小説でありがちな
もう少しだけ、
もう少しだけ生きてみよう、と思うことなんて
俺には到底あり得ないことで
いつだって死にたくて
消えたくて
どうやっても逃げられなくて
現実ばかり突きつけられて
眠れない夜があっても
何事もなかったかのように朝は来て
そんな毎日が
苦しくて仕方ない。
それなのに
俺が苦しんでいることも
死にたいと思っていることも
誰一人わかってくれやしない。
でも、
別にわかってもらいたいわけじゃない。
ただ、
“俺”を知ってほしいだけ。
死にたいと思っている割に、
俺はなかなか死なない。
いつでもロープに首をかける準備は出来ているし、
駅のホームに飛び込むこともできる。
マンションから飛び降りることもできる。
でも、死なない。
結局、
死にたいわけではないのだと、
いつもそこで思う。
“消えたい”のだと。
“死”というのは
この世に存在していた事実が残ってしまう。
でも、
消えることができれば、
俺という存在をなかったことにできる。
世界は普通にまわっていく。
時は普通に進んでいく。
それが一番の望みなのだと
最近気づいた。
とはいえ、
“消える”方法などこの世にはないわけで、
どうやっても“死ぬ”ことしかできない。
なんて残酷なのだろう。
どうやっても望みが叶わないなんて。
いつもそうだ。
俺の望みは叶わない。
努力ではどうにもならない。
もし本当に神様がいるとするなら、
きっと俺は手違いでつくられてしまったのだと思う。
ああ、なんだか眠くなってきた。
このまま意識など戻らなくていいのに____
鳥の声が聞こえる。
どうやら、今日もまた生き延びてしまったようだ。
ベッドの周りを見渡すと
あちらこちらに大量の薬が転がっている。
“じぶん”ってなんだっけ、。
“いつしんでくれるの”
“はやくきえろよ”
「じゃあ、はやく消してよ、」
望みを叶える方法は、
未だわからない。
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