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◆
「・・・で、ヘッドショットを決め込んだと」
「そういうことだ」
──宇琳は困惑していた。
「(・・・意味がわからない)」
射程距離ギリギリで、しかもほぼノータイムで、ヘッドショットなんて決まるものなのだろうか。
「宇琳の言いたいことはわかるさ」
「・・・なんだと思う」
「どうやって、といったところだろ」
「当たり」
やはりな、と鋭琉は頷くと、言った。
「俺もわからないんだ」
自分がいつあんな超絶技巧を会得したのか、さっぱり分からない、と鋭琉は続ける。
宇琳は困惑しきって、よくわからない顔で頷く。
「──にしても、あの時の記憶が曖昧で、困るな」
「次同じ状況になったら、流石に外す気がする」
そう言いつつも満足げな鋭琉に、耐えきれず宇琳は問う。
「・・・そんな状況下で突っ込んでいった、と・・・?」
──そういう技術を習得していたわけでもなく?
──勝ちの算段もなく?
宇琳は否定の言葉を期待していたが、鋭琉は即答した。
「そうしないと死ぬところだった」
逃げたらよかったのでは、という言葉を飲み込む。
代わりに何か言おうとして、しかしそれしか出てこなくて、宇琳は黙った。
宇琳の表情から何かを察したらしい鋭琉は、笑った。
「多分、逃げたら死んでた」
こともなげに鋭琉が言うから、宇琳はまた黙ってしまいそうになって、なんとか言葉を絞り出した。
「・・・だからって、捨て身で特攻する判断がすぐにできるのはやべえな」
あまりにも当然であるかのように、鋭琉は言う。
「じゃなきゃもう死んでる」
「・・・さすが上官、度胸えぐいな」
茶化すように言ってみせたが、宇琳は内心笑えない。
「(・・・命知らずすぎだろ・・・)」
鋭琉は、いつ見ても無茶ばかりしている。
不謹慎だけどさすがにそろそろ死ぬ気がする、と宇琳は思った。
「・・・この戦争で死ぬなよ」
ふいにぽつりと宇琳が呟く。
「不謹慎すぎるだろ」
鋭琉は少し大袈裟な口ぶりで言うと、宇琳の顔を見て言葉を付け足した。
「・・・仮にも、俺は少尉だからな。そう簡単には死なないさ」
お前が心配性なのは知ってるが、舐めてもらっては困ると鋭琉は笑って、銃を持って立ち上がった。
「どこへ」
「持ち場」
もう少し休んでからいけばいいと宇琳は言った。
鋭琉は「心配か?」と茶化して、しかし足は止めない。
「仕方ないだろ。これ以上離れてると上官に殺される」
つまりこの戦争で死ぬことに、と余計なひと言を付け足すのは彼の性だ。
「まあ引き留めてくれるなよ。あまりここでぐだぐだしてると死亡フラグみたいになる」
・・・余計なひと言、という言い方を宇琳は内心撤回した。
余計なふた言だ、これは。
コメント
2件
宇琳が案外まともな感性をしてる(笑)