テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
“この作品はこの世の全てと関係ありません”人に見られるような場所で読んだり、話したり、布教したりするのは絶対にやめてください。
nmmn/rbru←これらの単語の意味が分からない方は見るのをお控えください。
宝石病改変/ほぼ死ネタ/つ🅰️全員出演/その他諸々
試しに一部AIに推敲を頼んでいます。
不快な方はお戻りください。
初心者なので悪しからず。
あくまで作者の妄想ですので解像度が低いだとかは言わないでください。
pixivと本垢からの転載です。これは特にお気に入り
_______________________________________
いつもと同じように過ごしてた。
「これ美味そうだな」
「今度行く?」
「行かんね」
他愛のない話をして
「好きだよ小柳くん」
「…俺も」
愛を確かめあって
いつまでもこんな時が続くと思ってた。
_______________________________________
明日は休みだから。
星導はそう言って俺にゲームを誘ってきた。
当然FPSをすると思っていたので、星導がホラーゲームを起動し始めた時はまた記憶喪失にでもなったのかと思った。
こいつ、俺がホラー無理なの知ってるよな?
最近流行ってるゲームで…だとか、そんなことをほざいていた気がするがあまり覚えていない。記憶喪失になったのは俺の方だったらしい。
ただ唯一覚えているのは、途中からプレイするのが嫌になってコントローラーを星導に押し付けた事ぐらい。
ワタワタと両手でゲームをプレイする姿は実に滑稽だった。
その後は、いつもと同じ流れになった。
星導はゲームを一人でやらされた恨みからか、その無様な様を笑われた恨みからか、もしかしたらどっちでもないかもしれないけど、とにかくいつもよりも激しく俺を抱いた。
眠い目をこすりながら汚れたシーツを片付け、風呂に入り、同じベッドで寝る。ここまではいつも通り。
問題はその後の夜明けのことだ。
_______________________________________
「ん゛ん…」
頭上でうるさく鳴り響く目覚まし時計を止める。
今日は珍しく丸一日休みだから、水族館にでも行こうと以前から計画していた。
まぁ、言ってしまえばデートってやつ。
今回の計画の発案者である俺の恋人は、先程まであんなにうるさい音が鳴ってたってのに、まだ夢から覚めていないようだ。
いつもならこのまま二度寝するのだが、今回はそうもいかない。
「星導」
なんとか起こそうと肩を揺らし星導の名を呼ぶ。すると、本来寝室からは鳴らない筈の音が部屋に響いた。
ぱき。
少し、星導が変身する時の音に似ていると思った。
「…星導?」
「んん…はぁい…もう起きるよ……」
「……どうしたの?」
どうやら星導は、俺の様子がおかしいことに一目見ただけで気づいたらしい。
その察する力を普段の任務でも発揮することができたなら、俺たちの負担はもっと減るだろうに。
なんてどうでもいいことを考えて気を逸らしても、先程からちらちらと視界に映る輝きを、見て見ぬふりなんてできなかった。
「お前、なんだよその髪」
「え?」
ある日突然、恋人の髪が宝石になっていた。
_______________________________________
「星導さんは、”宝石病”という、身体が時間を掛けてゆっくりと宝石へ変化していく病気に掛かっています」
「最初は髪から変化していって、最終的に身体の全てが宝石になってしまいます」
医者は俺に対してそう冷酷に、いや、至極丁寧に伝えてくれた。
俺は夢でも見てんのか?なんだよ、それ。
体が宝石に変化するとか、そんなの漫画でも聞いたことねぇよ。
思わず額から汗が流れる。まだまだカイロが手放せない時期だというのに。これ以上体を冷やしてどうするのか。
「それは、治るんすか」
医者に対して問いかける。すると医者は罰が悪そうに目を逸らし、
