テラーノベル
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最新のVR設備や大型筐体が立ち並ぶ、屋内型ゲームアミューズメントパーク。
薄暗い館内にネオンが光るサイバーな空間は、二人にとって最高のデートスポットだった。
「よし、なつ。今日は遠慮なしでいくからな」
「望むところだし。いるま、負けて泣き言言うなよ?」
二人が最初に選んだのは、対戦型のガンシューティングゲーム。
お互いにコントローラーを構えた瞬間、それまでのデートの甘い空気から、一気にガチのゲーマーの目つきへと変わる。
「そこ、右から来てるぞ!」
「わかってる! いるまは左のボスに集中して!」
息の合った連携を見せつつも、最終的なスコア競争では一歩も譲らない。
トリガーを引くなつの真剣な横顔に、いるまはゲーム中にもかかわらず不意に見惚れてしまう。
「……っと、しまっ――」
「はい、うちの勝ちー。油断したね、いるま」
リザルト画面に表示されたのは、なつの僅差での勝利。
なつはニヤリと不敵に笑うと、メンズパーカーの袖から覗く小さな手でハイタッチを求めてきた。
いるまは苦笑しながら、その手をパチンと合わせ、そのまま指を絡めてギュッと握りしめる。
「あ……/」
「ゲームは負けたけど、これは離さねぇから」
「……不意打ちはずるいじゃん」
急に男の顔を見せてくるいるまに、なつは一瞬で顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。
次に向かったのは、このパークで今一番人気があるという「超リアルホラーVR」のコーナー。
ヘッドセットを装着し、360度どこを見ても不気味な廃病院が広がる世界へと没入する。
「……おい、なつ。これ、思ったより雰囲気がガチすぎるんだけど……」
ヘッドセットの向こうから聞こえるいるまの声が、心なしかいつもより少し高い。
「何、いるま。もしかしてビビってんの?」
「バ、バカ言うな! 俺がそんなわけ――」
その瞬間、足元から突然リアルな効果音と共に、血塗られた手が凄まじい勢いで這い上がってきた。
さらに、正面のドアがガシャーーーン!!と大きな音を立てて跳ね上がる。
「うわあああああああ!!! 出たッ!!! 何か出たって!!! 待て待て待て!!!」
「ひゃあああああああ!? びっくりしたあ!!! ちょっと、いるま声デカすぎ!!」
強がっていたなつが小さく悲鳴を上げて飛び退くと同時に、いるまも「うおわぁっ!?」と完全にパニックになって飛び退いた。
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暗闇のVR空間の中、二人はお互いにぶつかり合うようにして、必死に相手の服を掴み合う。
「なつ!! 右!! 右に何かいる!!! 迫ってきてる!!!」
「ちょっといるま引っ張らないで!!! 前見えない!!! うわあああ、こっちにも来た!!!」
いつもなら冷静ないるまが、完全に余裕をなくしてなつのジャケットの袖をギュッと握りしめている。
暇72も、いるまの胸元に思いっきりしがみついて頭を伏せていた。
「おい、なつ……! 手、繋ぐぞ! 離すなよ!!」
「いるまが離さないでよ!!! 怖い、もう進みたくない!!!」
現実世界のいるまの大きな手が、ブンブンと手探りでなつの手を掴み、これ以上ないほどの強さでガチッと指を絡ませた(恋人繋ぎ)。
お互いに「うわっ!」「ひぃっ!」と仕掛けがあるたびにシンクロして叫び、ビビり散らかしながらも、繋いだ手だけは絶対に離さない。
二人は半分お互いの背中に隠れ合うようにして、限界ギリギリの状態でなんとか最深部をクリアしたのだった。
ヘッドセットを外し、現実のリビングのような休憩スペースへと戻ってきた二人。
いるまはソファにドサッと深く腰掛け、完全に魂が抜けたような顔で天井を見上げている。
その隣で、なつもまだ心臓のバクバクが収まらない様子で、冷たい炭酸ドリンクを両手で持ってストローを咥えていた。
「……死ぬかと思ったわ」
「……いるま、あんなに大声で叫ぶと思わなかったし。」
ストローを咥えたまま、ジト目でジワジワといじってくる暇72。
しかし、その顔はまだ少し赤く、フリーの手はいるまのジャケットの裾をきゅっと掴んだままだ。
いるまは小さく溜息をつくと、恥ずかしそうに顔を背けながら、なつの頭を自分の肩にそっと引き寄せた。
「悪かったよ……。でも、お前が隣にいてくれなきゃ、マジで途中でリタイアしてた」
「……。うちも、いるまが手、繋いでてくれたから、なんとか最後までいけた」
いつもはツンツンしている猫のような彼女が、肩に頭を預けたまま、小さな声で素直な本音を零す。
いるまは愛おしさが爆発し、空いている方の腕でなつの細い腰をしっかりと抱き寄せた。
「家に戻ったら、今日のことは絶対他のやつらに言うなよ? 特にらんとかすちに知られたら一生擦られる」
「ん、内緒にしといてあげる。……その代わり、帰るまでもっとこうしてて」
二人のビビり散らかした心臓の音が、今度は心地よい甘い鼓動へと変わっていく。
いつもは頼れる彼氏の可愛いギャップと、そんな彼氏に寄り添う彼女の、二人だけの特別なアミューズメントパークの夜が更けていくのだった。
コメント
1件
第6話、楽しく読ませてもらいました! VRホラーでビビり散らかしている二人の掛け合いが本当に可愛くて、思わず笑顔になりました。普段は格好いいいるまが「うわあああ!」ってパニックになってるギャップ、最高です。なつが素直に「もっとこうしてて」って甘えてくるシーン、胸が温かくなりました。デートの空気感がすごく自然で、読んでいてドキドキしました!連載、楽しみにしてますね。