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壱話「指名」
俺の名はミリダムス・ロートル・ダーバン。
通称ミリダムスだ,と言っても俺のことを呼んでくれる物好きなんてこの世界には居ないんじゃないのかと思い始めてきた。
そう,俺は人と関わりがないのだ。
強さを求めるがあまり人間関係に背いてきた結果と言えるのだろうか,一緒に酒を飲める友人も
背中を預ける戦友さえ俺には居なかった。
だが,その分俺はこの世で一番「強い者」としての称号,「強鬼者」を得た。
正直俺はこれが欲しくて力を求めてきたのかはわからない。
早二千年の時を経てそう思うようになった。
約一万年孤独だった俺は遂に決心をした。
「ギルドに行き,パーティを作るぞ」この決意は翌日バラバラに打ち消された。
「すみませんが,パーティ組むのに貴方様に相応しい人がおり ませんよ。」
この言葉によって打ち消されてしまった。
確かに,任務も俺1人でなんとかなる,国家転覆だってできてしまう。
「なぜだ…」「どうして…」と思っていると,俺の目の前に今まで感じたことのない気配を出しながら近づく者がいた。
「何者だ」
と問いかけた。
「私は天魔騎士長のグレイグルスと申します。」
ニコッとした表情がすごく不気味で気色悪い印象だったことを今でも覚えている。
「天魔騎士…?なんですかそれは」
俺は疑問に思いさらに問いかけた。
「場が悪いので,場所移して話しましょうか」
やはり,わからない,わからなくてはと俺は思い付いてった。
「これが天魔騎士の存在意義ですよ」
1時間近く彼の話を聞いた。
つまり,天魔騎士とは天使属〈エンジェル・ラブリー〉と言われる種族と魔人〈デーモン・アーク〉と言われる種族が,十万年単位で襲来してくるとのこと。
そこで天魔による大惨事を防ぐが為に天魔騎士と言うのを編成しているそうだ。
俺の種族は亜人でもなければ人間でもない「悪魔」なので,なぜ俺に声をかけたのかが分かりかねる。
いや…それを知った上でのことだろう。
何よりこの”グレイグルス”と言う人物に勝てる気がしないのだ。
化け物の中の化け物。
正直に思った,この人なら俺を更なる高みに登らせてくれるだろうと。
「分かりましたが,天魔騎士になって初めになにをすれば良いのでしょうか?」
俺は訪ねた。
「力をつければいいですよ,そのうち貴方に任務等も出るでしょうし,」
やっぱり,不気味だ,それはいいとして
俺はこの長い生の中で初めてなんらかの組織に入った。
それが「天魔聖樹騎士団,特別天魔特効騎士」だ。
天魔特効騎士に所属してからとにかく力をより求めるように修行をした。
配属されてから一ヶ月弱経った時に,緊急招集が出された
俺と同じ天魔特効騎士の団員数は23名,その中でもトップクラスの四天王,その上の2世天の王
と呼ばれる存在がある。
その方達を中心に幹部が集まっているので,大事なのかと思った。
「今宵,招集をかけた理由はわかるかね?」
この一言でざわついた
『静まれ,下位のものが』
この声は四天王の”ミルニア”彼は態度は悪いし口調も悪いが,実力はある。
正直絡みたくない奴堂々の一位だ。
「天魔の封印が弱まった、、、」
皆が黙った。
「恐らく1万年後だろう。」
皆は役7万年後と聞かされていたので不安になる者も居た。
それから役5千年が経った今。
「ミリダムス様,任務無事終えました。」
「ご苦労,次の任務の編成を練れ,俺に伝えろ」
「はっ」
俺には出し切るだけの精神力がなかっただけで,それさえ有れば絶対的な能力,スキル,力を得ることができたのだ。
これは神すら越えられない業である。
しかし俺が未熟なのか,”力”を完全に支配することができない。
逆に支配されてしまいそうだ。
ので力を抑制する陰陽の秘宝の一つ,陰陽面を付けている。
効果は己の力の10/4まで抑えること。
これは弱者が使えば意味を成さないが,俺が使うと意味を成すようなものだと勝手ながら思っている。
「完了致しました。」
「急ぎ,騎士長に伝言を,いつでも動ける、とな」
「急ぎ御伝え致します。」
俺は少しニコッと笑い,
「楽しみだなぁ」
と呟いた。
「ミリダムス様,もう動けとのことです。」
「了解,出陣せよ!」
この一言で一斉に動いた。
「目標魔人族が復活するかもしれないリザールチを占拠,抵抗するものがいたら殺せ。」
魔人族が復活する地は汚れているが,俺は魔人に近い悪魔族なので少し感動した。
「ミリダムス様,こちらに全部解除〈キャンセル・ミラミ〉が,,」
「よく見つけた,貴様には後に褒美を与えよう,考えとけ」
「ありがたきお言葉,それだけで十分でございますよ。」
「ははっそうかよ」
案外この生活も悪くないのかもしれない。
俺は出世し,天魔特効騎士団,「第3席団」を受け持つことになり,部下を持つことにも不満はなかった。
何より,仲間と呼べる存在がほしかた俺は十分に満たされたからだった。
我々天魔聖樹騎士団の本拠地である,「グラウンド・オラウ国」は敵国が多い為
騎士が足りなくて,天魔騎士を呼ぶことがあるそうだ。
くだらない,と思ってたら俺は呼ばれてしまった。
憂鬱でしかないと感じたが,上の命令は“絶対”だ。
抗おうにも抗えない,俺にとって力より忠義を尽くせる方が見つかったのだ。
そのおかげで俺は真面目に任に取り付くことができているような気がする。
普段は第三席団長であるが,緊急時や,大事な時は俺は天魔騎士団を取りまとめる”グレイグルス”の側近としている。
このお方のおかげで俺はこんな生活を手に入れたのだから,ありがたく思ってる。
そんなある日俺1人呼ばれた。
「何か隠してるだろ」
いまだに君悪い笑顔を見せてくる。
「と言いますと ?」
「君の種族」
「悪魔族〈デーモン・ウィッシュ〉ですが」
「もう一つあるでしょ」
本当に驚いた,今までの生の中で一番驚いたかもしれない。
「龍神族のことですか,?」
潔く聞いた。
「そうだ,なぜ隠してたのだ」
「話す必要がないのかと,,」
わかってはいたけど,圧がすごい
「そうか,,,」
「お前は未だに未知なことばっかだな」
龍神とは龍〈ドラゴン〉を使役し,圧倒的実力を持つ種族
俺はその間に生まれた,悪魔と龍神のハーフということになる。
「では俺はもう行く。」
ここから先に絶望が待っているなど,知る余地もなかった・・・