「進行を遅らせる事はできますが、治すのは…正直、かなり厳しいです」
そう、そう言った。
「なんで、なんで…」
「小柳くん…」
「…薬、出しておきますね」
_______________________________________
病院で薬を貰い、家に帰っている時、既に辺りは昼の眩しさを失って、帰り道の地面や家々を真っ赤に染めていた。
二人とも何も話さなかった。話せなかった。
あんなことを伝えられた後に、今晩の夕飯の話をしようなどとは到底思えなかった。
そんな中、星導が意を決したような顔でこちらを向き、口を開く。
「…小柳くん」
「……何」
「俺、別に明日すぐ宝石になるって訳じゃないよ?」
「お医者さんも言ってたじゃん、最低でもあと一ヶ月は持つって」
「凄くない?一ヶ月もあるんだよ?一ヶ月もあれば、」
「一ヶ月”しか”だよ!!」
思わず声が荒ぶる。違う、駄目だって。星導を怒鳴ってもどうにもならないのは、お前が一番知ってるはずだろ。
「…俺、星導としたい事まだめっちゃあんだよ」
「来月に出る新作のゲーム一緒にやりたかったし、この前見た美味そうな飯も食べに行きたかった」
「今日だって、本当は水族館に行く予定だった」
「なのに、なのにあと一ヶ月しか無いって…」
「小柳く、」
「そんなの、嫌だ……っ」
視界がぼやけ、目の奥がツンと熱くなる。おい、俺が泣いてどうすんだよ。今一番泣きたいのは、星導のはずなのに。
「…大丈夫だよ」
「俺がいなくても、小柳くんならやっていけるよ」
「そう、小柳くんなら、大丈夫…」
あぁ、お前はなんて事を言うんだ。
俺はお前がいないと飯を作るのもまともにできねぇってのに、それなのに、お前がいなくても大丈夫だなんて、そんな訳が無いのに。
「俺は、お前がいないと駄目なんだよ」
「いつでも俺の傍にはお前がいて、それが当たり前で…なのに、それが、それが急に無くなるとかそんなの、いやだ……」
「え〜照れる〜」
「そんなふうに思ってくれてたんだ?」
普段そんな事言わないくせに!やっぱり小柳くんはツンデレだね。なんてお前はいつもの様に茶化すけど、今はそれすら悲しくて、辛くて、愛おしい。
俺がずっと泣いていると星導は少し微笑んでからこう言った。
「小柳くん、残りの一ヶ月、いっぱい思い出作ろうね」
星導の髪は夕日に照らされ、忌々しいほどに輝いていた。
_______________________________________
星導が病気に掛かってからもう一週間が経った。
最初はよく見ないと分からなかったけど、ここ最近は目に見えて宝石になる速度が上がってきている。
テレビには、最近話題になっているらしい芸人が楽しそうに話している姿が映っている。
「あはは笑」
ぱき。
まただ。またこの音だ。
星導が笑う度に鳴るこの音。
この音が鳴る度に星導が宝石に近づいていくような気がして、それがたまらなく怖い。
だから星導にはあまり笑ってほしくなかった。
けど、やっぱり笑っていてほしくて、幸せでいてほしくて。
もう、自分でもこの矛盾だらけの感情をどうすればいいのか分からない。
「星導」
「なぁに?」
「好きだよ」
「…俺も!」
やっぱり俺は、お前の世界で一番幸せって思ってそうなその笑顔が大好きだよ。
そんな顔も、あともう少しで見れなくなるんだけど。
_______________________________________
この前行けなかったから。
星導はそう言って俺に水族館に行こうと誘ってきた。
「ねぇまだぁ?」
鏡を見ていると後ろからそんな声が聞こえてくる。
「だぁちょっと待てって、今着替えてる最中だろうが」
「水族館閉まっちゃうよ〜!」
「んなすぐ閉まるか!もうちょいだから待っとけ」
「しょうがないなぁ…」
「よし」
数分経ってようやく準備が終わり、ふと鏡を見やる。
すると突然視界に光がちかりと映る。
それは、星導の髪が鏡に反射した光だった。
「なぁ」
「あ、準備終わった?」
「それさ、目立ちそうだけど大丈夫そ」
