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『 転生林檎、興味ないかい? 』
そんな言葉を突きつけられたのは今の『王さま』、朱桜司。
ここは何処でしょう?lesson室にいたはず。
そもそも、誰なんですか。アナタは。
声も天祥院のお兄様、見た目も天祥院のお兄様。
だけど、どこか違う。何故かは知らない。
…どこか胡散臭い売人のような、そんな感じだ。
というか、そもそも『転生林檎』とは?
聞いたこともない。
『 今なら、無料で差し上げよう。 』
無料…もしも、これで転生出来るのなら。
自分が先輩の誰かになれるのなら、平凡な自分は優秀になれる。
きっと。
…少し興味が出てきてしまった。
脳内でmeritを考えてしまい、興味を示してしまう。自分の悪い癖だ。
…まぁ、貰って損は無いでしょう。
「 …ください。 転生林檎。 」
貰った、が。説明を何も聞いていなかった。
自分が何かを考えている内に注意事項を聴き逃したのだった。
けれど、なりたい者や理想像を思い浮かべたら、そのなりたい者や理想像になれる。そう聞こえた。 都合のいい耳だ。
とにかく、最初は__いつも賞賛される、modelでありidolである、いわゆる表現者の瀬名先輩になってみましょう。
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…ここは、firenze?
確か、瀬名先輩はまだ帰国していませんでしたね。
取り敢えず、schedule帳でもあったら確認しましょう。瀬名先輩なら、予定を細かく書いているはず。
『セナ〜!!!来たぞ〜!!』
「げ、」
厄介な者が来た。
レオさんだ。
…どうしよう、瀬名先輩はこんな流暢に英語を喋りませんよね。
流暢に喋るとしても、Italia語。
…とにかく頑張るしかないですね。
余計な真似はなし。あくまで真似するのは口調だけ。
「…どうしたのぉ?れおくん」
『いや〜、セナに曲あげたくて!』
「はぁ、そんなの貰い飽きてるんだけどぉ?」
『別にいいだろ〜?』
『…あ、セナ今から予定あるんだろ?おれ前スケジュール帳見たからな!』
「…予定あるから、やめてよねぇ。」
『は〜い…』
なんて都合のいい世界だ。
丁度よく予定が入っていた__のはよかった。予定をどうやってこなそう。
modelなんて何もわからない。
…とにかく、勢いで喋ってたらどうにかなりますよね。
ー 仕事場 ー
…談笑?瀬名先輩の仕事仲間でしょうか。
なんと言っているんでしょう…
『イズミって言葉に刺があるよね』
『確かに、厳しいし…こっちのこと考えてないのかな。』
『考えてないんじゃない?』
『だよね』
…この方達は瀬名先輩が『大切に想っている』と仰っていたおふた方。
何故瀬名先輩の愛が届いていないんですか?
瀬名先輩は厳しいながらもちゃんと人を愛する心がある。
例としてあげるならば、桃李くんや私とのやり取り。
あの方は間接的で伝わっていないだけ。
…瀬名先輩は簡単に言えば間接的過ぎてちゃんとした真っ直ぐに愛せることが出来ない。
…これでは先に私の心が応えてしまいます。
転生しましょう。
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次は…どうしましょう。
真っ直ぐに愛する能力が無かったのなら、世界平和を願う人になってみましょう。
どうか、世界平和を願う者にしてください。
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…この体
「あーあー…」
この声は青葉先輩…!
先程の私の理想像のような人。
『せーんぱい!』
!春川くん!
…とにかく、口調は似ているから、どうにか出来るでしょう。
「どうしました?宙くん」
『動画を撮ろうと思うんです!』
『笑顔の魔法を伝授する動画な〜♪』
「ふふ、いいですね。やりましょう」
『了承ありがとうございます!』
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動画を撮り終わった。
意識して動画を撮るのはとても苦労する。
…そんな疲労は置いといて、commentでも見ましょうかね。
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『やってみたい!』
『すごい!』
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ふふ、fanの皆さんの反応を見てると楽しいですね。
この調子で行きましょう。
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ー 数日後 ー
『20代男性、死亡。犯人は魔法で殺したと発言』
…何故?
何故魔法がこんなことに使われているんですか?
おかしい、おかしいです。
もう一度食べましょう。
転生林檎を。
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どうか、人を傷つけない愛を分け与える救世主にしてください__
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これは…忍くん?
確かに、私の理想像と似てますね。
これから、頑張らないと。
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「仙石!大丈夫か?今日はヒーローショーだから、早く行くぞ!」
『!わ、わかったでござる!』
heroshow!?
