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2023年ー
「あ、!お兄ちゃんだよ!お母さん!」
1人の小学生の女の子がこっちを見てる。俺の妹だ。
俺のポジションはセッター。それに中学3年生ともあって正セッターをつとめている。
俺はツーアタックを決めた。
「なーいす!」
といいながらこっちに向いて叫んだ。
俺はただ微笑んで手を振った。すると、すごく嬉しそうな顔で手を振りかえした。
家に帰ると、
「お兄ちゃん!!お兄ちゃんがテレビに出てるー!!」
嬉しそうな顔で部屋まで駆けてきた。
「そっか。 」
俺は言った。
「優愛も来年から中学生だし、バレーで活躍すればテレビに出れるかもな。」
「当たり前でしょ!絶対中学ではバレー部入って、優勝してやるんだー!」
ニヤッと不敵な笑顔で俺を見た。俺より全然頼り甲斐あっていいエースになりそうだ。
「それよりお兄ちゃん今日もかっこよかったよ!!めちゃくちゃ活躍してた!」
俺の中ではもっとできたことがあったと思うし、なんなら悔しいまであるけど、
「ありがとう」
実の妹がかっこいいって、活躍してたと言ったんだ。間違いはないだろう。
「そういえば明日のテレビさ!高橋藍選手とかたくさんのエースが試合するんだよ!絶対見ようね!絶対だからね!」
不安が混じりつつある約束だな。あ、俺がいつも部活で帰ってくるの遅いからか。
2025年ー
「あかーし?大丈夫か?」
隣にいるのは俺の先輩。そして梟谷のエース、木兎光太郎だ。
「え?どうしましたか、木兎さん。」
急にびっくりしたなぁ、、
「いやあかーしが珍しくぼーっとしてたから」
え、うそ。まじか。
「あぁすいません」
もう、今日練習試合なんだからしっかりしろ俺、、。
「疲れてんじゃねーの?(木兎の世話で )」
「いえ、大丈夫です」
いけないな、先輩たちから見ても俺疲れた顔してんのかな、、
「そうか、でも逃げ出したくなったら言えよー代わってはやらねぇけど、言い訳考えてやるよ」
「いえ大丈夫です。スター選手と練習するの楽しいです。」
と言うと、先輩たちが困惑し始めた。なんでだろう、、?
「え、お前今、、何選手て?」
「、、?スター選手です。」
そんなのスター選手といえば木兎さんで違いないだろうになぜだろう、、?
「お前もなかなかの変人だな。」
うそぉ?なんで?
「、、?💦」
@家ー
「おかえり京治。ご飯できてるからね。」
へとへとな体をご飯の匂いが癒してくれる。けどその空気なんか一瞬のものでー
「、、優愛は?」
返ってくる言葉は分かってた。でもきっと、心のどこかで期待してる自分もいたと思う。
「今日も、部活行かず、帰ってくるなり、部屋に篭りっきりよ、、」
あぁ。昨日と全く同じ返事が返ってきた。
「そっか。」
光の速度でご飯を食べた後は、妹の部屋に前に立っていた。
「ご飯はもう食べた?今日は優愛が好きなハンバーグだったよ。」
「、、、」
返ってくるのは沈黙だけ。
「今日の学校はどうだった?」
「、、、」
やっぱり沈黙。俺は毎日こうやってドア越しに話しかけてる。
「俺は今日はいっぱいいいセットアップができて、エースにいいスパイク決めてもらったよ。」
「、、、」
「それに今日はなーーーーーーー」
「、、、ふふっ」
!!少し、少しだけど笑ってくれた。
こうやって話しかけることで、少しでも、救われたらな、、
「じゃあおやすみ。」
やっぱり返事は返ってこなかった。
部屋に戻ると俺は一番に心理学を勉強する。妹の心を、全部はわからなくても、少しはわかるようになりたくて。何か俺にできることはないかと探して探しまくった。
「う“ーん、、」
