テラーノベル
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九月九日庵(つきみびいおり)は、元保護犬、シルクと散歩に出かけていた。散歩ルートの橋の付近に行くと、突然、シルクが止まった。まるでなにかを見つけ、緊張しているみたいに。「シルク?」庵が呼びかけたがシルクの反応は一切なかった。すると、少し前かがみになって小さく、「うう〜」っと唸りだした。庵は慌てて橋の方を見た。橋の上には自分より少し年上らしき中学生三人が下を覗き込んでいた。そして石や枝、果てはペットボトルやティッシュ、空き缶などのゴミも投げ入れた。驚いているとシルクがいきなりリードを引っ張って橋の下の川へ行った。するとなにやら動いているものが。それに橋の上の男子は物を投げつけているのだ。
よくよく見てみると川にいるそれは子猫だった。まだ生後三ヶ月ぐらいだろう。庵は慌てて川へ飛び込んで子猫を引き上げた。そして夏なのになぜか持ってきた上着でくるみ、シルクをつれて橋の上まで走った。中学生三人はチッと舌打ちして逃げようとした。庵は二人捕まえたが一人を逃がしてしまった。しかし、シルクが庵の手からリードを振り切って追いかけ、ズボンをしっかりくわえてこちらに引っ張ってきた。その時ズボンの布の一部がビリっと破けたのだが。
庵とシルクは三人をフルボッコにした。ついでにシルクは他の二人のズボンも破った。
ボコした庵たちは戻って川から拾った子猫のところへ戻った。子猫はとにかく震えていた。寒さと怖さからだろう。庵は抱いてシルクと共に走って家まで帰った。両親は子猫を迎えることを快く承知してくれた。タオルで水気を取り、すぐ動物病院へ連れて行った。ノミダニは少しだけいた。川で洗い流されたのだろうか。そして子猫なのに人になれておらず、シャーシャー言って猫パンチを繰り出してくる。そりゃあんなことされたら人になれない。父は新しいケージなどを買いに走り、母はご飯を作っている。庵は先月亡くなった保護猫の鈴つき首輪をつけた。そして首輪からシルクのリードをつけて机の足に結んだ。そしてストレスになるからと、猫用の隠れ家と、餌、水を置いてやった。
子猫には「鈴」と名付けられた。シルクと鈴と同い年の白猫、フランカが守役になって世話を焼きました。鈴は人が近くにいてもご飯を食べられるようになりました。しかし、どうしても触ることができません。そこで庵はテレビ、本、インターネットで調べ、さらには学校でシャーシャー保護猫に詳しい人を探し出した。担任の先生、先台正明(せんだいまさあき)の紹介で中学三年生の男子、粗森屋景(そもりやけい)と中学二年生の女子、筒宮かな(つつみや)を知った。どちらも庵より年上の先輩だ。そして三人とも部活が一緒だった。その部活は、帰宅部だ。帰宅部同士一応仲良くなっていました。景とかなの二人が人馴訓練を進めたおかげで少しだけ触れるようになりました。しかし、三人組などで触ろうとすると怖がってしまうのです。。鈴はアメリカンショートヘアみたいなキジトラのような模様、ブラウンマーブルドタビーと白の毛色が目立っています。
人にあんなにひどいことをされた鈴。それでも頑張って人を信じようとしている鈴。そんな鈴は、人馴れ訓練としてまた新たなものに取り組んでいきます。
それは、アニマルセラピー。まださわれないので、鈴が体験した物語を教えようと思ったのです。鈴自身がいれば、納得感というかが上がると思い、さらに、見てるだけでもストレスは少し減るのでそういった意味もこめて挑戦するのです。「頑張れよ、鈴。庵。お前も頑張れ。」「そうよ。頑張って。鈴、庵」二人はそう言って送り出します。アニマルセラピーは鈴だけではありません。保護犬のシルク、ボビン、アル、アッシーと、保護猫、ひだか、ボス、やまと、みことも一緒に行きます。鈴は初めてのセラピーに挑戦しにいくのです。
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