髪を指差しそう言うと、星導は目をぱちくりとさせた後、
「確かに、気づかなかった」
そう言って笑った。
「帽子かぶるかぁ」
「お前帽子持ってたっけ?」
「流石に一個は持ってるよ」
「取ってくるからちょっと待ってて」
星導は部屋から帽子を取ってくると、すぐに頭にかぶった。
頭全体は隠れたが、帽子から流れる長髪は未だにちかちかと輝いている。
「どう?似合うでしょ」
「ん〜…まぁまぁまぁ、似合っ…てるよ?」
「おい絶対嘘じゃねぇか」
「ガチガチ笑 てかお前髪なげぇから帽子かぶっても隠れねぇな」
「あ〜、確かに」
「まとめたら?」
「面倒臭いからやだ!まぁ綺麗だし、ちょっとぐらいはいいでしょ」
「……呑気なやつ」
「え、急に悪口言うじゃん」
えーん傷ついた!とふざける星導を無視し、玄関の扉を開ける。
「ほら、行くぞ」
「あっちょっと待ってよ!」
電車に乗り込むと、休日ということもあって車内はそこそこ混んでいた。
星導は席に座り、流れる景色をぼんやり眺めている。
こいつマジでスマホ見ねぇよな…本当に現代人かよ。
その隣に座ると、ふと周囲の視線に気づく。
周りの乗客が星導を見ていた。
…正確には、星導の髪を。
俺は席を立ち、星導を隠すように前に立つ。
「え、なんで立ったの」
「ケツ痛ぇ」
「あーそういうこと?お前もっと食えよ」
「お前に言われたくねぇよ」
不満そうな声を上げる星導を適当にあしらいながら、スマホへ目を向ける。
電車内では、どこかの会社の新入社員を募集している広告が流れている。
未来について語る声が、妙に耳障りに聞こえた。
______________________________________
水族館に着いた途端、星導は展示コーナーには目もくれず、真っ先にお土産コーナーに走っていった。
「ちょ、おい!お前魚は」
「ねぇ見て!これ可愛くない!?」
星導はそういって何かをこちらにずいっと近づけて見せてきた。
それはタコのキーホルダーだった。
「…タコ?」
「タコはタコでもメンダコね、めっちゃ可愛くない?」
「あー、まぁ確かに」
渡されたキーホルダーを見る。
丸い体に、ぴょこんと付いている小さな耳。
実物のメンダコが本当にこんな形をしているのかは知らないが、確かに愛嬌があった。
ほんの少しだけ、星導のオトモに似ていると思った。
「ねぇ、これお揃いにしようよ」
「お揃いぃ?俺らが?」
まさかの提案に俺は思わず聞き返す。
「そうだよ俺らがだよ」
「お前こんなんやるタイプじゃなくない?」
「だからこそやるんだよ!ほら思い出思い出!」
「それとも何?俺とのお揃い嫌?」
「嫌ってわけじゃねぇけど…」
「じゃあなんでそんな渋るの」
星導は不思議そうにこちらを見る。
どうやら本気で言っているらしい。
俺ら百歳超えてんだぞ?お前に至っては百四十一億歳だし、そういうのをやる年齢じゃないだろ。
…あと、ちょっと恥ずかしい。
「あー…っと、」
「…もういいよ、別にそこまで欲しくないし」
「あ、星導」
「小柳くんのバーカ!ほら!早く魚見に行こ!」
「ちょ、待てって」
俺が返事に迷っている内に、星導は展示コーナーに移動してしまった。
「おい、待てってば」
「…星導?」
しばらく追い続けていると、星導が突然立ち止まる。
「……綺麗」
その言葉を聞いてふと星導の目線の先を見る。するとそこには、…イワシの群れだろうか。水槽の上から照明を受け、鱗がきらきらと光っている。確かに綺麗だ。
でも、それを見ている星導の方がずっとずっと綺麗に見えた。光が反射した髪が、同じようにきらきらと光っている。
星導に水槽の青い光が反射しているもんだから、水槽の中にいるみたいだなとか、このままイワシの群れに連れていかれそう、とか。そんなことを考えてしまって、気づけば俺は星導の腕を掴んでしまっていた。
「…なに、どうしたの?」
「あ、いや、…あ〜、もう次の場所行かね?」
「いいけど…なんかあった?」
「いや別に、ほら早く行くぞ」
「あっちょっと!引っ張んなくても行くってば!」
まぁ、その後は普通に水族館を楽しんだ。
