混濁する意識、歪んでうまく見えない前の風景。シーツに体を押し付けられている様な柔らかな感覚だけが確かに伝わってくる。そして、首筋に生暖かい風を感じた瞬間、湿った何かが肌を這う感覚にサンジは総毛立った。
「…なん…だ、」
「動くな、黒足屋」
「っ、」
耳元で聞こえた声にぞくりと背筋が震えて動きが止まる。
「単刀直入に言う、お前は薬を盛られた。」
「く、すり……?」
「今お前が感じている、ふわふわとした感覚はその薬の作用だ。」
意識がはっきりとしない上に頭の芯が痺れている様で、ローの言葉を聞いても全く理解ができない。だからどう反応したらいいのかもわからない。
「……っあ……や、めろ……」
首筋に唇が触れ、そのまま首筋から耳の付け根までをぬるりと舐め上げられる。その感覚がさっき背中に感じたものと同じだと気づき、ぞくりとサンジの体が震えた。
「…市販で流通されているものよりも複雑に調合されている。悪趣味な輩がお前を狙ったんだろう」
「な、ん……っ……!」
するりとローの手がシャツの中に滑り込み、脇腹を撫でた。その感覚にも体が震える。
「…っ、や……めろ…」
「黒足屋」
「やめ……ろっ!」
「落ち着け」
「っ!?」
「いいか、黒足屋。今は何も考えるな」
ローの熱をはらんだ声が耳に吹き込まれる。低く掠れた声に腰が甘く痺れた。その感覚にパニックになりかけたサンジだが、ローの声とその言葉にゆっくりと思考を止めた。
「……そうだ。それでいい」
「……はぁ……ん……」
「いい子だ」
「っ……ぁ」
耳の中に舌が差し込まれ、ぴちゃぴちゃという水音が脳に直接響く感覚がする。相変わらず鮮明にならないこの視界が不愉快極まりない。何をされているのかはわからずとも、自分の体がおかしいという事だけはなんとなくわかる。この熱も、吐息も、触れてくる何もかもが不愉快だ。サンジはぎゅっと目を瞑った。
「…トラ男の能力で取り除くとかできねえ、のか」
「無理だ。完全に体内に吸収されている」
「っ……そう、か…」
サンジの意識がはっきりしていない事をいいことに、ローは大胆に体を触りだす。シャツの隙間からするりと入り込んだ手が脇腹を撫でたかと思うと、胸にある突起を摘んだ。
「……んあっ!」
「我慢しろ」
「や、め……」
「薬の効果は一時的なものだ」
そう言いながらもローの手は止まらない。ぴんと立ち上がった突起を指の腹で押しつぶして捏ねられるのに身を捩るが、反対側は爪でカリカリと引っ掻かれ声が漏れる。
そんな些細な刺激でも、今のサンジには十分な快楽だった。 ローの言う薬の効果が一時的なものだというのは本当だろう。しかしそれはあくまでこの状態が一時的なものだろうというだけの話だ。このまま薬が抜けきらなかったらどうなるのか、サンジにはわからない。 ただ、ローに体を触られているという事実がサンジを混乱させた。
なぜ?なんで?どうしてこうなった? そんな疑問ばかりが浮かぶ。
「…酒場に寄った時、偶然黒足屋が薬を盛られて、連れ去られそうになったところに出くわした」
「っ……」
「すぐに相手は俺が伸した」
「な、ん……っ……」
耳元で話される声にすら体が震え、唇を噛み締めた。こんな状態でローに触られたくない。 なのに、ローの手はサンジの体を這い回る。熱を吐きだすまいと必死に耐えるサンジを嘲るように快感を与えてくる。
「……薬が抜けるまで、俺が相手してやる」
「っ!や……めろ!」
「黒足屋」
薬の効果が一時的なものだとしても、ローに触られているという事実は変わらない。
「っ……ん……くっ……」
「大丈夫だ。俺に任せろ」
「や、め……ろ……」
「……いい子だ」
「っあ!ん、あっ……!」
ローの手がサンジのズボンにかかり下着ごと一気に脱がされる。その刺激にも体が震えてしまう。そんなサンジを宥めるようにローの唇が耳に触れ、そのまま舌が差し込まれてゆく。ぴちゃぴちゃと直接脳に響く水音にサンジの頭は酷く眩んだ。
