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#夢小説
レモネさん🟣✧︎
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hana
262
暦座さち🩷🎲
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### 第7話「俺が隣にいる」
翌朝。
玲は、いつもより早く目を覚ました。
窓から差し込む朝日が、部屋を静かに照らしている。
「……眠い」
昨夜は、ほとんど眠れなかった。
目を閉じるたびに、四季の怒った顔が浮かんできた。
『今は、話したくない』
あの言葉が、ずっと頭から離れない。
自分が悪いことは分かっている。
四季が心配してくれていたことも。
それでも、どうしても考えてしまう。
――もう、前みたいには戻れないのかな。
「……はぁ」
玲はベッドから起き上がった。
いつまでも悩んでいたって仕方がない。
今日こそ、ちゃんと謝ろう。
そう決めて、部屋を出た。
*
教室に着くと、四季はすでに席に座っていた。
「……おはよ」
玲が声をかける。
四季は一瞬だけこちらを見た。
「……おう」
それだけだった。
いつもなら、玲の姿を見つけた瞬間に駆け寄ってくる。
『玲ー!』
そう言って、勝手に隣に座ってくる。
なのに今日は、違った。
玲は自分の席に座った。
何か話しかけようとしても、言葉が出てこない。
四季も、何も言わなかった。
教室が、いつもより広く感じた。
「……四季」
ようやく名前を呼ぶ。
「ん?」
「昨日のこと……」
「ごめん、今はちょっと」
四季は視線を逸らした。
「……あとでな」
「……うん」
玲は、それ以上何も言えなかった。
*
その日の午後。
教師から緊急の連絡が入った。
「桃太郎機関の隊員が、付近で確認された。現場に向かう者は、決して単独行動を取るな」
玲は資料を受け取り、目を通した。
今回の任務は、複数の隊員による共同作戦。
だが、現場の状況は不明な点が多い。
「……気をつけないと」
玲が呟く。
そのとき、隣から声がした。
「玲」
顔を上げると、四季が立っていた。
「……何?」
「無茶すんなよ」
それだけ言って、四季は歩き出した。
玲は、その背中を見つめた。
たった一言。
それでも、心配してくれていることが伝わってきた。
「……ありがと」
届いたかどうか分からないほど、小さな声だった。
*
現場に到着してから、しばらくは何事も起きなかった。
玲は周囲を警戒しながら歩いていた。
そのとき。
「――そこか」
建物の陰から、桃太郎機関の隊員が現れた。
「全員、構えろ!」
教師の声が響く。
戦闘が始まった。
玲は血を操り、迫ってくる攻撃を防ぐ。
以前よりも、力の制御は上達していた。
焦らず、周囲を確認する。
四季の位置も、常に意識していた。
今度こそ、一人で突っ走ったりしない。
そう決めていた。
しかし――。
「黒瀬玲」
敵の一人が、突然こちらを向いた。
「お前が、例の鬼か」
「……何?」
「その力、見せてもらおう」
敵が玲へ向かってくる。
玲は攻撃を受け流し、距離を取った。
だが、相手の動きは予想以上に速かった。
「……っ!」
防御が間に合わない。
玲の身体が、壁に叩きつけられた。
「玲!」
四季の声が聞こえた。
「来るな!」
玲は立ち上がろうとした。
しかし、身体が思うように動かない。
敵は容赦なく距離を詰めてくる。
「これで終わりだ」
攻撃が迫る。
その瞬間。
「――玲に触んな!!」
四季が飛び込んできた。
敵の攻撃を弾き、玲の前に立つ。
「……四季?」
「馬鹿野郎! 何やってんだよ!」
「……ごめん」
「謝るのはあと!」
四季は敵を睨みつけた。
「今は、こいつを倒す!」
玲は四季の背中を見つめた。
昨日、自分が傷つけてしまった相手。
それなのに、四季は迷わず助けに来てくれた。
「……四季、俺も戦う」
「……ああ」
四季が振り返る。
「でも、無理はすんな。俺にも頼れ」
玲は目を見開いた。
