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チャクラ宙返り
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伝令の忍が報告を終えた直後、広間の空気は静まり返り、誰もが言葉を失っていた──。
──鉄の国・五影会談
「万華鏡写輪眼を持ち、更には木遁を操るなど……どういう事だ」
エーの声が会場に鈍く反響する。
綱手は険しい表情のまま沈黙を保っていたが、やがてその唇が重く開かれた。
「今の時点で、私の口から説明できる確かな情報は何もない……」
「その話は、本当なのですか?幻術の可能性は?」
メイに尋ねられた伝令の忍が即座に答える。
「幻術ではありません。現場にいた複数の忍が直接目撃しています。木遁を操り、敵を拘束したと……」
「次から次へと……」
オオノキが背もたれに身を預け、天井を仰ぐ。
「こんなことは前代未聞じゃぜ……」
エーが鋭く綱手を睨みつけた。
「何か隠しているんじゃないだろうな!」
「落ち着かれよ、雷影」
我愛羅が諌める。
すると、その場の緊張と混乱を断ち切るように静かな声が響いた。
「このまま全員で、木ノ葉へ移動するのはどうでしょうか」
視線が一斉に集まった先にいたのは、シカクだった。
「ここで言い争っていても、憶測ばかりで結論は出ません。しかし、情報の収集と検証には時間がかかる。
戦争を控えた今、一刻の猶予もない。
時間を短縮するためにも良いのではないかと……」
その提案を受けて、様子を見ていた鉄の国の代表・ミフネが静かに口を開いた。
「確かに……再びここへ集まるには時間がかかる。
戦が迫っている中で、悠長に構えてはいられぬ。真実を早急に白日のもとに晒すでござる」
彼は周囲を見渡しながら続ける。
「皆で共に赴き、木ノ葉で五影会談を行う。
異例ではあるがやむを得ん」
我愛羅が小さく頷く。
「……異論はない」
オオノキも眉をひそめながら同意した。
「ふん、仕方ない。まったく、話が大仰すぎじゃぜ」
「木ノ葉で全てを曝け出してもらう。言い逃れは許さんぞ、火影」
エーは綱手を睨みつけたまま、重みのある声色を放つ。
綱手はわずかに息を吸い、頷いた。
「本人を聴取し、詳しく調べた上で……事実を明らかにする」
シカクが立ち上がり、綱手へ目配せをする。
「では、すぐに向かいましょう。時間がありません」
綱手は短く頷き、静かに椅子から立ち上がった。
「……ああ」
他の影たちも黙って席を立ち、それぞれの護衛がそれに続く。
──外は吹雪。
新たな混乱の気配とともに、その音は止むことなく吹き続けていた。
──木ノ葉・療養用テント
入り口の幕を揺らす風に、ほのかに混じる消毒液の匂い。
あの戦いから四日、布団上ではミズノが眠り続けていた。
サクラが少しの疲れを滲ませながらテントの入り口を開く。すると、心配そうな眼差しでミズノの隣に座るヒナタの姿があった。
「ヒナタ、今日も来てたのね」
ヒナタは名前を呼ばれ、振り向く。
「サクラさん……!」
「ミズノさん、身体の状態は良くなってきてるんだけどチャクラがなかなか回復しないのよ……」
「一人で……あんなに無理をしたんだもんね……」
ヒナタの声がかすかに沈み、サクラも視線を落とした。
すると、荒々しい足音が近づいてくる。
テントの中に入ってきたのは、里に戻ってきたばかりの綱手だった。
「綱手様!!」
綱手は応えるように頷きながらサクラに視線を向け、ミズノに歩み寄る。
「様子はどうだ」
カルテに目を走らせながら、サクラに問いかけた。
「はい、身体の状態はよくなっています。ただチャクラが回復しなくて……」
「あと少し、というところか」
綱手がミズノの身体に手をかざすと、そこからゆるやかに緑の光が放たれる。
その光は身体の奥深くへと染み込んでいく。
サクラとヒナタは息を潜め、黙ってそれを見つめていた。