見たことも聞いたこともない魚がたくさんいて、星導はすごく楽しそうに笑ってた。
正直どんな魚がいたかなんて覚えてないけど、星導がこんなに楽しんでくれるならまた来てもいいと思った。
気づけば閉館時間が近づいていて、館内には帰宅を促すアナウンスが流れている。
「え、もう閉館すんの?時間経つの早くね?」
「そんなもんだろ、そろそろ帰るか」
「名残惜しいね〜」
そう言いながら出口へ向かう星導を見て、ふと何かを思い出す。
「星導ぇ、先行っててくんね?」
「え、なんで?」
「トイレ行ってくるから」
「あーそういうことね、じゃあ出口側のイスで待ってるから」
「うい、すぐ戻るわ」
俺は星導の姿が見えなくなった後、トイレに向かうふりをしてお土産コーナーへと足を進める。
「っあった」
最初に星導が持っていたメンダコのキーホルダーを手に取る。
やはり、何度見ても星導のオトモに似ていると思った。
俺が買うのを迷ってしまったせいで星導に悲しい思いをさせてしまった。本人はそこまで気にしてないかもしれないが、なんとなくこのまま帰るのはだめだと思った。
「すみません、これお願いします」
包装はなし、キーホルダーを入れる小袋もなし。それでも買わないよりかはマシだろ。
俺はポケットにキーホルダーを突っ込み、出口へと向かった。
「あ、おかえり」
「じゃあもう帰りますか!楽しかった〜」
「星導」
「なに?早く出ないと閉館しちゃうよ?」
「これ」
星導に先程買ったキーホルダーを突きつける。
「やるよ」
「えっこれ、さっきのやつ?買ってくれたの?」
星導は目を輝かせてキーホルダーを見ている。やっぱり買って正解だったな。
「お前欲しそうにしてたやん」
「まさか買ってくれるとは思わないじゃん!小柳くんあんなに嫌そうにしてたのに!」
「いや、俺も嫌ってわけではなかったからね?」
「え、じゃあなんであんな渋ってたの」
「…なんか恥ずいやんオソロって、俺たちもうじじいだぞ?」
「うわ、そういうこと言っちゃう?いいだろ!じじいがオソロしてたって」
「まぁ…とにかくありがとう」
星導はそう言った後二つのキーホルダーを見比べる。
「あ、ねぇ小柳くん」
「俺のと小柳くんの交換しよ」
「あ?なんでだよ」
「俺青がいい、小柳くん紫持ってよ」
そう言われて少し疑問に思う。
「別にいいけど、お前青好きだったっけ?」
俺がそう言うと星導は目を逸らし、こう言った。
「……小柳くんの色だから」
「…あ〜、そういうことね…?」
思わず顔が熱くなる。きっと今の俺はキーホルダーとは似ても似つかない色をしているだろう。
「ふっ笑 照れてるやん」
「いーや?別に照れてないけどね」
「出たよツン柳デレ」
「お゛ぉい新しいの増やすな!」
星導は楽しそうに笑う。
今日だけで何百回も見たその笑顔は、変わらず眩しかった。
______________________________________
あれからまた、数日が経った。
「ねぇ、小柳くん」
星導はいつものように怪しく微笑む。
「水族館、楽しかったね」
「そうだな」
「ねぇ、小柳くん」
「だから何」
「俺が全部宝石になったらさ、それで指輪作ってくれない?」
「…は?」
「そんで、ここに付けてさぁ」
ぱき。
星導は、俺の手を取り、指をなぞる。
そこは…左手の薬指だった。
「俺をずっと、お前の傍にいさせて」
なんだよ、それ。
「小柳くん、俺と結婚してください」
「ね、だめかな?」
「はぁぁぁ……」
「えっ嫌だった?俺もしかして断られる?」
「するよ、結婚、するに決まってんだろ」
「ほんと?…嬉しい、これからよろしくね小柳くん」
結婚、するから。
「全部宝石になったらとか、そんな言い方だけはすんなよ…」
「あれっ泣いちゃった?ねぇ泣かないで小柳くん」
「お前が、お前があんな言い方するから…っ」
「ごめんね、俺なりに考えたつもりだったんだけど」
「結婚、するなら、そんな病気さっさと治せよ…馬鹿」
「…ごめんね」
そこは嘘でもいいからさぁ、分かったって、もちろんって言えよ!
