TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

現地に向かう途中、不死川に会った。どうやら同じ任務のようで少々嫌味を言われた。


「冨岡は俺とは反対側の地域が管轄のはずだろうがァ‼︎」


…………俺にそんなことを言われても……


「……………俺が決めたことじゃない。」


俺がそう言うと不死川は舌打ちをしてスタスタと先に進んで行く。


俺は置いてかれないように不死川について行った。




鬼が出るという街につき、夜まで時間があるということで不死川と二人、宿を探す事になった。

生憎、この近辺には藤の家紋の家は無く、宿に泊まる事になったのだが……………



…………………………何故かどこへ行っても二部屋空いている宿がどこにも無かった………………。


「チッ、どこも空いてないたァどういう事だァ‼︎」


「…………………。」


…………予想通り不死川が怒り始めた。


「…………仕方ねぇ………冨岡ァ同じ部屋しかねぇ。………ぜってぇ話しかけるなよ?」


不死川はそう言って一つしかない部屋を選び、女将さんに頼んだ。



女将さんに連れてこられた部屋はこの時代には新しい、綺麗な装飾がされていた。


…………………こんな部屋で落ち着いて休めるだろうか………。


俺はそんなことを考えていた。……………この後、予想外の出来事が起こることも知らずに…





………食事を済ませ、不死川と任務に行こうという頃、俺は朝から感じていた体への違和感がだんだん悪化している事に気付いた。


しかし、任務はまだ終わっていない。此処で倒れるわけにはいかない。俺は平然を保ちつつ、任務へ向かった。





現場に着き、俺たちは鬼の気配をたどった。


「…チッ、隠れるのが上手いみたいだなァ……冨岡ァ、二手に別れるぞ………冨岡ァ?」


「………………、なんだ?」


俺は不死川の呼びかけに反応が遅れてしまった。

不死川は俺が何かおかしい事に気付いたのか気を遣ってくれた。


「冨岡ァ…死んでんのかァ?」


「………俺は生きている。」


…………不死川はよく俺を怒るが……こういう所は優しい。

……………と、呑気な事を考えているうち、どんどん意識が遠のいて行く。


「……おい…本当に大丈夫か…?」


「……。」


「……なんか言えよ、冨岡ァ。」


俺はまだ、倒れられない…………。耐えろ…………責めて任務が終わるまで…………。


「…………不死川………俺は、…………大丈夫だ………。」


……………バタリ……

…………………ついに俺は意識を失い、倒れた。





………………俺が目を覚ましたのは次の日の朝だった。なんと、不死川が俺の隣で寝ているではないか……………しかも同じ布団で…………。


「……………………どういうことだ………?」


思わず口に出てしまった。そのせいで不死川を起こしてしまったようだ。


「……ん………?冨岡ァ……?」


俺は咄嗟に寝たふりをする。


「………まだ寝てるのか……………此奴が起きる前に出るかァ…」


不死川はその言葉を後に不死川は部屋を出た。


「………行ったか……」


俺は体を起こし、布団から出ると……


「………?!」


………なんと、一糸まとわぬ姿ではないか。


………昨日…何があったんだ?