綱手の手からは更に強い光があふれ始め、テント内に満ちていく。
──次の瞬間
彼女の瞼が震え、ゆっくりとその瞳が開いた。
焦点の定まらない視線が、次第に辺りの景色をとらえていく。
「……目が覚めたか」
綱手が静かに言う。
ヒナタは張りつめていた糸が切れたように、両手で口元を覆いながら、ぽろぽろと涙をこぼしていた。
「ミズノさん!!よかった……!」
サクラも優しく微笑んでいる。
「本当に良かった……四日間も眠ったままだったのよ」
意識もまだ曖昧。けれど、二人に向けミズノはうっすらと笑みを浮かべる。
そしてそばに立っている綱手へと視線を移した。
「ミズノ、無茶をしすぎだ。だが……今回は助かった。
礼を言う」
その声は優しく、暖かさを感じた。
「すみません……命令を守らずに……勝手な事を……」
「……お前に聞きたいことは山ほどある。
だが、今日は大人しく身体を休めろ。話はそれからだ」
綱手は優しく目元を細めている。
「……ありがとうございます」
戦いの果てに眠り続けていた彼女は、ようやく目を覚ました。
だが、その安堵の影で真実を問う刻は静かに近づいていた。
──木ノ葉隠れ・会議室
静まり返った廊下に、ゆっくりと歩みを進める足音が響く。
朝焼けは高く登り、空は淡い光に包まれていた。
目覚めから一日たち、身体は回復したがミズノの胸の奥は晴れないまま。
“各里の影達が特例で木ノ葉に集まり、五影会談を行う。
お前に関して早急に明らかにしなければならないことがあるからだ。会談の前に詳しく話を聞きたい”
綱手からの呼び出し。
ミズノは会議室の前で一度立ち止まった。扉の向こうに全てが待っている。
一度だけ呼吸を整えた。
「失礼します」
ミズノの声に綱手が振り返る。
「来たか……」
側にはシズネとシカクが控えていた。
「体調はどうだ?」
「はい。もう大丈夫です」
綱手はわずかに口元を緩める。
そしてすぐに表情を戻し、両腕を組みながらゆっくりとミズノへ語りかけた。
「呼び出した理由は……音隠れの襲撃の件だ」
ミズノの心に冷たい風が吹き抜ける。
「……はい」
綱手はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「悪いが、お前のことを調べさせてもらった。
そして……初代火影・柱間が書き残していた機密文書を見つけた」
ミズノの心拍数が跳ね上がった。
頭の中で、かつて祖父が口にした記憶が交錯する。
(柱間様……本当の事を……)
ミズノの瞳にわずかな翳りが差す。
「その文書にはこう書かれていた。
“我々の姉、千手棟間(とうま)の血を継ぐ者がうちは一族の青年と結ばれた。この事実は秘される。
しかし、千手の血とうちはの瞳の力が交わり、特別な能力を宿す可能性あり。里の安寧のためにこれを記す”」
綱手が言い終えると、そばに控えていたシズネが口を開いた。
「ここに書かれていること……あなたに関係があるのか、私たちに話してもらえる?」
場を押しつぶすような沈黙が返答を待っている。
ミズノは瞳に覚悟の光を宿し、静かに語り始めた。
「……そこに書かれていることは私の祖母と祖父の事です」
自分の言葉に時間が止まったような錯覚が襲ってくる。
しかし臆さず、話を続けていく。
「私が柱間様の血縁者だと知ったのは九歳の時……祖父が亡くなる前に、祖母が柱間様の姉の血を引いていると教えてくれました。
だけど……時代が千手とうちはの血が混じる事を良しとしなかった。
祖母は素性を隠し続け、真実を知っているのは私の家族と柱間様、扉間様だけだったと……」
綱手、シカク、シズネはただ黙ってミズノの言葉に耳を傾けていた。
「私に木遁の力が宿っているとわかった時、祖父と祖母は私にチャクラの制御を厳しく教え込み、木遁の使用を固く禁じました。でもあの人数の敵を止めるには……木遁を使うしかなかった……」
ミズノは前を見据えたまま、指先をぎゅっと握る。
