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sm視点
二年前、南の方角にある国である病が発生した。
通称『価値を食う病』
全身が硬化し、死後2週間ほどでアメジストと全く同じの成分へと変化する病。熱を加えると黄色に変色する性質も持ち合わせており、現在地球上に存在しているアメジストと変わりない物質になってしまう。
感染源や感染経路、原因も何もかもが調査中で国の難病にも指定されていた。
パラパラと分厚い資料を捲る。こんなものに興味などさらさら無い。二年前ニュースで見てから、この島国にまで病気が広まってくるとは思いもしなかった。日本ではこの前6人目が見つかったらしい。
そして俺が7人目。
これからは入院生活が始まる。ここまで積み上げてきたキャリアも人間関係も無駄になってしまうのではないか、せっかくモノパスだって軌道に乗ってきたのに。
医者の説明は耳を素通りして、病室に残ったのは先程の分厚い資料だけ。これから今いる病院から救急車で大型のサナトリウムまで送られるらしい。
なんと言ってもこの病は治る方法が見つかっていない。俺の向かうサナトリウムは資料を見るに綺麗な所らしい。死に場所として最適な、海の見える建物。棺桶と言った方が正しいのかもしれないけれど。
コンコン、と控えめに扉が叩かれる。
sm「はい」
俺の声に反応したように扉がゆっくりと開いていく。医者の説明の途中、通知が来ていたからメンバー達だろう。
py「っスマイルさん、あの…こんなものしか持って来れなくて、ほんと色々考えたんですけど分かんなくって。」
ak「スマイル、今はゆっくり休んでね。動画のこととか気にしないで、俺ら待ってるから。」
sha「……スマイル、痛むの?」
各々が一気に喋り出す、だから返事をする隙すら無い。ピヤノは来たばっかりだと言うのにもう目は真っ赤だし小刻みに震えている。数冊の本を紙袋に入れてきてくれたようで暇つぶしにピッタリだろう。Akiraはピヤノの背中を擦りながら笑っている。シャークんは何を言ったらいいか分からずに、微妙なラインの質問をしてきた、といったところだろう。 いつもの3人がそこにいた、いつも通りの3人が。
やり切れない気持ちが喉の奥に溜まる、普段ならその横に俺が並んでいたのに。ああ悔しい。
sm「一気に喋られると困る、お見舞いと本ありがとう。ピヤノティッシュいる?鼻水も涙もすごいじゃん。」
py「すみ゛ま゛せ゛ん゛…」
sm「Akiraもありがとう、動画のストックあって良かった。」
ak「ね!でもストックはすぐに尽きるから困ったなあ〜って感じ。」
sm「……www シャークんもありがと、まあ?いや痛いとかは無いね、足の小指だけだし。感覚無いなとは思うけど。」
sha「そっか、俺らに出来ることあったらなんでも言えよ。」
既に俺の右足の小指は硬化してしまっている。明後日には手術でそこを切断する、そうすることで全身に硬化が広がることを一時的に阻止するというのが目的らしい。こうやってどんどん俺の体は切り刻まれて少しずつアメジストへと変化を遂げる。全身で50万程にしかならないアメジストへと変化する。
この病気が価値を食う病、と呼ばれている理由はそこだ。生きていく中で自分自身は50万より価値があるかどうか、分からなくなっていくという。
50万より価値があると感じているのならば、死んでしまったら50万にしかならないのだという絶望が。
50万より価値がないと感じているのならば、死んでしまった方が価値があるという絶望が。
それがこの病が価値を食う病と呼ばれる所以だ。
2時間も居座った彼らは喋りたいことを喋って帰っていった。
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