コメント
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え 、 え も
庶幾の唄、と書いて「こいねがううた」。めっちゃえもっちぃですね!!!!
もりょき
庶幾の唄をレコーディングしてる時の二人を想像と理想だけで書きました。
俺たちは互いに惹かれあっていたと思う。そうでなければ、今ここで二人でレコーディングしている事も、共にライブを遂げた事実も無くなっているだろう。
両方共に無言、ただ手元の楽譜と一体一の空間。ガラス越しにチラチラと彼に目配せをするも、華奢な指先に握られたフルートに目線がいっているのか、俺なんて微塵も見えていない。ふう、と存在をアピールするべく息を吐き、ふと壁の文字盤を見れば、ちょうど夜の二十時を回っていたところだった。
重い腰をゆっくりと浮かし、鬱陶しい前髪をかき分け、縁黒のメガネを掛ける。少しレンズが曇っているが睡眠不足かはたまた意識外だったか、別に気にはしなかった。
レンタルの制限時間が迫って来ており、これを過ぎるとまずい。涼ちゃんにそれを伝えなければ。その前に、少し机の上を整理し、スマホや財布など小物をバッグへしまう。
あ、そうだ。ここにあるカロリーメイトもどうせなら持っていこうか。ポケットに箱を入れて、足早に彼の元へ向かい、ドアノブに手をかける。
「涼ちゃ〜ん、フルートテイク何回目?」
「あ、元貴、今二か三くらい。というかレンタル時間何時までだっけ。」
「ちょうど今くらい ! そろそろ荷物持って帰ろ〜、今日若井居ないし。」
うん、と軽い返事が聞こえ、自分も耳に着けたヘッドホンを外す。四時間ぶりの現実の音、少しノイズが走っていて、気持ちよくはないな、と少し思う。
藤澤涼架。今では聞き慣れた名前だが結成当時、派手髪のキーボードが欲しいと俺が言った事で、涼ちゃんが加入する事になった。そこからなんだかんだ色々あったけど、俺は涼ちゃんを迎え入れれて良かったと思う。でも、キーボードが第二志望なのに無理やりフルートへの道を捻じ曲げてしまって、今ではとても申し訳なく後悔している。
だから、少しでも涼ちゃんのフルートが活躍出来るように、この曲を作った。リリースするのはまだ先だけど、少しでも涼ちゃんの良さが皆に伝わると良いな、なんて考えて作った。
「あのキーボード、要らないんじゃないですか?」嘲笑を含んだ薄汚れた言葉を軽々しく発してきた事、未だに脳裏に焼き付いて離れない。多分彼もそうだ。言われた時、彼がどれだけ自責の念を抱いたことか。今ではレコーディング時も特に異常はなく、言われた当時よりかは幾分かマシだろう。
「準備終わった ? そろそろ出よっか。」
「はーい ! 」
そう軽く問いかけると、数秒もしない内にいつもと変わらない笑顔と返事が返ってくる。疲弊しているだろうに、彼はつくづく光のような存在だと感じさせてくる。
そして、バスかタクシーで移動するほどの距離なのでもちろん大荷物。二人とも肩に重量オーバー以上の荷を背負い、タクシーに向かう。ここから帰るまで相当の時間が掛かる。、数十分程度では辿り着けないほど。
事務所の人に軽い会釈をし、足早に出口へ向かう。見上げればもう空は墨をこぼしたような藍色が包んでいて、目を凝らせばたまに一等星がポツポツと見える。
「星綺麗だな〜、東京でこんな綺麗なの久しぶりかも。」
「今日いつもと違う所だもんね、確かに綺麗〜 ! 」
若井が居ないこと、いつもとスタジオが違うこと。今日は少し非日常な一日だったなぁ、なんて思いを掘り返す。なにか足りない気がして、ふとポケットに手を入れると、硬い感触と紙の容器の擦れる音がした。
差し入れとして涼ちゃんに持ってきていたものが、俺とした事が少々忘れていたみたいだ。手のひらに取り出すと、少しベコっとへこんでいるものの、他には特に外傷はなさそうでホッと一息をつく。
「あ、涼ちゃん、! 今日はお疲れさん。」
「えっ、いいの ! 俺初めて食べるかも〜」
「いやいや、俺もたまたま持ってただけ。」
ポイッと手から離される箱をキャッチして、嬉しそうに目を輝かせる彼はとても愛らしく、日光が閉ざされた薄暗い空間でも、彼の喜ぶ顔が充分に見える。
ふふっ、とついこちらも笑顔になり、少し肌寒いこの空もどこかふんわりと甘く暖かくなった、そんな気がした。
この曲がキャンペーンの公式ソングに抜擢されるのは、また別のお話。
余談
そういえば、庶幾の唄ってカロリーメイトのキャンペーンソングになっていたな…?と思い書きました。
特に難しい表現も恋愛要素も何も無いのですが、個人的には良い作品にできたと思います。
もりょき好きなんですよね、私。昔から藤澤涼架、という人物は知っていたのですが、こうハマってみるとなにか深いものを感じますね!!
でもこれ書きながら聴いてたの鯨の唄なんですよね…なんか後悔。
涼ちゃんはフルートの腕が抜群であの肺活量とテクニックがあるからこそ、庶幾の唄の良さが引き出せたんだと、私は思います。歌詞のどこか底抜けた明るさが救われます。すごく好きでよく聞いちゃうんですよね笑
これも大森さん達の努力の結晶、私は音楽を学んでいる訳では無いのですが、どこか彼らの思いが伝わる曲です。
多分、これからもりょき以外のペアのSSを気分で投稿して行きます。
リクエスト等無理しない範囲での了承になります。
たまに恋愛要素など入る時ありますので、ワンクッションを付けさせてもらいます。
それだけ
ばいもち〜