TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

___ 君の虹は、何色に見える?


fj side __


俺が彼奴の体の事について知ったのは

高校2年の夏の頃だった 。


軽音部に所属してた俺は他の奴に比べて

体力もないし体もヒョロく見えた


周りの奴らは運動部ばっかで体つきも良く

俺にとっては憧れだった


1 人 を 除 い て 。


そいつはサッカー部に所属していた


他の奴らよりずば抜けた長身で

スラっとした綺麗な顔立ちは

男の俺でも格好良く見えた


でもサッカー部にしては全体的に細く

むしろ、俺よりずっと細く見えた 。


彼奴とは中学からの同級生で

お互いに1番の親友と言える程だった


これからも死ぬまで一緒

なんなら死んでも一緒に居てやる


そう思ってた ___


___________________



fj ) お、キヨじゃーん


ky ) おぉ、久々


fj ) クラス離れてから会う事

めっちゃ減ったよなー


ky ) 何、寂しいって?笑


fj ) 思ってねーよ笑お前こそどーなの?笑


ky ) 別にー?笑


fj ) 別にとか言うなよ!


ky ) だって部活ねーとき一緒帰ってるし


fj ) それはそうか.. あ、今日部活ある?


ky ) ない 。お前は?


fj ) 休み


ky ) じゃ、帰るか


fj ) おう 。玄関で待っとく


___________________


fj ) .. おっせー、


ky ) わりぃ..遅れた


fj ) もー、このマイペース野郎が


ky ) だからわりぃって..笑


fj ) 早く靴履き替えてきてよ


ky ) おめーが止めてんだろ ..



何気ない会話も楽しかった _____



ky ) うぃ お待たせ


fj ) よし、行こ


ky ) おう 。



こうやってお互いの部活がない日に

一緒に帰るのが1番の楽しみだった 。



fj ) わざわざ家までありがと


ky ) ありがとって彼女かお前は


fj ) 素直に受け取れや


ky ) ごめんごめん笑 じゃ、また明日


fj ) うん 。明日ね



この日もいつも通り「また明日」の言葉を

交わし 、互いに笑い合った


この「また明日」が最後になるなんて

微塵も思っていなかった 。



__________________



fj ) … 今日も休みか


hr ) あっ、フジー


fj ) お、久々だなー


hr ) ほんとだよー 。キヨくんだけ

じゃなくて僕にも顔見せに来てよねー?


fj ) あー 、ごめん笑

てか 、なんで彼奴休んでるか知ってる?


hr ) キヨくんー?んー 、分かんないや

こーすけにも聞いてみてー?


fj ) だな 。さんきゅー


hr ) じゃーねー


fj ) こーすけ .. 探すか


___________________


fj ) あ 、居た 。こーすけー!


ks ) ん? .. うお!フジじゃん!


fj ) 久しぶりー


ks ) だなー!お前から話しかけてくる

なんて珍しいなぁ笑 なんかあった?


fj ) お察しの通り


ks ) なんだなんだー?


fj ) キヨ何があったか知ってる?


ks ) あー 、彼奴の事か 。

あんま詳しい事は分かんねーけど 、

なんか入院だとかなんとか?


fj ) 入院か .. っはぁ?!嘘だろ!?


ks ) いや 、キヨの母さんから連絡あって

理由分かんねーけど入院だってよ


fj ) 病院の場所は ?


ks ) 確かー .. あ 、○○大学病院


fj ) まじか … 放課後行ってやろ 、

よし 、こーすけ助かった!ありがと!



____ 放課後



fj ) .. いや 、遠っ … えーっと .. ここか 、


俺はゆっくり病室の扉を開けた


fj ) 失礼 .. します 、


入ってすぐ目の前にある光景に

俺は言葉を失った 。


fj ) ぉ … おま 、え ..


ky ) .. んん 、誰だよ .. っえ?!なんで!笑


fj ) うわっ.. !喋った … !


ky ) いや 、生きてるから俺


彼の声はいつも通りのハキハキとした声で

この狭い病室ではうるさいくらいだった


けど 、見た目は変わり果て 。ただでさえ

細かった腕は骨がはっきり分かるほどに

スラっとした綺麗な横顔はもう無く痩せ

細って痩けた頬だけが呼吸器越しに見えた


それでも彼は普段通りの明るい笑顔で

突然来た俺を出迎えてくれた


俺は彼からくわしい話を聞いた


彼 は 病 気 だ っ た ら し い 。


幼い頃から体が弱くよく寝込んでたそう

中学に上がってからは少し良くなり

部活も出来るほど丈夫な体になった


けど最近また調子を崩すようになり

いつどこでも薬が欠かせない体に戻った


その体で彼がどう思ってたかなんて

俺は知らない 。

でも1つだけはっきり分かることがある


「 つらい 」


それは彼奴が俺に言った唯一の弱音だった


お見舞いに行ったこの日 。

俺は時間が許す限り彼奴の手を握りながら

友達の話や思い出話

休んでいる間の出来事など

伝えたい事を全て伝えた


病気のことなんて忘れるほど

いままでで1番幸せな時間を過ごした



fj ) あ 、そろそろ帰らないと ..


ky ) もうこんな時間か


fj ) .. なぁ、キヨ


ky ) ん?


fj ) お前 ..


「 絶対死ぬなよ 」


ky ) ふっ .. 当たり前だわ!笑


fj ) じゃ、またね


ky ) おう、またな



俺に別れの言葉を告げる君の顔は

心無しか少し寂しそうに見えた 。



「 死ぬなよ 」



俺 は 彼 奴 を 信 じ る



___________________



蝉の声


風鈴の音


眩しく照らす太陽


真っ青な青空



この世界の全てがいつもより明るく見える



蝉の声と人のすすり泣く声


風鈴の音と数珠の擦れる音


眩しく照らす太陽とロウソクの火


真っ青な青空と彼の笑顔



彼奴は空へ旅立った



俺は何も思えなかった



遺影の彼は太陽の光よりも

ずっと輝く 眩しい笑顔 をしていた



今更何を思ったって時間は進んでいくばかり


それなら最後まで笑っていよう


彼の笑顔に応えるように


俺は


心の底から


笑ってみせた _____



そっちに行くまで待っとけよ




幸せになれ


この作品はいかがでしたか?

185

コメント

1

ユーザー
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