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放課後の旧校舎、風が吹き抜ける屋上
ぼくは、壁に背をもたれさせ 膝を抱えて座り込んでいた
心の奥底では、言葉にはとても表せることができないような ぐちゃぐちゃとしたものが渦巻いている
周囲の期待、理不尽な現実、誰も理解してくれない孤独
全部、自分では どうしようもないことばかりでほんと嫌になる
「助けて」と大声で叫びたい
息ができないほど胸が苦しい
声を押し殺すたび、咽喉の奥がツンと熱く痛む
水「ここで叫ぶと、結構響くよ」
突然、頭上から声が降りてきた
見上げると、見覚えのある顔がそこにあった
制服のボタンをいくつか外して着崩した制服に、風でふわふわと揺れる真っ白の髪
れるは、いつもどこか浮世離れしていて クラスでは誰のグループにも属さない、独特な空気を纏った存在だった
赤「……急になに、?」
膝に顔をうずめ、問いかける
クスッと小さく笑い声が風に靡く
そして、れるは僕の目の前にかがみ込んだ
れるからは、淡い夏の香りがする
水「嘘をつくのが下手だね、心臓が今にも破裂しそうな音を立ててる」 ( 微笑
れるは、少し甘い磨りガラスのような声で話し始める
そのまま、彼の細い指先がぼくの額にそっと触れた
ひんやりとした彼の温度が、熱を持ったぼくの頭に心地よく染み込む
「たまには叫んでも ええよ。下を見て強くなれるのもまた人だから」
見透かされた言葉に、呼吸が詰まった
彼の瞳は、まるで世界の果てを見てきたかのように深く、そして果てしなく優しい
水「うん、なられるが連れ出してあげる」
そう言って彼は立ち上がり、ぼくに手を差し伸べた
赤「どこに……?」
水「君の声が誰にも届かなくて、誰も君を縛れない場所。僕の秘密基地」
そう言って彼は笑って手を差し出してきた
れるの表情、言葉、立ち振る舞い
彼の行動全てが、この息苦しい日常から自分を連れ去ってくれる魔法のように思えた
怯える手でその手を取ると れるは力強く、でも暖かくぼくの手を握り返してくれた
ぼくたちは放課後の静まり返った校舎を駆け抜けた
西日が差し込む廊下、影が長く伸びる階段
彼の引く手はあたたかく、走り抜ける風がぼくのの心の奥底に溜まっていた重苦しい感情を少しずつ削ぎ落としていく
辿り着いたのは、学校の裏手にある誰も来ない古い神社
その拝殿の裏手に辿り着いたとき、れるは空を見上げて大きく深呼吸をした
そこには夕暮れの広い空と、街を見下ろす圧倒的な静寂だけがあった
水「ここなら、誰も君を責めない」
彼はそう言うと、両手を耳に当てて笑顔を見せた
「さあ、叫んでしまいな、れるは耳塞いどくから」
一瞬躊躇った
けれど、悪戯っぽく笑うれるの姿に、ずっと縛られていた心が解けていくのを感じた
ぼくは深く息を吸い込み、夕焼け空に向かって、言葉にならない感情の全てを吐き出した
喉がちぎれるほどの叫び声
悲鳴のようでもあり、慟哭のようでもある声が、静かに響き渡り、やがて茜色の空へ溶けて消えていった
叫び終えたぼくは、その場に膝から崩れ落ちた
頬にすぅっと水滴がつたう
自分では抑えきれない涙が溢れ出たが、 心を押し潰していたあのドロドロとした感情や、やるせない気持ちはもうどこにもなかった
水「……すっきりした?」
れるは隣にしゃがみ込み、ポケットから出したハンカチでぼくの涙を拭ってくれた
赤「うん……ありがとう、ごめん 変なとこ見せちゃって」
水「変じゃないよ。 こえくんがずっと溜め込んでいたものが溢れ出しただけ。なんも恥じることはないで」
れるはそう言うと、夕暮れの澄んだ風に髪を靡かせて微笑んだ
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Sizuku
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