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狐
66
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知らない部屋で目覚めた。
全身に力を入れるが、体を起こすことはできない。
脳天を突き刺す痛みが、これが現実であることを教えてくれる。
両手両足には鎖が付けられており、痛みに耐えたとしても、逃げられない。
とりあえず明日が休みで良かった。
武藤さんには、会うことができたらお礼を言っておこう。
無理かもしれないが。
「おはようございます、調子はどうですか?」
にこやかに微笑む彼。
最後に見た時よりも少し大きくなった。
「一応止血して縫ったんですよ。
でもまぁ、表面上だけなんで中は分かりませんけどね。」
胡散臭い笑みを絶やすことなく浮かべている。
なるべく彼を刺激させない発言をしたい。
が、この笑みの所為で、何を考えているのかがわからない。
どうしたものか。
「安心してください。
俺は先生を殺す積もりも、甚振る積もりもありません。」
1歩、また1歩、とゆっくり近付いてくる。
後ろが壁なので、彼から逃れることはできない。
もし壁じゃなかったとしても、縫合された腹のせいで満足に動けないだろう。
為す術もないので、彼がこちらに手を伸ばすのを待つしかない。
頬で感じる彼の体温は、先程重ねられた時よりも温かく感じた。
「やっ、と。やっと、。」
雫が、こちらの頬を伝う。
彼の手は、小刻みに震えているままだ。
「これで、ずっと、いっしょ」
鼻と頬を真っ赤にしながら呟く。
流れた涙が全て落ちてくるので、顔全体がびしょびしょだ。
勘弁して欲しい。
というか、出して欲しい。
だが彼の反応が怖いので、何も言えない。
それに何か言ったところで変わらない。
きっと、彼は自分を離す気はないだろうし、
こちらの言う事も聞いてくれなさそうだ。
逃げるとしても、窓は厳しいな。
高いし、それに届く脚立がない。
やるとしたらドアか。
彼の出かける隙を付いて_。
「何考えてるんですか?」
いつの間にか涙の雨は止んでいた様だ。
こちらの心を覗き込むかの様に見つめてくる。
腹の痛みは消え失せて、代わりに大量の汗が全身から湧き出る。
あの時の瞳ソックリだ。
思い出したくもない人間離れした瞳。
「ま、いいや。」
パッと彼が離れる。
思わず安堵の息をついてしまいそうになるも、何とか耐えた。
「先生は俺とここにずっといるんです。
死ぬまでずぅっと」
「あーー!どーーーしよ!!
俺ってばすっごい幸せ者!!」
「あ、違うや。俺達ですね。先生も幸せでしょ?」
再び彼の手がこちらへ伸びてくる。
「襲っちゃう程ぉ、可愛いかった教え子と一緒にいられるんですもん」
「許しますよ。ぜんぶ」
唇を押し付けてくる。
とても硬く、冷たい。
「これでおあいこですね」
︰
︰
⋯
逆のVerもかいてみたい。
なんかいいのない?
コメント
1件
あーもう、重い……重いけど引き込まれた……!先生が冷静に逃げ方考えてるところ、逆にその諦めが怖くて。教え子の涙と震えと狂気が切なくてぞわっとしたよ。ラストの「逆Ver」、私もめっちゃ気になる……! 執着ってこんなに一途で歪で美しいんだなって思った。倫理観皆無さん、ありがとうございます🤍🥀