私たちはエイトくんとララちゃんが待つあるお店へ行った。そのお店とは…
【居酒屋】
…ここは普通の居酒屋とはちょっと違うんだよね。なんでも、内装がオシャレで予約すると個室の席になるらしい。その個室には大人数も入れるから私たちにはうってつけのお店なんだ。中に入ると、一人の女性店員が私たちを出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
「あ、5名なんですけど…先に2人が予約してくれた席にいると思うんですが…」
「あぁ、それならご案内しますね」
その店員さんの理解が早いおかげで、早めに席の方に行けた。店員さんに軽くお礼を言って、引き戸を開けると…
「あ、みんな来たんだね。」
「ふふ、みんな元気そうで何よりよ。」
「久しぶり、2人とも!」
エイトくんとララちゃん、2人の姿を確認できた。テーブルにはサングラスがおかれていて、変装してきたんだなってことがわかる。芸能人であるララちゃんは特に普段の暮らしに気を使わないといけないらしい。下手に注目されても困るということで、ララちゃんは変装をしながら生活を賄っている状況だ。そう思うと女優さんも大変だなぁ…。
「そういえば、ララ。」
「ん?どうしたの、カンジくん?」
「ララの出ていた学園ドラマ、しっかりと見ましたよ。」
「あ、それおれも見た!すっごく良かったよ〜!」
「ありがとう、2人とも」
ララちゃんがついこないだまでヒロイン役として演じていた学園ドラマのことを話しているみたい。主人公のイケメン高校生は、メガネとマスクがトレードマークの暗いヒロインにいつの間にか恋に落ちる。(胸きゅんシーンも沢山あったよ!)でも、周りからは馬鹿にされてなかなか付き合う1歩を踏めなかった。そんな時に、主人公はふと思いついた。『なら、この子を可愛くしてしまえばいい!』と。最終回は先週放送されて、ヒロインがイメチェンした姿が公開されたことで、SNSでものすごい影響が出たらしい。でも、話題になっちゃうのわかる気がする。…だって、その時のララちゃんはすごく可愛かったから!普段、大人っぽくて美人なララちゃんがあんなに可愛くなるなんて!
「あの時のララちゃん、本当に可愛かった!」
「そこまで言われると…少し恥ずかしいな…」
ララちゃんは少し頬を赤く染めつつも笑顔で答える。こういうララちゃんも可愛いけどね。
「えとくん、ついこないだまでアメリカのコンサートホールでピアノ演奏してたんだよね!僕、日本で放送された時思わず見いちゃった」
「聴いてくれてたんだ。嬉しいな」
ヒカルくんの言ったことに嬉しそうに笑うエイトくん。
エイトくんは、アメリカの有名なコンサートホールでピアノ演奏に参加したらしい。その時、日本の取材もあったらしくって…テレビ放送されてたんだ。エイトくんのピアノ演奏っていい音色なんだけど、その中に彼らしい優しさがこもっている気がする。聴いてて安心する感じだなぁ…。エイトくんは世界で活躍する実力があるピアニストだけど、その割には留学したヨーロッパとアメリカ以外の公演はあまり聞いたことがない。多分、本人の意思でそうしてるんだろうけど…そうだったら少しもったいない気がする。せっかくの才能を上手く生かせてないのって、なんか残念な気がするんだよね。なんて考えるとララちゃんがケイに何かを聞いてみる。
「そういえばケイ。今年度もあと少しだけど、中学三年生のみんなは受験受かったの?」
「少なくともオレが見たやつは全員合格だったな。」
「地獄みたいな勉強、させてないのよね…?」
「させてないに決まってるだろ!…全く」
ケイって厳しいけど、その中には本人らしい不器用な優しさがある事を私は知ってるよ。そして、ケイのそういうところがあったから…諦めずに教え続けてくれたからいい成績をおさめられた。そう思うとケイには本当に感謝しかない。もちろん、ほかのみんなにもだけどね。ケイやみんなが勉強することの楽しさを教えてくれたおかげで勉強に対する苦手意識が無くなった。中学三年生のみんなにもそういうところが上手く伝わってればいいんだけどな…でも、きっと大丈夫だよね。だって、ケイだもん!
みんなの活躍を聞いていると、引き戸が開いた。頼んだ料理や軽いおつまみ、そして…ビールも届いた。やっぱり大人だしね、お酒は飲まないと!
「じゃあ、掛け声はまどかさんにお願いしましょう。」
「あ、その前に…..ケイ、まどかちゃん。2人はあんまり飲みすぎずに2~3杯で終わりにするのよ」
「はーい…/…..あぁ」
私とケイはこの中で特にお酒に弱いんだよね。その反対でヒカルくんやララちゃん、レキくんは強いんだけど……いいなぁ…。
「…よし、掛け声いくね!」
私は一呼吸おいて、掛け声を言った
「今日の再開に…..乾杯!」
コメント
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大人になった科目男女が見れる世界線に行きたい。