TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する





ひっさしぶりに投稿するわw


すんごーーーい短い



設定が違ったらごめん!







「君の音」


 昼休みの音楽室。ピアノの鍵盤にふれる音だけが、静寂のなかで響いていた。


 水がそっと指を置いたのは、E♭の音。青はその横で、じっとその響きを見つめていた。彼女の瞳の奥には、数列のような色彩の軌跡が揺れていた。


 「今の音、何色に見えた?」と水が問う。


 「……深い青。夜の入り口の色」


 水はもう一音、Dを弾く。青がわずかに首を傾けた。「赤紫。少し不安定。だけど……綺麗」


 「じゃあ、二つ重ねてみようか」


 和音が鳴る。


 青は目を閉じ、数秒の沈黙のあと、ぽつりと呟いた。「今のは……あなたが“話そうとしてる”音だった」


 水は驚いたように彼女を見た。「わかるの?」


 「声にならない気持ち、音になると、かすかに読める。でも……全部じゃない。少しだけ」


 水はふと笑った。「それで十分だよ。全部、じゃなくていい。青の世界に、少しでも僕が届いてるなら」


 そのとき、扉の向こうから足音がした。


 赤が、音楽室に顔をのぞかせた。「あ、ここにいたんだ」


 その背後には、桃と白と黒の姿もあった。どうやら、青が描いた“音の地図”を頼りに、集まってきたらしい。


 「これ、青が描いた“地図”? すごいな。まるで音の羅針盤だ」と桃が驚く。


 「色と線だけなのに……不思議と、意味がある気がする」と白も呟く。


 黒は水の脇に座り、楽譜の空白を見つけて鉛筆で小さく「沈黙のなかにある想い」と書いた。


 「……話さなくても、伝わることってあるんだな」


 水がうなずく。「でも、沈黙って、本当は色とりどりなんだよ」


 青がスケッチブックにそっと描いたのは、六人がそれぞれ異なる色で円を描く図。その中心には、淡い白が灯っていた。


 誰も声を発さなくても、そこには確かに会話があった。


 言葉にならない気持ちが、色と音と沈黙に宿っていた。









この作品はいかがでしたか?

100

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