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〇ファミリーレストラン・テーブル席(夕)
向い合って座る梨沙と結城。
結城「ま、入社祝いや。奢ったろ」
梨沙「で、ファミレスって」
結城「充分やろ」
梨沙「まさか、実家が養鶏所の人まで騙すとは思わんかったわ」
結城「下手に知識があるヤツほど騙され易いんや。プライド刺激したらイチコロや」
梨沙「そやけど、アレは、やり過ぎちゃう?」
結城「何がや?」
梨沙「佐藤さんや。身体の不自由な人に嘘ついて」
結城「騙される方が悪いんや」
梨沙「そうは言うても・・・…」
結城「俺は皆に勉強させたってるんや。 いっぺん騙されたら、次は注意するやろ」
梨沙は、しばらく考えて答えた。
梨紗「ホンマやな……。結城さんはエラいかもしれんわ」
結城「えらい素直やな」
梨紗「ウチの兄ちゃんも、結城さんと会うといたら良かった……」
結城「?」
梨紗「あの女と会う前に結城さんと会うて、顔のエエ者は性格悪い、って」
結城「待て。なんか微妙やで」
梨紗「ほんまの事や。顔は綺麗けど、悪魔みたいな女、おるんや」
結城「兄さん、女に騙されたんか?」
梨紗「ウチの兄ちゃん、ずっと野球してて、学校は男子校で、友達も男ばっかりで」
結城「女慣れ、してへんかってんな」
梨紗「慣れるどころか、初めて触った女が、あの女やと思う」
結城「兄さんの金持って逃げたんか」
梨紗「狙いは、お父ちゃんの工場やった」
結城「オマエ、社長の娘か」
梨紗「お父ちゃんと兄ちゃんでやってた、小さい工場や」
結城「母親は?」
梨紗「とうに死んだ。で、ウチが17歳のとき、父ちゃんも死んだ」
結城「それで兄さんが継いだんか」
梨紗「いや。一人では無理やから、廃業して就職する予定やってん。取引先の社長が世話してくれたし」
梨沙「ウチは高校卒業して美容専門学校に行くはずやった。そこにあの女が現れたんや」
梨紗「兄ちゃんより十歳も年上やのに、知らんまに婚約者になってた」
梨紗「兄ちゃんに設備投資を進めて、融資契約を結ばせた。経営コンサルタントとかいう訳の判らん者を紹介したんや」
梨紗「結局、借金は返せんと、工場も家も金融会社に取られた」
梨紗「あの女は、兄ちゃんを「無能で役立たず」と罵って……、兄ちゃんは工場で自殺した」
梨紗「結局、何もかも金融会社に持っていかれた」
結城「なるほどなぁ」
梨紗「しかも、その金融会社は、あの女の会社やったんや」
結城「えっ?」
梨紗「悪いこと繰り返したんやろな。エラい大きなったみたいや、ドリーム金融」
結城「ドリーム金融やと!」
梨紗「やっぱり知ってんの。有名なんや」
結城「兄さんが紹介された経営コンサルタントは、偽物や」
梨紗「えっ?」
結城「ドリーム金融は、人を騙して金を貸す会社や」
梨紗「どういうこと?」
結城「表は、国登録の正規金融会社。裏は、かなりエグイで」
梨紗「て?」
結城「例えば、薬物を売る相手に金を貸す」
梨紗「そんなんに掛ったら、泥沼やん」
結城「薬物で儲けて、金貸しでも稼ぐ。相手がズタボロになったら見切るんや」
梨紗「なんで、そんなこと知ってんの?」
結城「俺も被害者や」