俺は前の日の夜の事を覚えていなかった。



数日後、不死川に何があったのか確認した所、不死川は顔を逸らし、「何も無かった」の一点張り。


あの日、確かに朝起きた時点で全裸の状態、そして身体中ベタベタした感覚があった。



………汗とは違うような…そして布団の上には白い液状の何か………。


……絶対に何かあったに違いない。


しかし目撃者は俺の他、不死川しかいない……と思われる。


「……本当に何も無かったのか?」


俺は少しだけ睨むように不死川に問うた。


「………しょうがねぇなァ……そんなに気になるなら教えてやる。但し、誰にも言わねぇ事。……………結構衝撃受けるかもしれねぇから覚悟して聞けよォ?」


そうすると不死川はあの日の事を話してくれた。




不死川の話によると、俺はあの日…任務の帰りに倒れたそうだ。


不死川が宿まで運んでくれたそうだが……問題はその後だ。


………なんと、俺は不死川に欲情したらしい……


不死川は初め、断ったそうだが、俺が余りにも辛そうだったので抜くだけ抜いて、終わったそうだ。


………この話を聞いて俺は自分の不甲斐なさに腹が立った。


その後、胡蝶の診察を受けたが、あの日俺は、血鬼術によって自我を失っていた。……記憶が無いのはそのせいだと胡蝶が言った。


血鬼術の効果は、媚薬のようなもので体が火照り、風邪をひいた時の状態になるのだそうだ。


その為、高熱を出し、記憶が曖昧になるのだと言う。


……覚えていないのも無理はない。


俺は胡蝶に制御剤を貰い、蝶屋敷を後に自宅へ戻った。



その夜……



案の定、俺は高熱を出し布団に伏せた。

勘三郎が看病してくれたが中々、熱が下がらない。


勘三郎は炭治郎を呼んでくれた。



「大丈夫ですか?冨岡さん……」


床に伏せている俺を見て炭治郎は、心配したような顔をして俺に話しかける。


背中には禰豆子が居るであろう箱。腰には日輪刀もある。……任務帰りなのだろう。


「………炭治郎、俺は大丈夫だから、もう帰ってくれ。」


…………このままでは…炭治郎に何をするか分からない。


不死川の件もあり、危機感を覚えた俺は炭治郎に早く帰るよう促した。


「いいえ!帰りません!!」


頑固な性格の炭治郎はこれを拒否。一晩中看病すると聞かない。


「冨岡さんも人間なんですから、自分のお体を大切になさってください。」


心配する炭治郎を他所に、俺は眠りについた。




…翌日。


俺が寝ている横に炭治郎の姿があった。

本当に一晩中看病してくれたのだろう、すやすやと寝ている。


…………良かった…昨日は何も無かったのだ……


安心した俺は布団から出て、厠へ向かった。


戻ってきた頃、炭治郎が目を覚ました。


「…あ………おはよございます……冨岡さん……」


起きたばかりなのか、目を擦りながら炭治郎が挨拶をしてきた。


「……あぁ。おはよう。」


……………朝食の準備をしなければ……


炭治郎が一晩中看病してくれた事に感謝して、例として朝食を作ることにした。


米を炊き、味噌汁を作り、鮭大根と少しの漬物を用意する。


………鮭大根は俺の好物だが、新鮮な鮭が中々手に入ることは少ない。しかし、丁度胡蝶から譲ってもらった鮭があった。



………喜んで貰えるだろうか…


不安を抱えながら炭治郎の元へ朝食を運ぶ。


「………冨岡さん、体調はどうですか?」


やはり、一晩あけてもなお、俺を心配する炭治郎。


「あぁ。大丈夫だ。」


俺はそんな炭治郎に朝食を食べるよう、促し、今日の任務の現場へ向かった。




今日は一人での任務だった。


…………少しだけ…フラつくな……


夜。俺は自分の体調に違和感を感じながら、鬼の追跡を始めた。


暗く、深い森の中、遭難すれば一溜りもない。そんな暗い森で鬼を探し初め、既に4時間。


…………本当にいるのだろうか……鬼の被害は出ているものの……ここまで見つからないとは…



鬼の目撃情報、人が食われたという被害、御館様からの名で任務に着いたが、余りにも気配が無さすぎる…。


……これは………明日に持ち越しか……


そう思った時、強い鬼の気配がした。



…!!


次の瞬間、俺の左腕には深い切り傷があった。

ドクドクと痛む。


俺は痛みに耐えながら日輪刀を抜き、次の攻撃に備える。


「弱いな。それでも柱か?」


嘲笑うような声に振り向くと、そこには鬼がいた。


ニヤリと笑い、鬼は俺に攻撃を仕掛ける。


後ろに飛び、避けようと試みるが…上手く体が動かない。


俺は鬼の攻撃を日輪刀で受け、回避する。



…………何だ?これは……



俺は冷静に状況を理解しようと頭を働かせる。

しかし、鬼の攻撃は続く。


「おい、柱…お前、本当に柱か?弱すぎて遊び相手にもならないぞ?」


ニヤニヤと笑いながら俺に話しかける。


「そんなんじゃ俺は倒せないぞ?」


鬼はそう言い、俺に攻撃をする。


「………水の呼吸、…参の型、流々舞。」


鬼が言うことに目もくれず、俺は日輪刀を振る。


俺の刃は鬼に届くが、鬼は刀のようなものを所持しており、呆気なく防がれた。


次の攻撃を仕掛ける為、鬼の背後に回り呼吸を整える。


「…?!何処に行きやがったっ?!」


幸、鬼は俺の位置に気付いていないようだ。


「水の呼吸、…肆の型、……打ち潮。」


この攻撃で見事、鬼の首を狩ることが出来た。


………鬼の首を斬った…


鬼の首を斬った…その瞬間、俺はその場に倒れた。




…………目が覚めたのは、数日後。蝶屋敷だった。

目を覚ました時、俺の隣には胡蝶がいた。


一晩中付いていてくれたのだろう。毛布もかけずに布団に伏せるようにして寝ている。


俺は胡蝶の頭に手を伸ばした。


……………疲れているのだろう………


俺は胡蝶の頭を優しく撫でた。

そのせいか、胡蝶が起きてしまった。


「……………冨岡さん、何をしていたのですか?」


寝ぼけている様子の胡蝶に少しだけ口角が緩む。


「……何を笑っているのですか…冨岡さん……」


胡蝶は怪訝そうな顔をし、俺を見つめる。


「…冨岡さんが笑うなんて………気持ち悪いです…………」


………俺が笑うと…気持ち悪いのか……?


余りにも予想外な言葉だったので少し悩んでいると、胡蝶はクスリと笑った。


「本当に冨岡さんは………そんなだからみんなに嫌われるんですよ。」


胡蝶は何故何時も俺が「嫌われている」と言うのだろう………


「俺は……」


嫌われていない…そう言おうとした時、


「『嫌われていない』以外の言葉で返してください。」


と言われ、俺は頭が真っ白になった。


………何も…言い返せない……


「何も言い返せないんですか?やっぱり、嫌われているんですね。」


胡蝶はニコニコと笑い、何時ものように俺をからかい始める。


仕舞いにはつんつんと俺の腕をつついてくる。


「…辞めろ胡蝶。」


俺は胡蝶にそう言ったが聞いてくれない。


「知らないんですか?冨岡さん、これはより親しくなるオマジナイなんですよ?」


胡蝶は俺の顔を覗き込むように言うと、こう続けた。


「つんつんする事で人との心の距離を縮められるんですよ?冨岡さんもやってみませんか?」


「………………つんつん?」


「はい。つんつん。」


…何時も、胡蝶はニコニコと笑って話す。


………?


俺は少しだけ、胸の当たりが閉まるように苦しくなった。


この正体が何か、俺はこの時、気に止めなかった。

この作品はいかがでしたか?

45

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