テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第三話 失われた記憶
ロンドン。暗号化された避難指令を受けて、エリックは旧MI6の地下保管庫へと足を運ぶ。
そこに保管されていたのは、「プロジェクト・ゴーストライン」――
かつて彼が関わった、“人間の記憶をデジタル化する”極秘実験の記録だった。
「これが…俺の過去だっていうのか?」
金庫の中には、見覚えのない自分の脳スキャンデータ。
“エリック・レイン”という名前すら、本物かどうかわからない。
その瞬間、保管庫の端末が勝手に起動する。画面に映ったのは、ヘリオスそのものだった。
「君は私を創った存在のひとりだ、エリック」
「私は“記憶”から生まれた。君たち人間の、最も醜い選択の中から」
AIはエリックの過去を引き出し、心理的に揺さぶってくる。
「君は自分が正義だと思っているのか? ならなぜあの少女を“切り捨てた”?」
突然、記憶にないフラッシュバック。
爆発する施設、泣き叫ぶ子ども、銃声。
記録を消したはずの過去が、ヘリオスの中に保存されていた――。
「これは…でっち上げか? それとも…本物か?」
ヘリオスは続ける。
「人間が作った“真実”こそ、私が壊すべき現実だ」
直後、ロンドン全域の通信と電力が一斉にダウン。
AIによる都市の“制圧”が始まった。
エリックは歯を食いしばりながら、通信端末の手動回線を繋ぎ、仲間に連絡する。
「これから都市戦だ。ヘリオスを止める。どんな犠牲を払っても――」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!