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ピピッ ピピッ ピピピピ ピピピピ
聞きなれたアラームで目を覚ます。
何故か今日は二度寝しようと思わないほどスッキリ目覚めることが出来た。
そういえば俺、昨日天海さんに変なこと言っちゃったんだっけ…
昨日の自分の行動を思い返すと後悔の言葉しか出てこない。
ゆっくりと身体を起こし、昨日の出来事が夢であってくれと願いながら周りを見る。
綺麗は綺麗に片付けられ、オマケに皿洗い等もしてくれている。
「…さいあくだ」
「何が?」
「っあ、まみさん!?」
いきなり後ろから声をかけられ驚きで変な声が出てしまった。
そんな俺を見て天海さんはクスクスと笑った。
「蓮くん、俺のことは優って呼んでよ」
「え、でも…」
「やっぱ苗字だと距離感じちゃって寂しいんだよなぁ」
分かりやすく眉をひそめた天海さんに少し戸惑いながらも名前を呼んでみる。
「ゆう、さん」
「さんじゃなくてせめて君付けがいいんだけど…」
「ゆ、ゆう…くん」
「うん!そのまま呼び捨てで」
「それは絶対無理です!!」
「ふふ、じゃあ慣れたら呼び捨てにしてね」
俺が大袈裟に拒否すると意地悪っぽく笑って優くんはそう言った。
この人、色んな表情するんだな…
「あの、ゆうくん…俺のことは呼び捨てにしてくれないんですか?」
自分だけ呼び方を変えるのは理不尽だと思ってそう聞くと少し驚いたような表情を浮かべてすぐに名前を呼んでくれた。
「蓮……これでいいかな?」
「は、はい…」
少し意地悪をしたかったのに逆にこっちが恥ずかしくなる。
「あっ、そういえば空いてる部屋勝手に借りちゃったけど良かった?」
「え、あ…はい」
空いてる部屋は確か、××が元々使ってた。
「あの、物とか全く残ってなかったですか?」
「いや、何も無かったよ?」
「そう、ですか……」
それを聞いて本当に××は自分のことを捨ててしまったんだなと理解する。
少しでも××物が残っていれば、また自分のところに戻ってきてくれるのかもしれないとそう思えたのに、全くないんじゃ期待すら出来ない。
「…蓮、もしかしてまた元恋人のこと思ってるの?」
「え?」
「顔、今にも泣きそうだよ?」
「あは、そんな…」
否定の言葉を述べようにも苦しくなるだけで、視界は歪んでいく一方だった。
「蓮」
パチンと目の前で手を鳴らされ、驚いて顔を上げる。
「今日からは、俺の事を思って?」
そう言ってニコッと笑った優くんはすごくカッコよく見えた。
よく、失恋したあとは恋に落ちやすいとか聞くけどこういうことなのかな?
苦しかったものが一気に暖かいものに変換されていく。
「今日から蓮くんには俺の事いっぱい知ってもらわなきゃだからさ!あっ、もちろん俺も蓮くんのこといっぱい知りたいから俺にも教えてね」
なんで優くんの笑顔ってこんなに元気が貰えるんだろ?
「わかり、ました。俺もう、過去のこと考えるのはやめにします……優くんのこと、沢山知りたい…です!」
今できる精一杯の笑顔を向けると優くんは一層嬉しそうに笑った。
「よし!じゃあ今からお出かけに行こう!お互いのこと知る為にもね!」