「……分かった」
今度は、一人で抱え込まない。
四季と一緒に戦う。
その約束を、今度こそ守る。
「行くぞ、玲!」
「……おう!」
二人は同時に駆け出した。
四季が正面から攻め、玲が血で敵の動きを封じる。
互いの動きを見て、次の行動を判断する。
以前よりも、息が合っていた。
「右!」
「分かってる!」
「じゃあ左!」
「注文多いんだよ!」
「うるせぇ!」
こんな状況なのに、玲は少しだけ笑ってしまった。
いつもの四季だ。
いつもの、自分が知っている四季。
その存在が、たまらなく嬉しかった。
そして最後の一撃。
二人の連携によって、敵は地面に倒れた。
戦闘が終わった。
玲は息を整えながら、四季の方を向いた。
「……四季」
「ん?」
「助けてくれて、ありがとう」
四季は少しだけ黙った。
「……別に」
「あと、昨日は本当にごめん」
玲はまっすぐ四季を見た。
「お前を守りたいって思った。でも、俺ばっかり勝手に決めてた」
拳を握る。
「お前のこと、信じてなかったわけじゃないんだ。ただ……失いたくなかった」
四季の目が、わずかに揺れた。
「……玲」
「俺、まだ弱いし、力も完璧に使えるわけじゃない。それでも、お前と一緒に戦いたい」
玲は、少しだけ笑った。
「だから、これからはちゃんと頼る。お前も、俺に頼ってほしい」
しばらく沈黙が続いた。
やがて四季は、深いため息をついた。
「……ほんっと、お前って面倒くせぇな」
「……悪かったな」
「別に、嫌いとは言ってねぇし」
四季は玲の頭を軽く小突いた。
「俺だって、お前を失いたくねぇよ」
玲は顔を上げた。
「……え?」
「何回も言わせんな、馬鹿!」
四季の耳が、少し赤くなっていた。
「お前が勝手にいなくなったら、俺が困るんだよ!」
「……四季」
「だからさ」
四季は、玲の目をまっすぐ見た。
「一人で抱え込むな。俺が隣にいるだろ」
その言葉を聞いた瞬間、玲の胸が熱くなった。
ずっと欲しかった言葉だったのかもしれない。
一人で頑張らなくてもいい。
弱いところを見せてもいい。
隣にいてくれる人がいる。
それだけで、こんなにも安心できるなんて知らなかった。
「……うん」
玲は小さく頷いた。
「……ありがと、四季」
「おう!」
四季はいつもの笑顔を見せた。
「じゃ、帰りに飯な!」
「……お前、そればっかりだな」
「腹減ったんだよ!」
「はいはい」
玲は笑った。
昨日まで、遠く感じていた距離。
それが今、少しずつ元に戻っていく。
いや。
きっと、前よりも近くなった。
*
帰り道。
夕焼けに染まる道路を、二人は並んで歩いていた。
「なぁ、玲」
「何?」
「次からは、俺にもちゃんと背中預けろよ」
玲は四季を見た。
「……分かった」
「絶対だからな!」
「分かってるって」
四季は満足そうに笑った。
玲は前を向いた。
自分は、まだ強くない。
鬼の血も、完全には制御できない。
これからだって、怖くなることはあるだろう。
それでも。
隣には四季がいる。
そして、自分も四季の隣にいたい。
その気持ちだけは、もう疑わなかった。
「……四季」
「ん?」
「これからも、よろしく」
四季は一瞬きょとんとしたあと、豪快に笑った。
「当たり前だろ!」
その声が、夕暮れの街に響いた。
玲も、静かに笑った。
――もう、一人で戦わなくていい。
そう思えたことが、何よりも嬉しかった。
コメント
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いやあ……よかったですね、この第8話。前回のギクシャクした空気から、四季が「玲に触んな!!」って飛び込むシーンで一気に心臓掴まれました。ああいう“無意識の信頼”って、関係がちゃんと根付いてないと出せない動きだと思うんですよね。あと「俺が隣にいるだろ」って言葉、単なる台詞以上に“四季という存在の立ち位置”を宣言してて、構成としても綺麗だなって。玲が「頼る」ことを覚えるきっかけとしても説得力がありました。夕焼けの帰り道、二人の距離が前より確かに近くなったラスト、すごく沁みました。