ど、どうしましょう…台本なんぞ目も通していないのに…
忍くんの頭にinputされてる…なんてこともないですよね。
どうしましょう…と、とにかくこういう時は勢いが大事ですよね!
レオさんも凛月先輩もそう仰っていましたし。
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『________』
『________』
…すごい、私達が誘われた時の舞台はこんな風になっていたのですね。
本番前に台本も読みましたし、大丈夫、なはず。
『________!!』
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…あれ、あんな人いました?
『!皆、ステージに乱入者が出た!!逃げるぞ!!』
…へ?
あ、これは…やられる、かもです。
純粋が故、人を信じ、こうなることもあるのですね。
そりゃあ、そうですよね。この体は忍くんの体。
私の意思が通じる部分もあれば、通じない部分もある。
…あぁ、次はどうしましょう。
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先程は純粋が仇になった。
仇になったのなら、次は綺麗事を嫌う革命家のような人になりましょう。
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…これは凛月先輩?
面倒ですね…凛月先輩のような奇抜な考えは私は併せ持っていない…
どうしましょう…とにかく、mailなどを見れば…
あれ、そもそもsmartphoneを持ち歩いていない…
はぁ、探しに行きますか。
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ない、どこにもない。
はぁ、全く…凛月先輩はレオさんなんですか。
まぁいいです、仕事については他のmemberから伝えられるでしょう。
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ー レッスン室 ー
『__________』
…あれ、仕事について伝えられなかったですね。
瀬名先輩が連絡事項を忘れるはずがない。
まぁいいでしょう、たまたまですよね。
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ー 翌日 ー
『__________』
…またない。
そんな訳ない。凛月先輩は需要があるはずです。
…まぁいいでしょう。
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ー 数日後 ー
またない。おかしい。
何故?
…そういえば、瀬名先輩から見つかった凛月先輩のsmartphoneを貰った。
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『吸血鬼はお断り』
『流石に撮影スタッフも怖がる』
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SNSにそう書いてあった。
おかしい。
何故?
怖がることないでしょう。
……でも、この方達は怖がる。
そりゃあそうです。私達がおかしいだけ。
きっと。
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はぁ…またcancel。
こんなどこにも居場所がないのなんて懲り懲りです。
また食べましょう。
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どうしましょうか…理想を追い求める冒険家なんていいですね。
…どうか、理想を追い求める冒険家にしてください。
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……これは…服を見る限り、明星先輩でしょうか。
正直、明星先輩になりきるのは少し苦手なんですよね…
私は元気溌剌というか、そういう性格ではないので。
…でも、望んだのは自分ですし。
頑張るしかないですね。
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ー 数日後 ー
『明星、仕事を貰った。お前主体でのだ。』
「へ!?ホント!? 」
『あぁ、本当だ。どうやら、ミニドラマの撮影らしい。』
「わかった!了承したってメール送っといて!」
『わかった。』
やった。仕事です。
と言ったって、minidrama。
まぁすごいことです。
……あちら側の人に色々と頼めば、私のような性格に出来るのでは!?
そうとなれば提案です!
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ー ミーティング ー
「はーい!俺、これやってみたい!」
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ー 翌日 ー
「これもやりたい!」
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ー 数日後 ー
「これも! 」
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ー 数日後 ー
「これもやりたい!」
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ー 数日後 ー
『ねぇ、明星くん。』
「?どうかしました〜? 」
『要望多すぎ。流石にキャンセル。』
「へ?」
…なんで?
嘘でしょう?
そんな沢山要望は言っていなかったはず。
…これはTrickster全員で作り上げるminidrama。
……最悪です。
Trickster全員を巻き込んでしまいました。
Tricksterの方々に罪はないのに…
私が要望を沢山提案しただけなのに…
なんで?
なんで?
あぁ、もう…憂鬱です。
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…あれ?ここは…?
…lesson室?
『ちょっとかさくん?寝過ぎ。』
「へ?」
…私は寝ていた?
『んもう、起こしちゃ可哀想よォ!とっても気持ちよさそうだったのに!』
『うるさい!レッスンが進まないでしょぉ!?』
……とても長くて、深くて、幻想的な夢だった。
また、あの夢を見てみたい。
けど、あの林檎のせいであんな目に遭うのは嫌ですね…
あぁ、何故でしょう。悲しいのに、どこかほっとしている。
悲しみは…夢から覚めたから?
ほっとしているのは…辛い目に遭わなくて済むから?
全てが分からない気がする。
寝起きだからでしょうか?
…まぁ、とにかくlessonをしないとですね。
「そうですね。lessonを進めましょう。」
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