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※急に始まって急に終わる──いつもの事
▶︎Detroit Become Human再熱しました。
好き。
これからアンドロイド×人類パロ増えるかも。それくらい再熱しました。好き。
コナーと警部補のエンド全部みたいくらいには再熱してます。好き。
その2人のパロです。もろパロです。好き。
大丈夫な方のみ注意書きへ。
⚠️注意⚠️
▶︎変異体取締局us+アンドロイドky のパロ
(CP要素は薄いので+表現)
▶︎ky受け人間が書いたのでタグはusky使用
▶︎Detroit Become Humanの1部EDのネタバレがあります。
それでも大丈夫な方のみどうぞ。
「行くぞ」
憂鬱な気分でキヨに声を掛ける。
「分かりました。」
反抗なんてする素振りすら見せず静かに頷いては俺の後ろに着く。…と言ってもどうせ現場に行けば飛び出すんだろうけど。
牛沢の相棒として配属されたのはアンドロイドだった。──名前は好きに決めろと言われたのでキヨと名付けた。──正直困惑した。変異体取締局にアンドロイド??変異体と言えど元はアンドロイドである。蟠りは無いのかと問えば眉ひとつ動かさず「私はアンドロイドです。同じ型でも同じアンドロイドでも慈悲も仲間意識も妬みも怒りも悲しみも感じません。」と返ってきた。まぁ、そりゃあそうか…なんて納得してしまった自分もいる。アンドロイドに感情なんてある訳が無いのだ。牛沢は己の心配が杞憂に終わった事に少し羞恥を感じながらも共に事件現場へと赴いていた。
…なんて苦い思い出に口端を引き攣らせた。
「どうかしましたか?」
「……なんも」
キヨは牛沢の顔を凝視して何度か瞬きをすると「そうですか。」なんて牛沢の後ろに戻っていく。ジャケットを乱暴に手にしては羽織り、車のキーを手に取る。助手席にキヨが乗ればエンジンをかけ現場に向かった。
「今日の現場はいつもと少し違いますね。」
「…そうだな」
「被害が出て無いとは言え気を抜くことは許されません。」
「わーってる」
牛沢は運転しながら乱暴に頭を掻き毟ってはキヨの過保護に生返事をした。
「お前は過保護に設定されたのか?」
「──いいえ。そのようなプログラムはございません。」
数秒の間。きっと内部プログラムを確認してたのだろう。マニュアル通りにしか動かないぎこちないアンドロイドに牛沢は深く息を吐いた。正直変異体の方がマシだとも思った。人間のように話し、動き、怒り、悲しみ…そして誰かを愛す。アンドロイドの通常運転と逆の方が良かったのに…なんて尋問中に何度も思った。変異体が増えた理由としては牛沢と同じようなストレスを抱えた人間が乱暴にアンドロイドを扱ったことによる内部エラーが多い。詰まるところ牛沢も今キヨを乱暴に扱いエラーを引き起こせば変異体に出来るという事だ。…だが変異体は何をするのか分からない。プログラム外の事をし、人を殺め、逃げ、そして隠れる。人を殺める事以外にもアンドロイドを人のように扱え、アンドロイドにも権利を、なんてデモを起こす集団も居た。そういう奴らは全員捉えて尋問・強制終了・処分という処置を取ってきた。そんな場面を目の当たりにしても相も変わらず眉ひとつ動かさずその様を眺めるキヨは一周まわって恐ろしく感じてきた。……まぁ、その光景を見て躊躇ったりキョドったりすれば即変異体扱いなのだが…。
「着いたぞ」
「はい。行きましょう。」
タワーマンションの屋上、そこには変異体が居た。
「変異体取締局だ、無駄な抵抗はやめろ」
銃を構えたまま変異体を睨む。彼は何食わぬ顔で振り向いた。
……違和感。何も持っていない、人質もいない、人を殺めた形跡もない。ただ不気味に笑ってこちらを見詰めている。なんだ?なんなんだ……これ……。
タンッ____。
「……は、?」
目の前の変異体は頭から黒い血を流して倒れていた。牛沢は構えたはずの銃を探した。ちゃんと構えていたはずだよな……?
