にじのたに

ザッザッザッザッ

先の見えない雪景色の中なにかを引き摺り歩く音1つ。彼女の行く先知れぬまま。

まさか、私たちの結末がこんな事になるなんてね。と己で己を嘲笑う。

返答は返らぬまま、だけどきっと貴方もそうでしょう。

私たち互いが互いを選ばなかった方がきっと幸せになれたのに。

二人きりで独りきりの私はあなたに聞いていて欲しいの。

関係はどんなに穢れて腐っても貴方は腐らぬまま、酷く。それはとても酷く綺麗で、

まるで水ぶくれを掻きむしって流れた一筋の鮮血の様に。私はそれに何度も縋りつき狂わされたことか。

そんな貴方がとても、いじらしくなってしまう程狡くて貴方という存在ごと腐ってしまえれば楽なのに。

けれどそれももう終わりなのね。

私たちの恋も運命も行ったら終わりの片道切符。引き返すことなんてできなくてどんなに戻りたくてもやり直したくても貴方との恋をやり直すことも貴方と出会う前に戻ることはできない。

もし切符に帰り道があったなら、貴方と遭わずにきっとこんな腐った運命を選ばずに幸せになれて…きっと、きっと……

こんな、弱々しくならなかったのになぁ……

視界がぐわんぐわん歪む。夢の中にいるようなそんなような気分になる。

アナタとの腐った関係にも火をつけたなら、きっと私も自由になれるね。

ワタシの中からあなたという存在が腐り落ちてしまうまであと少し。

あぁ、あなたとおわかれできると思うとうれしくてこの身が焼けてこがれてしまうほどに暑くなる。

もうこんな厚いふくも自分というそんざいをしばってるようなリボンもいらないでしょう。

あぁ、ここはにじのたに。あなたをくさらせるためにもここじゃないところに、もっともっと遠くに行かなくちゃ。

あしあともこうかいもゆくえ知れず、ただ行くさきは………

暗転。