得意だろ、嘘。
_____________________________________
あの日からしばらく経った頃、俺たちの家に同期の奴らがやってきた。
星導の姿を見た瞬間、全員が息を飲んだ。
なんせ宝石はもう、星導の手足にまで広がっていた。驚くのも無理はないだろう。
「久しぶりみんな〜ゆっくりしてってよ」
「星導…それ、痛くないの?」
伊波が星導に対して問いかける。
「思ったより痛くないよ、ただ動かないってだけ」
星導はそう言って笑ってみせる。
その笑顔は宝石のせいか、どこかぎこちなく見えた。
「……」
「…久しぶり、マナ」
星導の呼び掛けにマナは返事をしない。いや、できないと言った方が正しいか。
「…っるべは、ほんとに宝石になってしまうんやね」
マナはしばらく俯いた後、震える声でこう言った。
他の誰よりも俺達が大好きなお前は、よっぽど辛いだろうな。
「マナ?」
「っふー…あかんわ」
マナはそう言った後勢いよく頬を叩く。
「今一番辛いのは星導よな、俺が泣いてる場合ちゃう」
そう言って無理やり笑うと、他の奴らに対してこう言う。
「ほら!みんなも星導と話しようや!たくさん話したいことあるやろ?」
…誰も口を開かない。まぁ無理もないだろう、こんな時にすぐ言葉が思いつくわけない。とはいえ、こんな静かだと気まずいな…
そう思っていたら、マナがしびれを切らしたように声を上げる。
「なんで誰も話さへんねん!?気まずすぎるって!…あーもうウェン!なんかないんか!?」
マナに突然話を振られ、ウェンは驚いて肩を跳ねさせる。
「僕!?」
「え〜…あ〜、と」
ウェンにしては珍しく言葉に詰まっているようだ。いつもすらすら適当言ってやがんのに、こいつもこういう時は悩むもんなんだな。
「……る、るべしょう、元気でね…?」
「…ふ、なにそれ?笑 赤城らしくなさすぎるって笑」
そう言ってカゲツは笑った。
さっきまで黙ってたくせに、ウェンの言葉を聞いてようやくいつもの調子が出てきたらしい。
「だってしょうがないじゃん!こういう時にふざけても面白くないし!」
「そんなことないやろ、僕ならこういう時ふざけてる方が悲しくないからいいと思うけど」
カゲツはそう言った後息を吸い、覚悟を決めたような顔で星導の方を向き大声でこう叫ぶ。
「おいタコ!!これで会うのが最後やと思っとったら大間違いやからな!!」
そんなカゲツにならってウェンも叫ぶ。
「……そーだそーだ!十年後とかにまた会いに行ってやるからなぁ!?」
こいつら本当にうるせぇな…
そう思いつつもその馬鹿みたいな大声のおかげで少しだけ肩の力が抜け、つい笑ってしまう。
「お前らすごい遠い未来の話してない?笑」
「いやいやいや、百四十一億年生きてるるべしょうからしたら十年とかあっちゅーまっしょ!」
「そうやぞ!なんなら僕百年後とかに会いに行ってやるからな!」
それはもうカゲツの方が先に死んでるだろ。
「それはもうカゲツの方が先に死んでるでしょ笑」
星導がそう言うのを聞いて少し驚く。俺たち同じ思考回路すぎんか?
