コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
### **『女たらしの久坂くん』**
**第1話:瑞希へのアタック
「瑞希、今ヒマ?」
俺――久坂翔は、今日も懲りずに恋愛活動を開始した。狙うは水田瑞希。ボブカットがよく似合う、どこか冷めた雰囲気の女子だ。
瑞希は、俺のことを見上げると、あからさまにめんどくさそうな顔をした。
「…何?」
あぁ、その反応いいね。ツンとした子ほど落とし甲斐があるってもんよ。
「いやさ、ちょっと話そーかなって思って!」
俺がにこっと笑って手を差し出すと、瑞希はジト目になりながら腕を組んだ。
「話すことなんかないんだけど」
「まぁまぁ、そんなこと言わずにさ~」
俺がしつこく絡もうとした、その時。
「翔?」
背後から聞こえた声に振り向くと、そこには佐原結由が立っていた。俺の元カノ。
「おお、結由。久しぶりじゃん」
「久しぶりでもないけど」
相変わらずの冷たい返し。でも、俺は気にしない。
「なぁ、俺らさ、付き合ってた時より仲良くできる気がするんだけど」
「は?」
「だから、また――」
「翔!!」
突然、背後からドーンッ!!!と衝撃が走った。
「うおっ?!」
俺は思わず前につんのめりそうになりながら、何とかバランスを取った。
「は? え?」
わけがわからず振り向くと、そこには風見智が立っていた。俺の友達だ。
「なんだよ、いきなり!」
「ん? いや、別に?」
「いやいやいや、”別に”じゃなくて! 何のドーン!? しかもめっちゃ全力だったろ!」
「気のせいじゃね?」
そう言って、智は笑いながら俺の肩をポンと叩いた。でも、何か隠してるような雰囲気がある。
俺は結由の方をチラッと見るが、彼女は何も言わずにスマホをいじり始めた。
「……え?」
俺の頭には疑問しか残らない。
結局、智は何の説明もせず、そのまま俺をスルーして行ってしまった。
「なんだよ……意味わかんねぇ」
訳のわからないまま、俺の瑞希アタックは未遂で終わったのだった。
いや、まだまだこれからよ?
人生、長いってもんだから…