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『会社の飲み会に誘われたから行ってくるが、10時までには必ず戻る』
そう書いたメモを机に残して、行ってしまった。
まあ会社の飲み会だから、イタリアさんもいるはずだし大丈夫か。
9時半
ドアが開く音がした
「お帰りなさい」
玄関を覗くと、
壁に手をつけながら、俯いて歩いているドイツさんがいた。
「…どうしたんですか!?」
慌てて駆け寄る。
近づくと少しアルコールの匂いがした。
「……にほん…」
呂律が回っていない。
「えっと…あの……?
ドイツさん…?」
言い掛けた瞬間、
腰に回された腕に引き寄せられた。
次の瞬間、唇が触れた。
触れただけのはずなのに、離れない。
「……っ、…」
驚きで声が漏れる。
アルコールの匂いが近い。
逃げようと思えば逃げられるのに、
体が動かない。
ドイツの指先が服越しに少し強くなった。
「……んぅッ…」
日本は小さく息を飲み、
ドイツのシャツをぎゅっと握る。
誘い文句のような声に奥底が熱く疼く。
だんだんと日本が苦しそうになってきた。
一度唇を離すと、
日本は酸欠気味に肩を上下させ呼吸していた。
逃げようとする後頭部を強く引き寄せ、
先ほどより深く強引に舌を割り込ませた。
「…っ、ふッ// ……!」
抉るように割り込んできた熱い舌が、
くちゅくちゅといやらしい音を立てながら、 無防備な口内を容赦なくかき回す。
「っ、は……んっ//
んんっ//♡…ふ、ぁ//…」
びっくりして跳ねた体から、次第にドイツに体を預けるように力が抜けていく。
驚きは一瞬で、すぐに快楽が脳を塗りつぶした。
されるがままに、
絡まる舌の甘さを、
吸いあげられる強烈な甘さを、
ただ受け入れることしかできない。
「……っ、はぁッ…!」
やっと離れた。
奪われかけていた思考が、少しづつ戻ってくる。
日本の後頭部に回っていた腕が背中に来る
少しビクッとした後足が浮く
足元にあった重さがスッと軽くなる
「ま、待ってくださいドイツさん」
抱えられたまま、日本の視界が揺れる
床が遠い。腕はびくともしない。
「暴れるな」
低い声が、耳のすぐ近くに落ちた
「暴れてません…ッ、ただ、その…降ろしてッ//、」
喉がなる。
言葉の最後が、情けなく掠れた。
「嫌だ」
即答だった。
「……え」
理解が追いつかないまま見上げると、視線がぶつかる。
逃げようとするが、逃してもらえない。
「静かにしてろ」
歩く振動が背中に伝わる。
心臓に音が、自分のものか相手のものかわからなくなる。
「……っ//…」
無意識にシャツを掴んでいた。
「顔、赤い」
指先が頬に触れる。
熱が、そこから広がる。
「見ないで…ください」
声が小さい。
けれど逸らした顔を、顎にかかった指が戻す
「無理だ」
扉の閉まる音が、やけに大きく響いた。
今の彼は、いつもより指先が熱く、
自分自身を制御できていないようだった。
「嫌なら…押し返せよ…?」
忠告された、その瞬間。
沈む。
スプリングが低く鳴った。
「……あ、」
視界が揺れる。
背中が柔らかいマットレスに沈む。
覆い被さる影。
逃げ道が消える。
「ドイ、」
名前を呼び切る前に、
手首を掴まれた。
逃げようと思えば、逃げれる強さで。
優しい男でありたかった。
だが、彼女の唇が触れた瞬間、自分の中にあった『理想の自分』が音を立てて崩れていく。
ただ、縋りつきたい。
子供のように、彼女の体温に溺れてしまいたいと、喉の奥が熱くなった
「日本……すまない
……今の俺は…制御できそうにない」
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