すごい…‥
千葉の言う通り、その場にいなければ絶対にわからない事だ。
亜季ちゃん、本当は現場にいっ‥
「行ってません」
千葉がくだらない話をダラダラと話し、僕が勝手な想像をしていると、亜季ちゃんは突然僕に向かってそう言ってきた。
「何だよ? 俺っちが話してるんだ。邪魔すっ‥」
「ごめんなさい。別に千葉くんのとっても貴重で人を惹きつけては離さない素晴らしい話を邪魔するつもりではなかったの」
「妹、お前わかってんじゃん。結構いい奴だな」
亜季ちゃんは千葉に手を合わせ謝っていた。
こんな奴に謝る必要なんてないのに…。
「私もそう思いますけど、言っとかないと後々面倒くさそうだか…」
「そっ、そうだね…」
亜季ちゃんは、千葉に聞こえないように僕の耳元で囁いた。
今はこんな風に接しているけど、元の生活に戻れば、僕と亜季ちゃんは話をする事も、一緒にいる事もない只の同級生に戻ってしまう。
…‥数日後、千葉は病院を退院した。
僕は記憶の一部がなくなってしまっていた為、しばらく検査入院する事となった。
でも、1つだけ嬉しい事があった。
それは亜季ちゃんが、あれからも御見舞いに来てくれていた事…。
学校が終わると電車に乗って会いに来てくれた。
そして、面会終了の時間までいてくれた。
こうして亜季ちゃんと一緒にいられるなら、ずっと入院していてもいいと思った。
でも、亜季ちゃんといる時は出来るだけ退院した後の事など、余計な事は考えないようにしていた。
なぜなら亜季ちゃんは僕の表情や態度から、思ってる事を察してしまうからだ。
だから余計な事は考えないし、口に出さないようにしていた。
また、学校からは担任の松下とクラスメイトの舩橋、増田も御見舞いに来てくれた。
もちろん葵さんも来てくれた。
でも、不思議な事に葵さんと亜季ちゃんが同じ時間に鉢合う事は1度もなかった。
まるで、お互いが時間をズラしてるかのようだった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!