神様の霊力が一段と上がり今や日本中の神社で神様の姿が見られるようになった。
神様の姿は神社によって異なり狐、狛犬、といった神獣の姿をしている神
人の姿をしている神と個性の強い神様が目撃されるようになり全国の神様を一目見ようと神社を回る人々も現れるようになり、国内だけにとどまらず外国からも注目を浴びるようになった。
それぞれの方法で知名度や参拝客を呼んだり地域の方々との交流を深めたり、霊力を上げるためにも日々修業を続けている。
その中でも一番人気が高いのがゆき猫様という僕の住んでいる村を守っている猫の神様だ。
ゆき猫様はご自身の意志と体力や身体の状態に合わせて姿を変えることができるという神様の中でも珍しい霊力を持っている。
この神様が目に見えるようになったということに人が気づいたのもこの神様がきっかけだ。
神社にお参りに行った人が御水屋の前で猫が気持ちよさそうに寝ているのを発見し、瞬く間にその猫のことは広まった。
ただの猫なら、そこまで広がることはなかったかもしれないが野良猫とは思えないほどの絹のように真っ白でつやのある毛並み大空を移したかのようなきれいな青色の瞳その姿が神社の主、ゆき猫様だった。
今は神社で住み込みの手伝いへ向かうために気の遠くなるような長い階段を登っている最中だ。
階段を登った先に見えたのは一人の巫女のような格好をし白く長い髪をお団子でひとまとめにしている同い年ぐらいの女の人だった
「遅い時間に来てくださりありがとうございます本日からお手伝いしていただける如月優馬さんですか?」
階段を登り終え一息ついていると聞いていると安心するような優しい声が聞こえてきた。
顔を上げると頂上で待っていた先程の巫女さんが優しく微笑みながら手にはお茶を持っている。
「はい、如月優馬です、本日からお手伝いすることになりました。ふつつかものですがよろしくお願いいたします。」
挨拶を返したが肝心なゆき猫様の姿がお見えにならないこういう大事なときはゆき猫様自身がお出迎えなさっていると耳にはしていたが神様といえど猫だから寒さに弱いとかだろうか、でもそしたらこの巫女さんが呼ぶなり、案内するなりはすると思うがそのような素振りはなくただ尻尾を揺らしてこちらの反応を伺っている気がする。
「あのゆき猫様はまだお見えにならないのですか?」
こちらの問いを聞き、微笑んだかと思えば万年の笑みを浮かべて
「おめでとうございます。最終試験突破です」
と理由のわからないことを言い出したかと思えば先程の巫女さんに変わり、ゆき猫様の姿が現れた。
こちらがあっけにとられてる間に身だしなみを整えて
「改めて自己紹介させていただきますね
猫山神社の管理、地上と天界の伝言係を担当させてもらってるゆき猫と申します。それで先程の最終試験の説明なんですけどお手伝いには神社での仕事ももちろん含まれています。いつでも一緒にいられるとは限らないので私の目がないときに参拝者の方への態度が悪いと不快な思いをさせてしまう可能性があるので巫女の姿になって態度を見させてもらってました」
落ち着いた声と聞き取りやすい、話慣れた口調で説明をしてくれた。
普段から見せてる優しいだけの姿ではなく、賢明で、思慮深い神様らしい姿をこの目で実感することになった。
「そうなんですね、でもそんな人いるのですか?」
頭に浮かんだ素朴な疑問をそのままぶつけてみたら苦い顔を浮かべ遠い記憶を探るように
「優馬さんのように命を持っているものを平等に扱える方々ばかりがいると思っていらっしゃるのならそれは大間違いですよ」
と意味の深い言葉を吐き、苦笑いを浮かべる、その様子からして深堀りはしないほうが良さそうだ。
「そういえば、道中でお怪我や不審なものを見かけたりしましたか?」
いきなり、真剣な表情で聞いてくることを不思議に思いながらも答える。
「怪我もしていませんし、不審な物を見たり聞いたりもしていませんよ」
「そうですか、それなら良かったです。変なことを聞きますがあの有馬さんもしかして霊能力をお持ちですか?」
一瞬安心の表情を浮かべたあとすぐに真剣な表情に戻った。
「代々神社の神主をしている家系で多少ですが霊能力を持っています。」
「少し手を出していただけますか?」
言われたとおりに手を差し出すと、ゆっくり白くて綺麗な手がのびてきて、その手に触れられた。
「血縁が続くにつれて弱く放ってきているようですが、それでも強いですね」
すぐに穏やかな表情に戻り。
「それとすごく冷たいですね、冷え性なんですか?」
「はい、すぐに冷たくなってしまうんです。」
「そうなのですね、ここから少し歩いたところに離れがあるんですがお風呂を沸かしているのでに行きますか?」
俺が頷いたのを確認し、ゆっくりと振り向き歩幅を合わして先を行くその背中も美しかった。
「仕事中はこの神社で過ごすことがほとんどでそれ以外就寝や毎日の食事は離れですることがおおいです。主に神社か離れにいることが多いです。」
木にかけられた灯りを頼りにゆるやかな山の中を進んでいく風が吹くと優しい音があたりに響く。
「そうなんですね、この灯りは風鈴ですか?」
「はい、体験会で展示されていた風鈴を少しアレンジして、このように目印にしているんです、夜は見えないことが多いので怪我はなるべく避けたいですし」
少し歩いて立ち止まり
「寒くないですか?」
そういいながらマフラーを取りそれを俺の首に回す。
「いいんですか?ゆき猫様が寒くなってしまいますよ」
「霊力で身につけているものに暖かくなるのできにしないでください」
「もうそろそろでつきますよ」
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