注意 旧国、薬物、微鬱描写アリ。主の自己解釈、理解不足の為史実と異なる部分が多々含まれま す。 戦争賛美、政治的意図等は一切ございません。
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―依存と中毒は違う。―
依存とは他のものによりかかり、それによって成り立つこと。中毒とはある種の物質を体内に摂取することにより機能障害をひき起こすことだ。この2つは似て非なるものである。
「…そういう事で、1度。1度だけで良いので買ってくれませんか?」
目の前に座る紳士、大英帝国ことイギリスはにこやかに微笑みながら我に問いかける。
正直、此奴の話は現世界一の国である自分の自慢の話がよく混ざり込んでいるせいで聞く気が失せていつもあまり聞いていない。大体は此奴の話を聞き流して此奴が満足したら何を問われることもなく会話は終わる。なのに何故我は今此奴に問いかけられているんだ?
『いやアル。胡散臭い。』
話を聞いていないなんて正直に言うのは癪に障るので取り敢えず本音だけ言っておく。此奴からの商談なんてどう考えても胡散臭い、そんな本音だ。
「いいんですか?貴重なアヘンが入手出来るなんて完全に貴方に利益がある商談ですよ?」
“利益がある”という言葉に我の本能が敏感に反応してしまった。やっぱり1度だけならいいんじゃないか。もし我が不利益だと感じたならすぐに貿易を辞めてしまえばいいだろう。そんな浅はかな考えが頭を過った結果、我はイギリスとの貿易を承認してしまった。三角貿易だかなんだか言っていたがあまり詳しくは聞いていない。承認したときのイギリスは思えば裏がありそうな微笑を浮かべていた気がするが、その時は目の前の儲け話に目が眩んでおりイギリスの顔なんて気にも止めていなかった。
貿易が始まり、インドからイギリスが推していたアヘンというものが届いた。どう見たってただの草だ。騙された。もう貿易なんて辞めてやろうと思いつつもイギリスの「アヘンは貴方を幸せな気分にしてくれる」という言葉が気になった。アヘンは吸うだけでいいらしい。”幸せな気分になれる”だなんてどうせ彼奴のでまかせだろうが試してみるのも悪くないと思い1度だけ、吸ってみることにした。
『なんアル…この感覚…!?』
何故か無性に幸せな気分になる。心が軽くなり、悩みやら不安やらそういう負の感情が頭の中から消え去った。ただただ幸せな思い出がリアルに蘇って、政治の事、難しい事なんて考えないでいいような気がした。すとんと肩の荷が降りて気が楽になる。その感覚はこれ以上上手く言葉に出来ないが、とにかくとてつもなく大きな多幸感を我にくれた。ただただアヘンの効能が続く間、幸せな感情に優しく包み込まれていたのだ。この感覚がずっと続いて欲しいと心から願った。
気づけば1度だけのつもりだったはずなのに我の手は勝手に2つ目のアヘンの方へ伸びていた。────
あれからどれ程たっただろう。未だにアヘンの沼は深くて、抜け出せそうにない。頭の中には辞めないといけないっていう危機感が確かにある。辞めなきゃまずいという尋常じゃない不安に掻き立てられる。その上でアヘンの副作用の吐き気やら、発熱、身体の尋常ではないだるさとかそういう酷い生き地獄に引きづり込まれている。だからアヘンを吸ってしまう。身体的痛みを、精神的苦痛を、そんな苦しみを一瞬でも忘れさせてくれる、幸せにしてくれるアヘンに縋り付いてしまう。結果、それがループし続ける。アヘンが無ければこの苦しみに負けて死を選んでいたとしても不思議じゃない。つまり、アヘンが無いと生きられなくなっている。我が今成り立てているのはアヘンがあってこそだ。
分かっている。分かっているはずだ。これは中毒なんて生温いものでは断じて無い。
“重度の依存”だ。
コメント
27件
やばい凄いさすがというかなんというかぁ!?!? へへ、サムネのイラストも神がかってるや…… 拝めよ拝めよぉぉ…
やだまって大好きすぎるんやけどああああああ……… じゃあ俺はしんちゃんに依存しちゃおっかな…(??)
んふふふむふふふふふふ…(^^)