「なぜ、一人で戦った」
問いを投げかけるシカクに視線を移した。
「“うちは”は悪じゃないと証明したかったんです。
私の事も信じてもらいたかった」
その声色は濁りなく、室内に響く。
「それに、敵の狙いは私の眼だった。
だからなおさら……私が戦わなければと思いました」
しばしの沈黙──
再び、シカクが問う。
「なぜ万華鏡写輪眼を開眼している。
そして、三代目がお前を保護していた理由はなんだ」
ミズノは指先でそっと服の袖を握った。
「あの日……うちはイタチに月読をかけられ、しばらくして目覚めました。一緒にいた姉も目を覚ましましたが、すぐに息を引き取った。万華鏡写輪眼はその時に……」
言葉の終わりと同時に一瞬、袖口をつまむ指先に僅かに力を込める。
感情を押し込め、再び言葉を繋いだ。
「……そして私は、ヒルゼン様に助けを求めに行きました。
私が生き延びて万華鏡を開眼していると知られれば、再びうちはイタチに命を狙われ、眼を奪われる危険があるとヒルゼン様は考えた。
だから……私の素性を偽り、守り続けてくれたんです」
──全てが真実ではない。
けれどイズミから託された願いを背負い、イタチの想いを守るために嘘を選ぶ。
その選択に迷いはなかった。
シカクが腕を組みながら静かに言う。
「……筋は通っている。説明としてはな」
一見冷静だが、その目にはわずかに探るような色が残っていた。
綱手がミズノへ近づく。
「全てが……あまりにも重すぎる話だ。それを今まで抱えていたとはな……」
綱手はふっと息を吐く。
「真実が本人から語られ、文書にも残されていた。
他里を納得させるため、今後のお前の行動はより慎重であるべきだろう」
僅かな無言──
「とはいえ……」
綱手の声が和らいだ。
「私は、お前の信念と行動を信じたいと思う」
「綱手様……」
ミズノは揺れる瞳を隠すように、古びた巻物に視線を落とす。
「私たち家族は……やはり初代様に警戒されていたんですね……」
「この文書を残すよう進言したのは、二代目だろう。
おじい様は一族に縛られず、信じ受け入れようとする人だったからな」
「え……?」
「二代目は合理的な人でな。警戒心も強かった。
信じる者と、警戒する者……同じ火影といえど、兄弟で考え方は違い、守ろうとするものも違う。
矛盾を感じるかもしれないが、里を思う気持ちは……同じだ」
その綱手の一言一言が、胸の奥深くに染み込んでいく。
「ミズノ……千手一族は里の中で散り散りになった。一族の中には木遁を受け継いだ者はいない。
孫の私にも受け継がれなかった能力を、お前が受け継いでいる事を嬉しく思う……と同時に少し羨ましくも感じるな」
そう言いながら、イタズラっぽく綱手は笑った。
「その力、大切にしてほしい」
「はい……」
綱手の言葉に心の底に沈んでいた重さが消え、すっと軽くなった気がした。
シズネは二人の会話を聞き、静かに言葉を発する。
「まさか……あなたが綱手様の親戚で、木遁を受け継ぐなんてね……」
その声音にはわずかな戸惑いが混じっていた。
「……火影様」
シカクの声が空気を変える。
「真実が明らかになった今、問題は木ノ葉がどう向き合うかです。私たちの姿勢が問われます」
シカクはミズノに視線を移した。
「木遁を操り、万華鏡を開眼しているうちはは“脅威”です。
この文書のとおり、何か特別な能力を宿している可能性もある。
しかし、彼女の強さはこれから始まる戦争において大きな戦力にもなります。
他里の信頼を得るには事実を包み隠さず伝え、こちらがしっかり彼女を管理できていると示さねばなりません。
監視付きの行動を回答として提示すべきでしょう」
「そうだな……ならば監視役はあいつしかいない」
綱手はミズノを見てにやりと笑ったのだった。
──特例・木ノ葉にて五影会談
会議室。扉が閉じられ、外界の音が消える。
ここに今、再び五影が集っていた。
室内の空気は静かに張り詰めている。