「……黒足屋」
そんな声で、呼ばないでくれと言わんばかりに涙目混じりにサンジはローを睨み返す。
「っ……ん……」
「黒足屋」
「や、め……ろ」
「……サンジ」
「っ!?」
耳元で囁かれた名前にサンジは目を見開いた。ローが名前を呼んだのもそうだが、それ以上に自分の下半身に感じた刺激にだ。
「やめ……ろっ!トラ男!」
「大丈夫だ。俺に任せておけ」
「や、だ……やめろ!」
ローの手がサンジのモノを包み込み上下に擦る。薬で敏感になっている体は激しい熱を持ち、汗はとめどなく流れ、涙が滲んだ。その全てが屈辱的で、サンジはローの手から必死に逃げようとした。しかしそんなサンジをローは難なく押さえつけ、耳元で囁く。
「あくまでこの方法は応急処置に過ぎない」
「っ……ん、はぁ……」
「だから気にするな。お前が感じた事じゃない」
サンジの体はとっくに限界を迎えていて、ローに耳元で囁かれた言葉に思考が一瞬停止すた。その間をぬってローの手は的確にサンジを追いつめる。
「あっ!や、だ……!もぅ……やめ……!」
「…一度、出しておいたほうがいい」
「ちが……っ!」
ローの言葉に必死に首を横に振るが、もう限界だった。薬で敏感になっている体には充分すぎるほどに快感は与えられている。
「安心しろ。俺は見ない」
「っあ……やっ、うそ……やぁっ……!」
サンジが達したのを確認したローは耳元でそう囁くと、ぎゅっとサンジを抱きしめた。そ薬で敏感になった体にはその刺激すら快感でしかなくてサンジはただ、身悶える。
「生理現象だ、気にするな」
「っ……ん……」
「今は何も考えなくていい」
「……ん……」
ローはサンジの体をそっと抱きしめた。そのぬくもりが心地いいなんて、絶対に認めたくないとサンジは思う。
「少し休め」
「……るせえ……」
「いい子だ」
そんな優しい声で囁くな。そんな優しい手つきで頭を撫でるな。そうサンジは叫びたいがもうそんな気力もない。ただ、この腕の中から抜け出さなければと思うのに、体は動かないし頭も働かない。
緩やかに、サンジの瞼が閉じていく。眠ろうとしているわけじゃないのに、強制的に何かに引き摺り込まれるような感覚に包まれながら。
「おやすみ」
完全に目が閉じる頃、サンジはローの声を聞いた気がした。
翌朝。
目が覚めたサンジがのそりと起き上がった。
「起きたか」
「っ!?」
横から突然かけられた声にサンジは肩を跳ね上げ、反射的に蹴りを繰り出していた。しかしそれはあっさり避けられてしまう。
「避けんじゃねえよ!クソ!」
「その様子だと、大丈夫そうだな」
「っ……何がだよ」
「昨日、俺に何をされたか覚えているか?」
サンジは考えるように視線を彷徨わせてから、ぱちりと一つ瞬きをした。
「覚えてねえ」
「…ならいい」
「あ?」
「いや…」
ローは何かを言いかけて口を噤み、そのまま立ち上がった。
「…俺は帰る。黒足屋はどうするんだ」
「あ?飯食って風呂入ってから帰るに決まってんだろ」
「そうか」
サンジは昨夜の事を思いだそうとするが、ローに何かされたのはわかるが何をされたのか全く思い出せない。ただ、体が妙にすっきりしている気がする。
「……なあ」
「何だ?」
「おれ、なんかしたか…?」
「いや、何も」
そう答えたローの口元が少しだけ笑っているように見えたのは気のせいだろうか。そんな疑問を浮かべながらサンジは立ち上がるのだった。
コメント
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ローサン少ないんでむっちゃ嬉しいです! これからも頑張ってください!!
さいこうですほんとに、、ローサンに求めてるものが全て詰まってらっしゃる…
神作品ですね😇ローサンマジで好き❤ これからも頑張って下さい😊