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僕も彼女につられノートの端に文を書いてみた。「なんで母子家庭だって知ってるの?」と。すると彼女は「よっちゃん先生が言ってたから。」と書いた。よっちゃん先生とは吉原先生のことだ。個人情報の漏洩にも程がある。勝手に僕の家庭環境について語られるのは正直心地のいいことではない。勝手に同情されたくないからだ。父親がいなかったら可哀想なのかよ。母親が遅くまで頑張って働くのはダメなことなのかよ。そうやって自分達と違うところがあったらすぐにつついてくるからバレたくなかったのに。可哀想かどうかは自分で決めさせてくれよ。なんで自分が可哀想だと思っていないのに周りにかわいそうな子にされないといけないんだ。僕は自分の環境を恨んでなんていない。多少家庭環境が悪くたって、人並みの幸せを感じている。他人にどうこう言われる筋合いなんてないんだ。だから僕はこう書いた。「先生がどんなふうに言ったのかは分からないけど僕は別に不自由してないから。」彼女は酷く哀れんだ目で僕を見てきた。だからそれが嫌なんだって、そう心で呟きながらもにこりと微笑んだ。僕にしては上出来だ。彼女はそれでも同情の目を辞めなかった。