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あれは数年前のこと。多分、16歳の春。桜と同じ色の瞳で君は柔らかく笑っていた。その時だった、 急に言われた。
「好きだ」
一瞬、心臓が止まった気がした。喉が詰まって、言葉がでなかった。な んとか一言絞り出した。
「は? いや、何言ってんの? 自分は男で、お前も男で、……」
「うるさい黙れ。」
って、珍しく君の瞳は自分を真っすぐ見てた。いつもは何言ってもこっちを見ない癖に。
「いいか、よく聞け。お前が男だとか、関係ねぇ。お前だから好きなんだよ。お前の性格が好きなんだ。だから俺は、お前の肌の色が黄緑であ ろうと、何であろうとどうでもいい。“お前”だから好きになったん だ。」
「は?」
それしか言葉がでなかった。
「いや、は? じゃなくて、… その、 お前はどうなん?」
大きく、ゆっくり息を吸って、でも、自分もしっかりと君を見つめ て、
「自分も、好き、だよ」
その時、桜が舞った。その桜は、なぜかぼやけていてよく見えなかったけど、どうしようもなく綺麗に見え た。
「……忘れられるわけ、ねぇだろ、」
冷たい石の塊の前で、気づけば自分は呟いていた。
「なんて、誰も聞いてないのに、」
乾いた笑いが漏れた。
あいつがいる春は、もう帰ってこない。