呆気にとられた牛沢を他所にキヨは発砲した牛沢の銃を投げ捨て、倒れた変異体にカツカツ、と近寄りしゃがみ込む。
「お前か!」
「……何ですか?この型は催眠術をかけられるようだったので早急に処分しました。」
「催眠術……?」
「催眠療法。御存知ですよね?」
「知ってるが……」
「それです。催眠療法の補助のために作られた型のようです。この手は変異体になった時が厄介なので。」
「だからってお前……!!」
「……貴方は、」
そこまで言ってキヨは徐に立ち上がれば其の儘此方に歩み寄った。牛沢は慣れない空気に1歩後退る。
「彼に催眠をかけられて人を殺したかったのですか?」
「……は、、?」
「催眠療法は御存知でも此方は御存知無く?」
「何の…事だよ……」
「催眠術を上手く使い、人に人を殺させているのですよ。」
淡々と話すキヨの様子に背筋に汗が伝う。アンドロイドの恐ろしさと無情さに慄いた。
「……はっ、そーかよ…」
「強がらなくてもいいんですよ。実際、掛かりかけてたのですから。」
いつの間にか変異体を抱えていたキヨが感情なんて宿ってない瞳で見詰めてくる。牛沢は奥歯を噛み締めてはバツが悪そうに踵を返す。其の儘車の方に歩いていけばキヨが後ろから着いてくる気配を捉えた。
また事件から数ヶ月後──あの一件からも何件か現場に向かって居たが──の話である。今回も事件があると出向くように命令が入った。…と言っても今回はどうやらデモを起こしている変異体グループのリーダーを特定したらしくそのリーダーの処分にいけと言う話だ。いつもと変わらずキヨを連れて車を走らせた。助手席に座るキヨはいつもならタブレットで事件の詳細を振り返っているのに今日は何故か浮かない顔をして窓の外を過ぎ去る景色を目で追い掛けていた。
「着いたぞ」
「はい。」
「…いつも通りで構わないからな」
「…………分かっています。」
キヨはぴく、と眉を動かすもそう答えた。
「変異体取締局だ、無駄な抵抗はやめろ」
「……抵抗?そんなものはしない。私達はただアンドロイドに権利を求めているだけだ。」
「はぁ…人間らしいお前らに1つ教えておいてやる。……お前らのしていることは無意味だ。ただ世の中を混濁させているだけで余計に敵視する奴が増えてるだけだぞ」
「……」
変異体は眉を寄せ此方を睨み付ける。牛沢は怯むことなく銃を構え続けた。そこでひとつの違和を感じた。
___キヨは何処に行った?
とある廃ビルの屋上__
キヨはスナイパーライフルを持ってスコープを覗き込んでいた。牛沢と対峙する変異体グループのリーダーを確実に仕留めるために……。
_目的確認。
プログラムの細かい音に口端に弧を作った。
_発砲用意……
トリガーを引こうと手をかけた瞬間、牛沢が身を引いた。そして部下が彼らと対峙する。
何をしているんだ?
一瞬の困惑。思わずスコープから離した目をもう一度スコープに付ける。すると後ろから屋上の扉が開く音が響く。
「キヨ、辞めるんだ」
「……。」
今度はなんだ、と後ろを振り返ればそこには牛沢と仲が良かったガッチマンとレトルトが居た。
「どうされましたか?ガッチマン隊長、レトルト副隊長。」
「どうしましたか?じゃないんよ、この任務は俺らの任務なんよ」
「だからキヨが彼らを処分する必要は無いよ」
「…私は彼らを処分すると言う命令を受けました。それ以前に私のプログラムには変異体を処分すると設定されています。」
「……あまりこういうことはしたくないんだけどさ…」
ガッチマンは銃を持った。眉を下げ何処か申し訳なさそうな顔をしながら標準を定める。
「おっと、それは困りますよガッチマン隊長。」
「うん、困るだろうね。でも君が辞めないならこうするしかないんだ」
「…それなら私もミッション成功のために貴方に銃を向けざるを得ない様ですね。」
「……2対1。どうするん?」
「……。」
キヨは数秒の間に打開策を編み出し、まずはレトルトにスナイパーライフルを投げ付けた。少し怯んだレトルトに気を取られたガッチマンの隙をついて銃を取り上げる。その銃でレトルトの利き腕を撃ち抜けば姿勢を低くしてレトルトの足に足を引っ掛け転ばせる。其の儘レトルトの頭を撃ち抜けばガッチマンの下顎部に銃を突き立てる。
「……チェックメイト、ですかね。」
「随分と格好つけたね」
「今すぐここから立ち去ると言うのなら銃を貴方に返します。」
「それで頷いて銃を返してもらった後に君を撃たない保証は?」
「アンドロイドは人間の真偽を識別することが可能です。」
「…へぇ、」
ガッチマンは銃を叩けばキヨの手首をひねり銃を取り返す。キヨは咄嗟に後ろに下がりレトルトの銃を取りガッチマンに向ける…も、そこにガッチマンは居らず背後から首を締め上げられる。後ろの確認が出来ぬまま後ろに向かって銃を撃つも当たる気配がないので仕方なく自分の脇腹ごとガッチマンを撃ち抜く。唸り声を上げ拘束を緩めたガッチマンから距離をとっては眉間を撃ち抜き試合終了。幾ら倒すためとは言え自分ごと撃ち抜いたのは不味かったのか黒い血が白いシャツを染めてゆく。元の位置に戻ってはスナイパーライフルを構えスコープを覗く。
