と金目的の女しか集まらないから
時には殺害される直前迄行った恋愛もあって
首領から注意されていた
「でも中也と向き合って違うんだって感じた。
高ければ良いなんて唯の思い込みだってことに気付いた。一緒に過ごすだけで中也は喜んでくれるし良いお店じゃなくても中也はその場に応じて楽しんでくれる。
中也のお陰で私は変われた。気持ちさえ在れば特別じゃなくてもいいんだって」
太宰が後ろに隠していた花を差し出した
綺麗な薔薇だった
「其れ……」
「先刻のお店で売ってたから買った。中也に似合うと思って」
太宰が少し照れながら云う
其の姿に俺は心做しか釘付けになる
「考えた。中也が喜んでくれるのは何かなって。ねっくれすとか高級ディナーとか。色々
でも、気持ちが伝わった方がいいと思って」
「……」
「中也薔薇の花言葉知ってる?」
「……知らねぇ、」
「『貴方を愛しています』」
「ッ!」
妙に鼓動が疾くなる
顔が赫くなっていくのがわかる
恥ずかしさで汗も少しかいてきた
「中也、私の気持ちは本物だよ。」
太宰が真剣な眼差しで云う
嗚呼。もう疾っくに気付いていたのだ。
俺は気付いていて気付いていない振りをしてたんだ
「中也」
太宰が俺の名を呼ぶ
人生で初めて最初に俺のことを人間だと云ってくれた人物
初めてちゃんと喧嘩した人物
初めて、信用できた人……
もう気持ちに嘘をつくのは辞める
俺だって手前みてぇに鈍感だったってことだな
「綺麗な薔薇じゃねぇか」
俺は太宰の手からそっと薔薇を受け取った
もう両想いなのは確定した
でも
「フーン。手前にしては良いセンスだな」
「認めて呉れる?」
「ンーまだ無理だなァ」
「えぇ……」
「太宰」
「今日は月が綺麗だな」
もう少し此奴の恋心を弄ぶのも有りなのかもしれねぇ
コメント
1件
久しぶりの投稿です ほぼ半年ぶりになり申し訳ございません! 楽しんでくれると嬉しいです