鉄の国、侍のミフネが口を開いた。
「では……うちはミズノとは一体何者だったのか、報告を聞きたい」
淡々とした声が空気を震わせる。
その問いに、各里の影たちが静かに綱手へ視線を向けた。
木遁という特別な力を操っていたこと。
しかも、それが万華鏡を開眼しているうちはであること。
綱手は静かに顔を上げた。
「……今回の件について、まずこれを見てもらいたい」
彼女がそう言って机に出したのは、古びた巻物だった。
エーが身を乗り出す。
「なんだこれは?」
「初代と二代目が残していたものだ。極秘事項が記されている。私も今回の件があるまで、この存在を知らなかった」
巻物を綱手がゆっくりと開いた。
黄ばんだ紙に端正な筆跡で記されている事実。
皆の視線が引き込まれていく。
メイは瞬きすら忘れたように目を見開いた。
「初代様の血縁者とうちは一族が……?」
「その血縁者がミズノの祖母だ。
彼女は“戦死”と記録されたが、素性を偽り生きていた。
千手とうちは、相容れぬ一族の交わりが明るみに出れば里の秩序を乱す……当時はそういう時代だ。
初代は二人を守るために事実を隠した。
だが、特別な力を持ったものが生まれる可能性を懸念した二代目が予防線として文書を残していたのだ」
綱手の声が重くなっていく。
「そして……ミズノが木遁を受け継ぎ、万華鏡を斬撃の日の喪失の果てに開眼した。
二つの力を併せ持つことで、彼女自身がまだ気づいていない能力が眠っている可能性もある」
その言葉が放たれた瞬間、エーの声が冷たく切り込んだ。
「柱間の血を引くうちはなど……眠っている力次第で脅威にもなり得る。どう扱うつもりだ」
綱手はわずかに顎を上げ、エーへ視線を向ける。
その目には一片の怯みもなかった。
「ミズノは守るために戦った。
信用を得るため、うちはの名をこれ以上けがさぬために。自らの力が“脅威”になり得ることも理解している。
命令に背き、独断で動いたのは事実だ。
しかし、彼女の覚悟を咎めるつもりはない。ミズノがいなければ里に大きな被害がでていた」
その場にいる一人ひとりの目をみつめ、綱手は続ける。
「私たちは“監視付きでの行動”ならば許可できると判断した。監視役は上忍マイト・ガイに任せる。
彼の能力は十分だ。彼女をよく知る者であれば、無用な摩擦も防げる。……何かあれば、すべての責任はこの私が負う」
全てを聞き終えたのち、我愛羅が静かに言葉を紡いだ。
「……特別な力を持つ者の本質は、その力をどう扱うかで決まる。悲しみと宿命、そして信念を背負いながら、ただ守るために戦った彼女を……俺は信頼に足ると考える」
「………」
その場を包んだのは、深い沈黙。
我愛羅の言葉には、かつての孤独と贖いを知る者だけが持つ重みがあった。
影達の視線が互いに交差し合い、重苦しい空気の中にわずかな光がさしていく。
エーが静かに腕を組み直し、メイはほんのわずかに頷く。
オオノキは目を閉じ、静かに息を吐いた。
「……異論はないか」
綱手が皆を見渡す。
全員の視線が静かにうなずこうとした瞬間──
外から言い争う声が聞こえてきた。
護衛の忍が鋭く声を張り上げている。
「待て、今は五影会談中だ!!」
その声を割って、勢いよくドアが開けられた。
大きな声が会議室に飛び込む。
「綱手様!!影の皆さん!!
ミズノさんの件で、話をさせてください!」
その声が会議室に響いた瞬間、無数の視線が扉の方へと一斉に集まっていく。
そこに立っていたのは第三班の仲間、リーとネジだった。
「お前たち!!会談中に一体何事だ!!」
「無礼な奴らじゃぜ……」
低く唸るような声でエーが言い放ち、オオノキは険しい眼差しで二人を睨みつける。
しかしその空気に怖気付くことなく、リーが一歩前に出た。
「ミズノさんは……優しい人です!
僕はその姿を、何度もこの目で見てきました!
任務ではいつだって、自分より仲間の事を考えて動いていました!
