寝て起きたら朝が来る。
そしたら探偵社へ向かう。
探偵社寮に帰ったら寝る。
何時も通りの日々
_のはずだった。
太宰「…..」
目が覚めると知らない場所に居た。
窓はなく扉は一つしかない。
手首と足首に鎖が付いている。
鍵穴は何かで塞がれている。
逃げる術は無かった。
目覚めてばかりで回らない頭で考える。
此処は何処なのか
誰がこんな事をしたのか
理由は何か
考えた末に答えを導き出した。
其のタイミングを見計らった様に
ドアから一人の男が部屋に入ってきた。
其の男に私は見覚えがあった。
太宰「…どう言うつもりですか」
森「久しいね」
森「元気にしていたかい?」
太宰「貴方の所為で最悪な気分です」
森「其れはすまないねぇ」
太宰「…で、何の要ですか」
森「君に話したい事があってね」
太宰「話したい事…」
森「太宰くん」
森「幹部に戻る気は無いかね?」
太宰「前も言いましたけど」
太宰「幹部に戻る気は無いです」
森「君ならそう言うと思っていたよ」
森「想定内だ」
太宰「何故態々私を誘拐したんですか」
太宰「貴方らしく無い」
森「太宰くん」
森「私はね今回は本気だよ」
森「前とは違う」
森「君に戻って来て欲しいんだ」
太宰「…何故今更」
森「又中也くんと二人組(コンビ)として」
森「活躍して欲しいと思った迄だよ」
太宰「…本当に其れだけなの」
太宰「貴方は此れを最適解と判断したの」
森「そうだよ」
森「太宰くんが絶対に戻らないと言うなら此方にも手がある」
太宰「何故其処迄して私が欲しいの」
森「…いつか教えるさ」
森「それで戻って来てくれるのかい?」
太宰「…嫌です」
森「そうかい…」
森「中也くん」
ガチャ
中也「はい」
太宰「中也…」
森「連れて来てくれたかい?」
中也「はい」
Q「あ、太宰さんだ!」
太宰「!」
太宰「…成程」
太宰「でも森さん」
太宰「私にQの異能は効かない」
森「知っているよ」
森「だから」
ズプッ
森「此れの出番だ」
太宰「ッ」
太宰の首元に注射器を刺した。
中の液体が体内へ入っていくのが分かる。
太宰「…何を入れたの」
森「なぁに大した事ないさ」
森「此の薬はね」
森「最近黒社会で出回っている品物だよ」
森「効果は一時的な異能の無効化」
森「つまりもう異能を使う事は出来ない」
森「効果は短くて5時間長くて2日だ」
太宰「…..」
太宰『まずい』
内心焦っていた。
《人間失格》が使えないと
Qの異能をまともに受ける事になる。
人生で何度も思って来た。
【Qの異能だけは受けたくない】と。
ずっと間近で見て来た。
Qの異能は恐ろしい。
どんな異能よりも。
Qの異能で死んだ者を何人も見て来た。
どの死体も残酷で無様な姿だった。
Qの異能は
地獄を実現させたものに等しかった。
森「流石の太宰くんでもQの異能には耐えられないんじゃ無いのかい?」
太宰「…..ギロッ」
Q「僕と沢山遊んでね!」
ドンッ
Qの腕から血が滴り落ちた。
太宰の首元に手形の字が浮き出て来る。
太宰『あぁ、地獄が始まる』
太宰『私は耐える事が出来るだろうか』
太宰『探偵社へ帰る事が出来るだろうか』
太宰『…..』
森「一時間後に様子を見に来るよ」
中也「…..」
森「中也くん」
中也「どうしましたか」
森「すまないね」
中也「何故謝るのですか」
森「仮にも太宰くんは君の元相棒だ」
森「元相棒が苦しんでいる姿を見るのは」
森「つらいだろう」
中也「…如何なったって構いません」
中也「散々弄ばれて来ましたから」
中也「其れに此の手段が最適解だと」
中也「首領が判断したのであれば」
中也「俺は其れに従うまでです」
森「そうかい」
森「…太宰くんは耐えられると思うかい」
中也「如何でしょうか」
地下室へ繋がる階段に痛々しい、苦しそうな声が響いていた。
絶望を感じさせる様な
叫び声が耳に響く。
中也「…..」
太宰「あ”ぁぁッ….グスッ」
太宰「助けてッ嫌だッ…」
Q「キャハハハハッ!」
俺は太宰の部屋の監視役になった。
主な仕事は太宰の逃亡の監視と
Qの異能によって自殺をしないかの監視だ
地下室の扉は防音だが其れでも
太宰の声は防ぎれていなかった。
きっと部屋の中は地獄絵図だろう。
暫くすると階段から革靴の足音が聞こえた
森「様子は如何だい?」
中也「逃亡する気は無い様です」
中也「自殺も今はしようとしていません」
森「順調だね」
森「もうすぐ一時間経つ」
森「…頃合いかな」
そう言って首領は扉を開けた。
其処には床に寝そべっている太宰と
暇そうな顔をしているQが居た。
Q「太宰さん動かなくなっちゃった」
Q「生きてる?」
森「安心して良いよ」
森「ちゃんと生きているさ」
俺は太宰の顔を見ようと覗き込む。
しかし顔は見えない。
今思うと俺は心の何処かで
淡く期待していたのだろう。
太宰が平気な顔をしている事を。
何時もみたいに予測済みですと
言わんばかりな顔をしている事を。
でも俺の淡い期待は一瞬でどん底に落ちた
太宰の目はハイライトがなく生きる気力も無い様な目付きでまるで__
まるで昔の太宰の顔だった。
生きる意味を探し、
毎日の様に死を求める、
15歳の時の顔に似ていた。
首領は其の顔を見てニタリと笑った後
太宰に問いかけた。
森「大丈夫かい」
太宰「…..」
森「苦しかったかい」
太宰「…..」
何も答えない太宰を
首領は優しく抱きしめた。
森「こうするのは何年振りだろうか」
森「君も未だ幼かったよね」
森「太宰くん」
森「戻って来てはくれないだろうか」
太宰「…..」
森「私なら君に【生きる意味】を」
森「与える事が出来るよ」
今まで何も反応しなかった太宰が
其の言葉に反応した。
太宰「…ほんと?」
森「あぁ」
太宰「僕に生きる意味を与えてくれる?」
森「勿論さ」
太宰「…分かった」
太宰「戻る」
俺は正直耳を疑った。
あの太宰が
こんなにも簡単に堕ちてしまったのだ。
森「ようこそ」
森「ポートマフィアへ」
其の言葉と同時に俺は確信してしまった。
もう彼奴では無いのだと。
心が壊された人形なのだと。
どうでしたか?
今回も見事に太宰さんが苦しんでますね…
でも推しが苦しんでる姿も好き✨(最低)
後、最近投稿頻度が落ちてすみません💦
言うのを忘れるかもしれないので今言うと
私来年から受験生なんです
なので来年は今よりももっと投稿頻度が
落ちます…。
すみません💦
なるべく投稿は頑張ってしようと思っているのでこれからもよろしくお願いします!
次回は❤️1000で投稿します!
では、また次回!
コメント
20件
初コメ失礼します!! 雲さん文才ありすぎです!! やっぱり文スト最高ですよね!
コメント失礼致します。 貴方の投稿のサムネについて申したい事があります。 文ス絵師様の無断使用は辞めて下さい。絵師様当の本人が無断使用を禁止としています。 訴訟されてもおかしくないないですよほんとに