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コメント
4件
めっちゃ尊い、、、 このカプはいいよね(?) 久しぶりにこっち更新されてて嬉しい(*´꒳`*)
ちょっと待って尊すぎる、、、、、_:(´ཀ`」 ∠): 何周もしてしまった、、、、、!
“こっち見てよ”
(神奈川×東京)
最近の話…
避けられてる気がする
東京はパソコンから正面に座る隣県へ目を移す
仕事をそつなくこなす彼はこっちに見向きもしないようだ
気のせいかもしれないけど、以前と何処か違う気がしてならなかった
確かめてみたい。
ギシ…
椅子から立ち上がり彼…神奈川の元へと向かう
別に、元首都の京都のように話しずらいという仲ではないし、大阪のようにどっちつかずの関係でもない。
むしろ仕事をサポートしてくれたり、関東の皆をまとめてくれたりと頼りがいのある存在
「……神奈川」
呼ぶと振り返って
「どしたの?」
いつもの掴みどころのない笑顔で聞いてきた
頼れる存在で…
でも、あんまり知らないな。
神奈川って何考えてるんだろ
行動を共にすることは多くとも未だに東京は神奈川の性格…というよりは本心を理解できてはいなかった。
優しくて、不満はあんまり言わないし、たまにちょっと傲慢だったり
「…この資料頼みたいんですけど、」
「うん。いいよ」
「それで、報告は僕がやるので…」
前の神奈川なら
“そっか。それなら一緒に確認しながらつくる?”
なんて提案するはず…
多少の期待をしながら返事を待つ
「そっか。東京なら平気だね
じゃ、俺は仕事に戻るよ」
突き放された。
まぁ最近こんな調子
期待を裏切られたような、ぽっかり胸に穴が空いたような寂しさが残りなりながらも自席へと戻った
暗い画面に移った自分の顔は疲れきっていた
休憩にでも入ろう
目をそらすようにパソコンを閉じるとそのまま休憩スペースへと足を運んだ
ガシャンッ
自販機から出てきたコーヒーを持つ
暖かい缶の温度が伝わってきた
「はぁ…」
休憩スペースの椅子に腰掛けるとため息がもれた
なんでなんだろ…
なにか思い当たる節もなければ、トラブル事もない。
だとすると、本当に愛想をつかされたのかもしれない
気持ちが重かった。
いつも傍にいて気を使ってくるのが当たり前のようで、
でもそれは彼からしたらただただ面倒くさく苦痛だったかもしれない。
いつも笑顔だったのも愛想笑いだったり、
考えれば考えるほど、良くない方向へと思考が回る
もうやめよう。
そう思ってうつ伏せると馴染み深い声が聞こえた
「うお!?どうしたんすか!東京さん!」
「…千葉、」
きっと僕は今、相当酷い顔してるんだろうな
「疲れて…ますよね、相当しんどそうですけど。」
当たりらしい。
「また寝不足っすか?」
心配そうな顔をして見つめてくる。まさか目の前の相手が同僚の人間関係で悩んでるなんて思わないだろう。
というか悟られたくもない
「…そう、ですね。少しだけ」
「ダメじゃないっすか…!ちゃんと睡眠はとらないと…」
「…はい。気をつけます」
注意を促してくる千葉に罪悪感を抱きながらその場を後にした
結局、あれから神奈川に話しかけても避けられたし
靴を履きながらぼやーっと顔を思い浮かべる
嫌われちゃったのかな。
でも、それを直接聞くほど野暮じゃない
いつもより早い時間に会社のドアを開いて家へと歩く
久しぶりに早く帰れるのにちっとも嬉しくなんかなかった
今帰って関東の面々となんとなく顔を合わせたくない
「………あ」
ふと路地が目に入った
いつもは絶対に通らない道。遠回りだし、暗くて気味が悪い。
だけど今は…
今日は遠回りをして、極力帰る時間を遅らせたかった。
路地に入る
あちこちにゴミが捨てられていれば、並んでいるお店もどこか怪しい
治安もあまり良くないように見える
早く出たいと思えど、走れば遠回りをした意味もない
そんなことがグルグル頭の中で回ってる
「ねぇ。君1人?」
突然声をかけられて驚き、勢いよく後ろを振り返った。薄ら笑いを浮かべた男がたっている
2人組で…見るからにチャラそうな人。
いや、見た目で決めつけちゃだめなんだけど…
「ダメじゃん。君みたいな小さい子がこんなところにいたらさ〜?」
先程話しかけてきたガタイのいい男が覗き込んでくる
思わず身を引いた
やば。変な人に絡まれたな
何となく嫌な予感はしてたけど
「お兄さん達が安全なところに連れて行ってあげるよ?」
「…大丈夫です……成人してますし、
一人で帰れますから」
無駄に絡もうとしない。刺激しない。
そのまま立ち去ろうとした
その時ー…
ガシッ
腕を掴まれた
振り払おうとしてもこの体格差
無理に決まっている。
自分の身体が憎らしい
「成人?君が?
嘘でしょ。その見た目で?」
もう一人の男が腕を掴んだまま笑っている
明らかにバカにしている態度だった
自分よりはるかに高い彼らを見ていると怒りよりも恐怖の方が勝っていた
「っ…は、離してください」
つい声が小さくなってしまう
「ははっ!怯えちゃって可愛い〜」
「君さぁ。本当に男の子?」
腰の辺りをさすられる
寒気がした。早く、早くこの場から逃げないと
「そんなん身ぐるみ剥がせば分かるだろ!」
「!?」
肩に触れていた手に力がかかり押し倒される
地面についた背中の痛みすら感じないほど怖さに震えていた
「い、いや…っ…離して、…!」
上手く声も抵抗する力もでない
スーツを脱がされてカーディガンのボタンに手がかけられる
素直に帰ってればよかったな…
そんなことを思いながら見たくないからと
目を力強く瞑った
ドカッ
なにかが衝突し、倒れた
押さえつけられていた手や足が軽くなる
何…、?
恐る恐る目を開く
「…はぁ…よかった。」
「……かな…がわ…なんで、…ここに…」
信じられなくて目を擦る
神奈川はゆっくりとしゃがんで視線を合わせてくる
怒られる…!
反射的にまた目をつぶった。
今度はさっきより強く
けど、いつまで経ってもおでこにデコピンはお見舞いされなかった
また目を開く
そこには手が優しく差しのべられていた
「……え?」
「帰るよ。もうこんなとこ来たらだめだから」
え…?
なんで…いつもなら……
神奈川の笑顔が先程の状況より怖くて…どこか冷たかった
「ごめんなさい…。一人で…立てますから…」
そう言うと神奈川は何も言わずに元来た道の方へと振り返った
そのまま歩き出す
…待って、行かないで…
なんで……。なにか悪いことした?気に障ることした?なんで…なんで、
待って、!!!
気づいたら神奈川の手を掴んでいた
自分が掴まれたみたいに強く。
「…東京?」
「…な…さい、」
「え?」
「ごめんなさい…。待って…行かないで…、
置いてかないで……」
視界が滲んで神奈川が今どんな表情なのかわからない
弱音を吐くなんて…ますます嫌われたに違いない
情けなくて、俯いているとフワッと腕に包まれた
暖かい。
久々の距離に安堵と今までの不安で涙腺が崩壊した
しばらくこのまま…
「…やっと、こっち見てくれたね」
そんな神奈川の声は東京には届かなかった。