里のことを考えて、本気で戦っていました!
うちは一族だからなんて……そんな理由で人を決めつけるのは間違っています!
ミズノさんは木ノ葉の大切な仲間です!!」
続けてネジが口を開く。
「ミズノは……俺たちにとって大切な仲間だ。うちはであろうとなかろうと関係ない。
一族で測るのではなく、ミズノという一人の忍として認め、正当な判断をお願いしたい」
二人の声は、その場にいた全員の心に静かに広がっていく。
その余韻とともに空気がゆっくりと変わり始めた。
我愛羅が彼らの姿を見つめて呟く。
「……我々に見えていないものが、彼らには見えているのだろうな」
メイは優しく微笑んだ。
「男気がある子たちね……」
綱手はゆっくりと立ち上がり、二人の前に歩み出る。
深く息を吐き、静かに口を開いた。
「落ち着け、二人とも。お前たちの気持ちは十分伝わった」
ネジとリーが戸惑いながらも、真っすぐ綱手の目を見つめる。
「ちょうど今、結論が出たところだ……厳しい処罰はしないということにな」
ホッと安堵の色が二人の表情に浮かんだ。
しかし、綱手の目は厳しさを帯びたまま。
「だが、“うちはマダラ”という存在がこの戦争の発端となり、うちはの血を引く者が力を振るう……この状況において、ミズノを完全に自由にさせるわけにはいかないのだ」
その言葉に、ネジとリーは再び真剣な表情で綱手の言葉を待った。
「うちはミズノは第三班に復帰するが、監視付きで行動してもらう。監視役にはガイを任命した。
ガイの判断によって、必要な報告が入るようにする。
それがここでの結論だ」
綱手は表情を緩める。
その表情と言葉に、リーとネジは顔を見合わせた。
ネジは、静かに頭を下げた。
「……感謝します」
リーも深く礼をした。
「ありがとうございます!!!」
綱手は二人をしばらく見つめた後、背を向けて部屋の中央へ戻る。
「……それでは、これにて五影会談を終了する」
重く垂れていた空気が、ミフネの声により静かに和らいでいく。
外は夕陽が差し込み、黄ばんだ古い巻物は静かに卓上へ佇む。
信頼を取り戻し、それぞれの里が再び手を組む。
戦の足音は近い。
だが今、この瞬間だけは希望が息づいていた。
──夕陽が沈みきり、木ノ葉を暗闇が支配している。
人の気配が消えた会議室の奥。
細い灯りの中で、コハルとホムラが静かに佇んでいた。
「……あの娘、あまりに危うい存在だ」
コハルが抑えた声で呟く。
その声は冷徹さを纏わせていた。
「初代の血に、万華鏡写輪眼……」
ホムラが表情一つ変えず、淡々と続ける。
「加えてイタチの真実まで抱えているとなれば……口火は勝手に切れるやもしれん」
恐れではない。その目には排除の意志が宿っていた。
コハルはため息を一つ落とす。
「戦争の混乱に乗じて手を打つべきであろう……里のためだ」
ホムラが静かに頷く。
二人の足音が、何事もなかったかのように闇の奥へと消えていった。
その光景を上から静かに見つめるものがいた。
──ゼツ。
壁の一部のように動かず、ただぬらりと口元を歪める。
「ほんと……おもしろいねぇ。味方の闇が一番深い」
溶けるように天井へ身体を沈ませ、次の瞬間には暗い空洞へと姿を現す。
目の前には仮面の男が静かに待っていた。
「……どうだ」
「予想通り……戦争で死んだと見せかけて、きれいに始末するつもりだよ。ミズノはイタチの真実も知ってるみたいだし、あいつらにとって色々と厄介な存在なんだろうね……」
ゼツは楽しむように、乾いた笑い声を漏らしている。
マダラの瞳がわずかに細められた。
「……やはり木ノ葉は相変わらずだな。次の作戦のいい材料になる……」
その言葉は冷たい岩壁に吸い込まれ、音もなく消えていく。
──2つの闇の企みは、やがて一つの心を惑わせる波紋となるのだった。