そういや昔受けた案件でも似たようなことあったな。
「いや分かんないよ?意外と生きてるかもしれんやん」
「百年も生きてたらそれもう世界記録だろ笑」
「確かに!じゃあ僕ギネス目指そうかな」
カゲツはそう言って笑った。
こうしていると、いつもの時間に戻った気がした。
と、その途端どこかから「…ズビッ」と誰かが鼻を啜る音が聞こえる。
「う゛ぇぇぇ…なんでだよるべくん…」
声が聞こえた方を見ると、イッテツが顔をぐちゃぐちゃにして泣いていた。
「えぇなんでイッテツ泣いてんの!?」
「ちょ、ティッシュティッシュ」
星導は驚いて慌てた様子でティッシュを探す。
だが、どうも思うように体が動かないようで、困ったように俺を見てくる。
「はぁ、しょうがねぇな」
仕方なく俺がティッシュをイッテツに手渡す。
「ほらイッテツ」
「ご゛め゛ん゛ロ゛ウ゛く゛ん゛……」
「いいからさっさと涙拭けって」
「さっきから我慢してたからさ、いざ出た時に止まんなくなっちゃって……」
「いやーまさかここまで愛されてるとはね」
「当たり前だろ」
即答する俺に星導は目を見開く。そんな意外だったか?だとしたらこいつ自覚なさすぎだろ。
周りの奴らも当然だとでも言いたげに頷いている。
星導はそれを見て何か言おうと口を開くが、結局何も言わずに小さく笑って顔を逸らした。
それを見た伊波がふっと笑う。
「じゃあオレらもそろそろ帰るとするか!小柳も、星導とイチャつきたいだろうしぃ?笑」
「は?何言って、」
「いーのいーの!気にすんなって!マナ、帰ろ!」
「え、もう帰るん?もうちょい話そうや〜」
「俺らオレら明日も任務じゃん!このままだと泊まっちゃいそうだし、早めに帰ろうぜ!」
そう言うと、伊波はマナを連れてさっさと玄関へ向かっていく。
「じゃあオレら帰るから」
「うん、来てくれてありがとう、最後に会えて良かった」
「…星導!」
帰る直前、宇佐美が星導に呼びかける。
「リト、どうしたの?」
「俺たち、絶対お前のこと忘れてやんねぇからな!」
「…うん、ありがと」
「俺たちの戦いはこれからだ!!!!」
「うわうるっさ、イッテツ声でかすぎ笑」
「あっごめん!!!」
「ちょっと〜今耳塞げないんだから勘弁してよ!」
「え゛っ、あ…ごめん………」
「はは、宝石ジョーク」
こいつマジか…マナが先に外出てて良かったな。聞いてたら絶対ブチ切れてんぞ。
「…それマジで面白くないよ」
「えぇ?残念…」
イッテツと宇佐美が玄関を出た後、最後まで残っていたカゲツが躊躇いながらも口を開く。
「星導」
「……またな」
「…うん、じゃあね」
全員が玄関を出て、家には不安を感じる静けさだけが残った。
「…会えてよかったな」
「うん……」
星導はなんだか寂しそうにしていた。けど、実際その顔はきらりと光る髪に隠れてよく見えなかった。
______________________________________
そして遂に、その日は来た。
「ねぇ小柳くん」
「俺が病気になってからどれぐらい経ったと思う?」
星導はそう言って微笑む。
ぱき。というあの音は、もう鳴らなくなっていた。
「…知らんね」
「あはは、だよねぇ」
「小柳くんともお別れかぁ」
「…まだ今日とは限らんだろ」
「まだ、奇跡が起こるかもしれないだろ」
「んふ、奇跡って言っちゃってるじゃん」
「もうねぇ、感覚で分かるんだよ」
「今日が最後だってこと」
「ほら見て、もうほとんど宝石だよ?」
そう言って星導は自身の身体を見つめる。
確かに今の星導の体は、元がどんな色をしていたかなんて思い出せないくらい綺麗な紫色に染まっていた。
「……俺も、本当はちょっとだけ怖いんだ」
「宝石になって、人と、小柳くんと話せなくなるどころか、意識も無くなっちゃうことが」
「そんなの、もう…死んだも同然じゃん」
星導の唇が震える。その唇は、きらりと光ったように見えた。
「……ヒーローしてたら、いつ何が起きるかなんて分かんないから、だから、一応覚悟はしてたつもりなんだけど…」
「……やっぱ怖いよ」
「…あ、でも、小柳くんが俺よりも怖がってるの見てたら、ちょっとマシになったかも?笑」
星導はそう言っていつものように笑う。
あぁそうかよ。だったら俺は思う存分泣いてやる。
思いっきり叫んで、喚いて、お前の分まで泣いてやる。
だから、だから……
「置いていくなよ…」
はは、置いていかないでとか、駄々こねるガキかよ。
…星導に今の言葉は聞こえただろうか。聞こえてないといいけど。