心理学ともなるとやっぱり難しい。
「ちょっと、京治!まだ起きてるの、?明日も部活よね、、 」
「大丈夫だから、ごめんね。心配しないで大丈夫だよ」
「そんな生活続けれたら、倒れるわよ!」
妹が辛いままの方が俺は倒れそうだよ。
「大丈夫だから。」
母さんは心配そうな目で俺をみた。心配かけて本当にごめんなさい。
練習試合ー
「前!前!」
梟谷学園の体育館に響き渡るのは練習試合の声。
「赤葦フォロー!」
「はい!!」
家の事情がどうであろうと、それは部活に関係ない。
それで先輩方にも後輩にも迷惑をかけるなんて持っての他。
「ラスト!お願いします!!」
「チャンスボール!!」
やばい、敵のチャンスボールだ、
「ワンチ!」
「あかーし!」
「わかってますよ!!」
一瞬視界が歪んだ。
思ったトスがあげれなかった。
「あかーし!?」
「あ、」
結局1セット目は取られた。
「すいません、、」
「大丈夫か?あかーし」
「心配いりません。木兎さんはいつも通りどうぞ」
はぁダメだ。心配をかけるな。2年で正セッターをやらせてもらってるんだ。
「大丈夫です。次取り返します」
「ブロック3枚!!」
「返ってくるぞー!」
「赤葦!トス!くれー!!」
待てよ、今ここでトスをあげたらブロックに押される可能性が高い。ここは他のスパイカーの方がいいじゃないか?ここで決められなかったらチームのいい調子を崩してしまう可能性もある。やっぱりここは安定を、いやここで木兎さんが決めたら流れは絶対こっちにくる。でもやっぱり外す可能性の方が高いし、でも決めれば、、
「赤葦!?しっかりしろ!?ボール落ちるぞ!!!!??」
「!はっ」
考えている間にボールは地面だった。
そうしている間にタイムアウトを取られた。
「すいません!」
「、、あかーしさ。なんか考えすぎてない?」
「え、?」
「いつもなら考えない可能性を考えってるっていうか、」
「失敗したら?って考えてない?」
「いつもならこの人なら決めてくれるって信頼をさー、どっかに置いてきてるっていうか、」
確かにそうだ。いつもは迷いなく木兎さんにトスをあげたハズ、なのに俺、今、
決めない可能性を考えた?
「すいません、、本当に、、」
「疲れてるなら休め、赤葦。 」
「木葉さん、、でも俺! 」
まだやれる、試合に出たい。
「赤葦。」
「!」
「どっかの木兎ってやつと違って、しっかりしてるし、勉強もできて、セッターとしても才能がある。」
「どんな時でも冷静で、現実的に考える。周りに迷惑など絶対にかけたくない性格だろう。 」
「それは体調管理も入るぞ。」
「お前、疲れてるんだろ。 」
「お前が一年の時はそんなこと一切なかったが、何かあったか?」
「、、ごめんなさい。」
「いやごめん。言えないなら別にいいよ。でもな赤葦。」
「家の事情とかなんだとして、それでも、最低限しっかり休まなきゃ、これからも試合でこういうミスを増えてくる。」
「最初は小さなミスでもそれが積み重なればどんどんズレは大きくなる。そうなったらもう手遅れだ。」
「だからそうなる前に、今日はそのずれを戻せ。しっかり寝て、しっかり休むんだ。今日のところはもうこれ以上お前を試合には出せない。」
試合に、出れない?そんなの、嫌だ。俺はまだ、
「、、あかーし!」
!?
「眠い?寝ていーぞ!監督もオッケー出してるし!あぁ水いる? 」
正直喉も痛いし水も飲めたものじゃないけど、
「ありがとう、ございます。」
「泣くなあかーしw大丈夫だ!ささっと勝ってくるわ!」
いつもの頼りない感じではなく、その背中はどこか、安心するような感じだった。そうか、
俺はそのまま安心して寝てしまったんだと思う。