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ついた場所は
高いビルがたくさんあるところだった。
私がいた場所に、こんなにビルはなかった。
かなり離れたところへきたのかもしれない。
その中で、もっとも高く、大きなビルの前に立っている。
「さ、結衣さん、入って」
一気に、恐怖が迫り上がってくる。
「ほら、はやく」
入ったら二度と、外に出られない気がして。
「ほーら」
怖くて足がすくむ。
「はあ」
その言葉とともに、私は背中を押された。
「わっ」
と同時に私はビルの中へ入ってしまった。
「あ」
もう、引き返せない。そう思った。
「よーし。じゃ、部屋に案内しますねえ〜」
と短髪の男が先へ進んでいく。
長髪の男はわたしの後ろにいる。
部屋はきっと今いるところから離れているだろう。
そして、このビルのことをなにも知らない私が
もう一度ここへ戻ってくるなんて、できないだろう。
頭で考えていると、体が勝手に
ドアの方へと走り出した。
ビルの外も、私が知らない世界だ。
けれど、恐怖が勝った。
うしろには長髪の男がいたが
興味がないのだろうと、そこまで考えていなかった。
「あちゃ〜。椿、やっちゃえ」
「言われなくとも、やる」
すると、腹部に衝撃が走った。
「ぅ…ぐ、っ」
呼吸ができない。
死んでしまうのではないかと錯覚した。
「力加減できてるなあ、椿。頑張ったなあ〜」
「肋は、折れたかもしれない」
肋が折れたと聞いて納得する自分がいた。
「結衣さーん、大丈夫そうですかねえ〜」
「ぅ”ーーー、っ」
「ははは。痛そうですねえ」
何を笑っているのか、わからない。
笑っている男が、怖くて仕方なかった。
「もう逃げ出すなんて思いませんでした〜」
「ぅ、うぅっ…」
「今度は逃げれないように目隠ししときますからねえ〜。椿、結衣さん運んでくれる?」
「ああ」
「もう逃げれないですね、結衣さん。かわいそーに〜」
布で目を隠され視界は真っ暗。
そして、長髪の男によって抱き抱えられているため歩けない。
「さ、これからが楽しみですねえ〜」
これが、私の地獄の始まりだった。