「……ねぇ小柳くん」
「っなに」
「最期にキスして」
「ね、お願い」
「分かっ、た」
そうして俺は星導にキスをした。
長い長いキスをした。
星導がここじゃないどこかに行っても、俺を想ってくれるように。忘れないように。
息が足んなくて、死にそうになるぐらい長いキスをした。
別に、お前が宝石になってしまうぐらいなら、このまま死んでもいいと思った。
「っは…ちょっと、長くない?笑」
「…泣かないで小柳くん」
「最後に見たいのはお前の笑顔なの」
そう言われても無理だよ。だってお前のことが好きだから。
好きな人がいなくなるっていうのに、笑って見送れるほど俺はできた人間じゃない。お前だって無理だろ?むしろ泣いてくれ。俺が死ぬ時、干からびるまで泣いて、悲しんでくれ。
「ね、お願い…笑ってよ小柳くん」
…無理だって、言ってんのにさ。あぁもういいや、どうなっても知らん。
結局のところ、俺はこいつに弱いのだ。その泣きそうな顔で頼まれると、どうも断ることができない。
俺はどうにか口角を上げ、笑ってみせる。泣いてるせいで酷い顔になってても、文句言うなよ。
「かわい…」
こんな状態の俺を見て可愛いとか、やっぱりお前どうかしてるよ。涙でぐちゃぐちゃで、鼻水も出てて、きっと信じらんないぐらい酷い顔してんのにさ。
なのに、そんな俺を見てお前は可愛いって笑うんだな。
あーあ、本当にずるいやつ。
お前の笑顔の方が、何億倍も可愛いのに。
「小柳くん、愛してる」
普段は少し大げさに思えて、恥ずかしくて言えない言葉。けど、今は言いたい。言わなきゃいけない。
「俺も、愛してる」
_______________________________________
しばらくして、星導の全てが宝石になった。
宝石に変化していく過程を全て見ていたはずなのに、目の前の宝石を眺めても、未だに実感が湧かない。
脳が受けつけないのだろう。目の前の宝石が、星導であることを。星導が、もう動かないことを。
「……指輪、作んだっけ」
その言葉を口にした途端、涙が堰を切ったように溢れる。
指輪を作ることが星導の願いだったこと。でも、指輪を作るためには、星導を物のように扱わなければいけないこと。
何かを話しても、返事が返ってこないこと。
俺は、それを理解してしまった。
理解したからといって、受け入れられるわけじゃない。
「クソっ…なんで、なんでっ!!」
「なんで星導があんな病気になっちまったんだよ!」
「なるなら…なるなら、俺で良かったのに……」
途端、宝石から音がした。
ぱき。
その音は、もう聞くことがないと思っていた音だった。
「…星導?」
あの時のように名前を呼ぶ。もちろん、返事は来ない。
俺はしばらく星導を見つめていた。
また、楽しそうに笑って、話してくれるんじゃないかと、
「小柳くんてば、しっかり騙されてくれたね!本当に宝石になっちゃったと思った?ほんとチョロいんだから!」
そんな風に言ってくれるんじゃないかと、そんなありえない期待を抱きながら、見つめていた。
けれど、どれだけ待っても声は聞こえない。当たり前だろう。宝石は言葉を発さない。
もう、星導が俺の名前を呼ぶことはない。
「…分かってるよ」
もう、星導が動くことはない。
それでも、それでも…
好きになるのは、後にも先にもお前だけだ、星導。
これからも俺は、お前を愛すよ。お前が、返事をしてくれなくても。
「…絶対に、忘れない」
またいつか、お前と話せるその日まで。
_______________________________________
最後まで読んでいただきありがとうございます。
Xやってます👉https://x.com/yo0ysmwrmb86525?s=11
コメント
1件
うわあああああ読んだ読んだ読んだ!!😭💔💔💔 星導が宝石になっていく過程、水族館デートのキーホルダーお揃いの話、同期の面々が最後に集まるあのシーン…全部が全部エモすぎて胸が苦しいよ…!特に「俺のと交換しよ、小柳くんの色だから」って言うとこ、もう天才かよって思った…!!あと「指輪にしてずっと傍にいさせて」って結婚プロポーズ、切なすぎて声出たわ… 最後の「ぱき」って音がまた鳴ったとこ、星導がまだ小柳くんのそばにいるって主張してるみたいで泣ける…😭💎 星さん、こんなに美しくて切ない話を書いてくれてありがとうございます…!続きが読みたい気持ちと、この余韻に浸っていたい気持ちがせめぎ合ってるよ…✨