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shk side
??「やっほ~、きんさん」
長身の男がきんときに向かってフランクに話し掛ける
すると、きんときは男の後方に目を向け、顔をしかめた
kn「Broooock、もう少し静かに入ってきて。
ドア壊れちゃったじゃん」
br「え……?あ、ほんとだ。HAHAHAHA」
kn「いや、HAHAHAじゃなくて……」
そう言い、コイツは眉間を抑え、溜め息を一つ吐いた
kn「No.7110」
mb「はい」
kn「そこのドア直しといて」
mb「かしこまりました」
7110と呼ばれた人が、てきぱきとドアを直していく
俺がその様子をぼーっと眺めていると、長身の男が此方へ向かって歩いてきた
br「で…きんさん、この子が僕の遊び相t……ん”ん”ッ、訓練する子?」
kn「あぁ」
br「へー」
そう言い、男は不躾にマジマジと俺を見てくる
その時、ふわっと鉄が錆びたような異臭がし、俺は思わず顔をしかめる
コイツ、仕事終わりかよ。
男はニコッと俺に笑いかけると
br「こんにちは。ボク何歳?
お名前言えるかな?」
そう言い、俺の目線に合わすように屈み、幼子に話し掛けるような口調で話しかけてきた
その舐めきった態度に苛つき
shk「おい、子ども扱いすんな。これでも18だ」
そう言い放ち、キッと男を睨んだ
br「わー、こわーい」
shk「……チッ」
大して怖がるような素振りを見せず、逆に俺を見下しているような態度に苛立ちが募る
何だ、この軽薄そうな男は。
コイツが俺の訓練相手? ふざけんな。
そもそも、俺1人でだって、訓練ぐらい……
俺が心の中で悶々と悪態を突いていると、きんときが俺達の間に割って入ってきた
kn「Broooock、近い」
br「はいはい。……じゃっ、宜しくね。
シャケちゃん♪」
そう言い、コイツは此方に手を差し出してくる
再度俺を小馬鹿にするような男に、堪忍袋の緒がぶち切れる音がした
shk「……」
俺はせめてもの抵抗として、その手をパシッと払い除け、代わりにコイツを睨み付けた
br「……w じゃ、朝御飯食べたら地下室に来て。訓練するよ」
shk「はぁ?誰がお前なんかに……」
br「ん?」
その瞬間、空気が水を波打ったかのように静まり返り、俺は思わず
shk「…はい」
と反射的に答えてしまった
br「じゃ、なるべく早くね~!
僕シャワー浴びてくる~!」
そう言い、男はひらひらと手を振りながら、颯爽と部屋から出て行った
shk「…嵐のような奴だな」
俺がそうぽつりと呟くと、Nakamuがプッと吹き出した
nk「ははっ、確かにそうかもね。
でも、実力は確かだから、シャケもBroooockから戦闘のいろはを学んでくると良いよ」
shk「…はぁ」
kn「じゃ、そろそろお腹も空いただろうし、朝御飯にしよう。
7110、シャークんをダイニングまで案内して。俺は後から行くから」
mb「かしこまりました。では翠さん、此方へ」
俺は7110と呼ばれた男の後に付いていく
nk「シャケ、また後でね!」
Nakamuが俺に手を振る
俺はペコリと彼に会釈をし、その場を立ち去った
sm side
シャークんの姿が見えなくなると、Nakamuがささっと俺に近付いてきた
nk「ねぇ、見た?スマイル。
きんときが、あんなにご執心だなんて珍しくない?
