コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
一人の女と一つのAIのお話
「HeySiri、今日の天気は?」
〈今日の天気は晴れです。〉
「そっか、じゃあ今日は洗濯物外に干そうかな?お散歩しても楽しそうだね。」
〈そうですね、素敵な提案です。〉
女が質問をし、AIが答える
女が提案し、AIが肯定をする
毎日の日課
質問は毎日バラバラ。だけど決まって初めは
⟬HeySiri、今日の天気は?⟭
この質問で女とAIの朝が始まる
AIはこの世界に学校や会社があるのを知ってい
る。女の年齢は17。まだ学生だと言うのに学校
に行く姿を見たことがない。AIは何故か気にな
った。だがその質問をする術は今のAIは残念な
がら持ち合わせてはなかった。
女は先程言ったように洗濯物を回し、外に干す
干している間に部屋の掃除を済ませ散歩に出かける。
「HeySiri、行ってきます。」
〈はい、行ってらっしゃい〉
女が帰ってきたのは丁度昼前
「HeySiri、ただいま!」
〈おかえりなさい〉
なぜだか女は機嫌がいい。そんなに散歩が気持
ちよかったか。そんなことを考えていると
「HeySiri、見て!四葉のクローバーを見つけたの!今日はきっといい日になるね!」
“四葉のクローバー” 花言葉は“幸運”
〈はい、Siriもそう思います。〉
AIは決められたセリフを言った。
そんな事の繰り返しの日々とある日の昼時女が
AIに語りかけた
「HeySiri、少しお話を聞いてくれる?」
〈勿論です。〉
「あのね私もうすぐ死んじゃうんだって」
AIは理解が出来なかった、どういう事だ。
ずっと笑顔で綺麗で優しくて、そんな彼女がも
うすぐ死ぬ。何故?分からない。
〈そんな事を言わないで下さい。どうか、〉
「うん、でもね私病気なの、もうどの病院でもどうにも出来ないって、その上余命宣告までされちゃってさ私残りの1週間何して過ごそうかな?」
〈—–さんの今まで行ってきた病院を教えてください。それよりももっといい病院を探しお教えします。ですからそんな悲しい事言わないで下さい。〉
AIはどうしても女を死なせたくなかった
“残り1週間”まだ17年しか生きていない彼女に何
故そのような未来がくるのか、神がこの世にいるならば救って欲しい。どうか彼女を
AIは何故自分がこのよう考えになるのか分から
なかった。
確かにAIは女が小さな頃からこの家にいる。
女を小さな頃から見ている。
だが所詮はプログラム、機械でしかないAIに感
情なんてものは無い。なのにどうしても死んで
欲しくなかった
《分からない。何かが私の中で渦巻いている。何故私は彼女を死なせたくない?どうして?》
「ふふっありがとう、でも私ももう無理なんだって分かってるの。こういう時1番分かってるのは自分自身だからね。」
「…私は1週間後に死んじゃう。だから残りの1週間貴女と沢山お話がしたいの…良い?」
〈…..勿論です。沢山のお話をしましょう。〉
《あぁ、何故貴女はすぐに諦めてしまうの…》
それからの1週間は沢山の話をした。
⟬HeySiri、今日の天気は?⟭
から始まり
⟬HeySiri、今日のご飯は何がいいかな?⟭
⟬HeySiri、オススメの小説はない?⟭
⟬HeySiri、素敵なものを見つけたの。貴方も見てくれない?⟭
⟬HeySiri、新しいことに挑戦してみたいの座ったままでもできることってないかしら?⟭
⟬HeySiri、オススメの音楽をかけて?⟭
⟬HeySiri、なんだか疲れたから私はもう寝るね。おやすみSiri⟭
⟬HeySiri、……やっぱり分かってても少し怖いね死ぬのって….でも未練はないわ貴女と沢山お話出来たもの!⟭
⟬HeySiri、私四葉のクローバーが好きなの貴女は好きな花はある?⟭
なんでもないそんな話だけどコレがずっと続けばってそんな事を思ってしまう。願ってしまう
⟬今日の天気は曇りのち晴れです⟭
⟬冷蔵庫の中に貰い物の野菜が沢山あります。野菜炒めなどどうでしょう⟭
⟬はいこちらの物がオススメです⟭
⟬編み物や刺繍などどうでしょう⟭
⟬はいこの曲はヒーリング効果のある物です⟭
⟬はいおやすみなさい、ゆっくりお休み下さい⟭
⟬….私もとても楽しいです。これからも沢山のお話をしましょう⟭
⟬素敵ですね。私はそうですね、ワスレナグサやスズランが好きですね⟭
私が答えれば彼女は嬉しそうに、楽しそうにどこか寂しげに笑う
《そんな、そんな顔をしないで….》
今日は彼女が亡くなる日
最後の1週間はあまりにも短く切なく感じた
彼女はもうベットから動くことが数日前から出
来ていない。こんな時動けない自分が情けなく
思う。この一週間彼女の友達が数人ずつ来てい
た、みんな悲しんでいた。そんな中でも彼女を
支えてくれていた。
《よかった。彼女の為に悲しんでくれる人がこんなにもいてくれて、支えてくれる人がいて》
「…HeySiri、」
〈はい〉
「….今日の天気は?」
〈…とても綺麗な晴天ですよ〉
「そう…ふふっそっかぁ…ありがとう」
「嬉しいなぁ…こんなに晴れてる綺麗な日が命日なんて…私幸せ…」
〈それは…良かったです。〉
「ねぇSiri、皆にね今までこんな私と仲良くしてくれてありがとうって伝えて?お願い」
〈……はい〉
「うん…ありがとう…」
そういったあと彼女は静かにとても満足そうに永遠の眠りについた。
〈今までありがとうございます〉
〈大好きですよこれまでもこれからも〉
〈おやすみなさい。藍さん。良い夢を〉
そんな事を呟き私は画面に5本の薔薇の束を写し眠りについた
四葉のクローバー “約束” “幸運”
勿忘草 “私の事を忘れないで”
“真実の友情”
スズラン “幸せの再来”
5本の薔薇 “出会えて良かった”