テラーノベル
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好きがバレたら終わる。そう思うようになったのは、
この距離に慣れてしまった頃だった。
昼休みの教室。
机を寄せて、いつもの5人で集まる。
テストの話、先生の愚痴、どうでもいい雑談。
いつもと変わらない光景。
その輪の中で、
君は当たり前みたいに、僕の隣にいる。
誰かが笑って、
君もつられるように笑う。
その横顔を見られるのは、
「友達」としての立場を持つ俺だけだ。
「ほんと仲いいよな、お前ら」
誰かが軽くそう言う。
君は特に気にした様子もなく、
「そうかな」と笑って返す。
僕も笑う。
それ以上の意味を持たせてはいけないから。
放課後の廊下。
前にも後ろにも友達がいるのに、
なぜか君の存在だけが近い。
名前を呼ばれて振り向くだけで、
心臓が跳ねる。
視線を逸らす。
距離を測る。
感情を押し込める。
全部、癖になっていた。
友達の笑い声に紛れて、
この気持ちも消えてくれたらいいのに。
そう思うのに、
消えるどころか、増えていく。
君が当たり前のように
隣にいるたびに。
好きがバレたら終わる。
この関係も、この居場所も。
だから言わない。
今日も。
たぶん、これからも。
これは、
大勢の中にいながら、
二人だけの距離を必死に守ろうとする、
そんな恋の話だ。
__一方通行だと、
信じきっている、僕だけの。
〈 好きがバレたら終わるから 〉
上げ直しごめんなさい💦
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