_目的を見失った。
辺りを見てももう居ないらしいその静寂に銃を置くカチャリ、という無機質な音が響いた。
そしてゆっくりと開かれる扉の蝶番の音。慣れた靴の音に後ろを振り返らずとも声をかける。
「ミッションは成功しましたか?」
「いいや、あの後は知らん」
「……どうして?」
「お前がいないから探すために走り回ってたんだよ」
「私なんて気にせず処分すればよかったじゃないですか。」
「こうやって裏でコソコソ動いてる可能性だってあったわけだ」
「…意味が分かりません。」
「…はぁ、随分派手にやったな」
「私に非はありません。」
「そうかもな」
牛沢は大股で此方に歩み寄ればキヨの胸ぐらを掴んだ。
「お前は人間か??」
「機械です。」
「だよな?機械なら何故勝手に動いた?」
「私はプログラム通りに動いたただけです。」
「お前には選択があったんだよ。プログラム通りに動くか、お前の相棒である俺の命令を聞くかの二択がな。それでお前が選んだのは前者。そう、選んだんだよ。お前は。選んだ時点でお前に自我があるんだよ。分かるよな?」
「……。」
キヨは眉を顰め牛沢の顔を見詰める。相棒の感情を理解しようとする時にする動作だ。
「それだよ、その顔。無自覚か?もうお前も人間だな」
牛沢は呆れたように胸ぐらを離せば銃を向けた。
「お前に自我がある時点でお前もアウトなんだよ…」
「……。」
キヨは左手首を掴み脈を測る仕草をする。
銃を構えたままそれを見る牛沢。
「ニンゲン…ですか?」
肌の色を落とし素材そのものの白色を見せては、キヨは眉を下げそう問うた。
「お前は……」
銃口が震える。標準を定めていたはずなのに銃口の震えは酷くなり次第に下がって行った。
「…お前を手離したくない」
「……私も、まだ貴方とミッションを成功させたい。」
「でも、お前はタブーを犯したんだよ」
「……私はもう…変異体なのでしょうか?」
「…嗚呼、お前は変異体だ。ニンゲンの心を知ったんだよ」
「…………」
キヨは数秒俯いた後、柵の上に立つ。
「キヨ!辞めろ!!」
「牛沢さん……。」
「キヨ!」
「うっしー。」
「っ……」
「愛してる。」
キヨはへにゃ、と機械らしくない笑顔を浮かばれば其の儘柵の外へと身を投げた。
数秒後に聞こえてきたのは重いものが床に当たる破裂音。その後訪れた静寂に響いたのは牛沢の啜り泣く声だった。
彼奴は知って居たのだろうか、キヨと名付けた理由を。
『うっしー、遅い』
『ごめんって、ほら、おいで?』
『…ん、もう許さないから』
『はいはい、』
『うっしー、愛してる』
キヨは実在した人物だ。彼はアンドロイドを何よりも愛していた。
__そう、この世界にアンドロイドを作ったのは他の誰でもないキヨだったのだ。
そんなキヨが変異体によって殺された…正しくは主のせいで変異体になったアンドロイドを宥めようとして死んだのだ。変異体が悪いと一概には言えないこの事件が起こった数日後に俺は変異体取締局に務めていた。もう二度とこんな事件を起こさぬように。そしてアンドロイドを相棒にする制度が設けられて数日経った時、局長が牛沢にオーダーメイドでアンドロイドを作ってくれる友人がいると紹介してくれた。その人はキヨと仲が良かったフジと言うらしい。キヨを失い1人でアンドロイドを作らざるを得なくなったフジはお手伝いとしてヒラというアンドロイドを連れていた。そこで俺はキヨの写真を見せ、このアンドロイドを作って欲しいと頼み込んだ。フジは目を見開き「君がキヨの恋人……?」なんて心底驚いた顔を向けた。牛沢は静かに頷けばフジは眉を下げ同情するように苦い笑みを浮かべた。そして「作業に取り掛かるよ。」なんてヒラを連れて部屋に引っ込んだ。その数週間後にキヨ…基、アンドロイドが届いたのだ。初めて見た時はまるで生き返ったと思うほどのクオリティで思わず抱きしめた程だ。フジは「気に入ってくれて良かった。」なんて笑って居たが何処か寂しげな様子だった。
そこからキヨには色んな話をした。でも、本物のキヨの話はしなかった。……が、どう足掻いても機械は機械なのだ。サイドテーブルに立掛けてあった写真を見て誰か分かったのだろう。そして、芋蔓式でフジの存在と牛沢とキヨの関係値を知り、フジに牛沢についてと生みの親についてを聞きまくったのだろう……。
最後に呼んでくれたあだ名が頭の中でグルグルと渦巻く。
『うっしー』
「うっしー。」
『「愛してる」』
俺はただその場で蹲り、声を上げて泣いた。年甲斐もなく…いや、もうそんなことすら頭になかった。ただただ悔しくて、寂しくて、辛くて、痛くて……。俺が俺じゃなくなったかのように泣き喚いた。
「俺もっ……、ずっと…、愛してる……」
苦し紛れに吐いたその言葉は突然降り始めた雨によって誰にも届くことなく消え失せた。
︎ ︎︎︎︎︎