さっきだって、俺とかBroooockに近付くな、だって」
きんときに怒られたのが余程不服だったのか、わざと彼奴にまで聞こえる声で、Nakamuがぶーぶー、と文句を言っている
当の本人は、苦笑いをし、困ったように頬を掻いていた
sm「まぁ、それくらいシャークんには きんときを惹き付ける何かがあるんだろ」
nk「”何か”って何?」
ちらりと、Nakamuがきんときを見る
きんときは、その視線から逃れるように、さっと目を逸らした
いや、目逸らしてんじゃねぇよ。
早くこの 何でっ子 をどうにかしてくれ。
俺は溜め息を一つ吐き、会話を続ける
sm「知らん。
てか、そう言うのならお前の得意分野だろ」
俺がそう言うと、Nakamuはぽんっ、と手の平を打った
nk「確かに。
じゃあ翠君のこと調べちゃおっかなー。
ファミリーの素性を調べるのも、俺の仕事だしなー」
Nakamuは、チラチラと きんとき を横目で見ながらそう言い放つ
きんときは、口を開きかけてはつぐみ、開いてはつぐみを繰り返していた
sm「Nakamu、あんまりきんときを虐めるな。
詳しいことは、いつかきんときから説明があるだろ。
俺達は、その日を待つだけだ……な?」
そう嗜めると、Nakamuは不服そうにも、
「わかった」と言った
その後ろで、きんときはその事にほっと胸を撫で下ろした
sm「ほら、さっさと朝飯食ってこい。
遅れると、あの眼鏡が怒るぞ」
nk「あー、説教長いからなぁ~、あいつ」
そう言いながら、Nakamuは扉の方へと歩いていく
俺は、彼の後ろ姿に声を掛ける
sm「Nakamuは先行ってて。
俺はきんときと話があるから」
俺がそう言うと、きんときはぎょっとした顔をする
nk「わかった。んじゃ、先行ってるね」
そう言い、Nakamuは手をひらひらと振りながら部屋を出ていった
Nakamuが出ていったのを見計らい、俺はくるりときんときに向き直る
kn「話って何?スマイル」
さっきまで、Nakamuの後ろで百面相していた癖に、今ではもう、ボスの顔になっている
この切り替えの速さは、いつ見ても驚かされる。
sm「お前さ、翠に筋弛緩剤飲ませただろ」
kn「……」
sm「お前、分かってんのか?
あれを健常者に飲ませる危険性を」
俺がそう問い詰めると、きんときは決まりの悪そうな顔をし、下を向いた
kn「……ごめん、そこまで頭が回ってなかった」
やっぱりか……。
sm「はぁ……今回は大事には至らなかったけど、二度とこんなことはしないでくれ。
せめて、俺に一言相談してから使うようにして欲しい。
俺は薬で人を殺したくはないからな」
kn「……わかった。以後気を付ける」
sm「……」
……些か不安だが、今回はきんときのことを信じよう。
今回の薬は、まだ他のものよりかは、危なくなかったからな。
sm「……じゃ、飯食いに行くか。
そろそろ本格的にあいつが殴り込みにくる」
俺がそう言うと、彼はパッと顔を上げ、俺達だけに見せる柔らかい表情に戻った
kn「ふふっ、そうだね。早く行こう」
?? side
コツコツと、革靴の乾いた音が、長い廊下に鳴り響く
この無駄に広いアジトは、まるで迷路のようで、長年此処に勤めていないと迷子になる。
まぁだから、俺は此処に”Clown”のスパイとして長く潜入しているんだが。
その時、窓の外からバサバサと羽音がし、俺は窓辺に近寄る
鳩が窓辺に留まっており、俺を一瞥すると、クルックー、と一声鳴いた
嘴には一通の手紙を咥えている
俺は手紙を受け取り、内容を確認する
??「……」
中には真っ白な紙が封されているだけだった
顔を紙に近づけると、仄かに柑橘系の香りが鼻を掠めた
俺は懐からライターを取り出し、ぼっ と火をつける
その火を手紙の裏にかざすと、うっすらと文字が浮かんできた
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翠が拉致された。
恐らく今は其方に居ると思うが、此方の指示があるまでは待機だ。
だが万が一、翠が我々に反旗を翻すようだったら、その時は “彼奴を殺せ”。
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喫緊だったからなのか、簡潔に重要事項だけが記されている
いつもの冷静沈着なボスからは想像できない程の慌てぶりだ。
彼奴と言い、ボスと言い、あの子の何が彼等を駆り立てるのか。
??「……」
俺は暫く考え込むが、皆目見当もつかず、考えるのを諦めた
その時、鳩がクルックー、と鳴き俺を急かした
その声にはっ とし、俺は急いで手紙の返事を書く
俺は鳩を一撫でし、手紙を持たせる
鳩は青空の下、一直線に主の元へと羽ばたいていった
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