1話で完結
注意
・この物語はwrwrd様の二次創作です。
・本人様には一切関係ございません。
・検索避けにご協力ください。
・ゾンビ要素、軍パロが含まれております。
(なお、ゾンビについてあまり詳しくないので、主の空想上の世界の物語となっております。
おかしな点がありましたら、めでたい頭だなぁ、とでも笑ってください。)
・登場しない方々もおられます。
・キャラ崩壊。
この世界はいつからかゾンビに侵食されていた。
事の発端は…
そうだな、何らかの実験とでも言っておこう。
そんな世界で、彼らは生きていた。
決して希望を失わず、未来を守るため。
だが、そんな彼らにも物語の結末は迫っていた。
【gr視点】
俺らはwrwrd。
残った人間をゾンビから守る組織である。
組織結成から2年。
毎日毎日ゾンビという恐怖と闘い、人類を守るため…
いや、人類に希望を与えるために動き続けていた。
だが、うまいくいっていたのは初めの1年半である。
ここの半年で俺らが守っていた場所のほとんどが大量のゾンビに染まり、守り続けてきた市民もほとんどが感染してしまった。
確認できる限りでは、俺らを合わせても50人程であろう。
…今日も今日とてみんなが騒がしく動いている。
闘う者、避難を呼びかける者、監視をして情報を伝達する者。
今日は皆、一段と騒がしい。
gr「…」ブルッ
外を見ると風が吹き荒れていた。寒い。
嫌な予感がする。
ドタドタドタ
ガチャ
そんな騒がしい音と共に監視を行っていたrbrが部屋に入ってくる。
rbr「grッ…もう、ここは危ないでッ!!!もっと奥に移動しなッ…」
gr「…そうか。もう、ここもッ…」
グゥィーングゥィーン
赤い音と共にサイレンが鳴る。
『全員、撤退ッ!!奥に退け、移動するゾ。』
…的中、といったところか。
こんな予感、外れてしまえばよかったのに。
【em視点】
「はぁ…」
昨日はまたしてもゾンビ勢力が拡大して、私達も移動せざるを得なくなってしまった。
いつか、私達もゾンビになってしまうのか。
人間が救われる日は来るのか。
…私達が望む、以前のようなゾンビのいない世界。
それはきっと、とてもおめでたいことなのかもしれない。
まぁ、いくらそう思っても私はゾンビと戦えるわけではないので… 少しでも役に立てるようにゾンビについての知識でも増やしていこうと思う。
私は先程まで読んでいた本に目を移した。
≫ゾンビについて≪
・ゾンビとは、肉体的には死んでしまっているものの、脳のみが生きてしまっているものを指す。
・咬まれる等、ゾンビ菌が体内に侵入し、体の細胞が徐々に侵食されていくことで感染する。
・ゾンビの討伐法は脳を破壊することである。
本から窓に向けて視線を移す。
今日は晴れ。暖かく、過ごしやすい良い天気である。
だが、こんな日に合わないため息がでる。
em 「はぁ………」
この本も残り数ページしか残っていないからだ。
今まで何冊もの本を読んできた。
だが、進展がない。
どの本を読んでも感染の仕方、特徴、討伐法しか書いていない。
私は治療法についての情報を求めているのだ。
治せると分かればまた1つ、私達の生きる活力、意味となる。
なにか…
少しでも治療についての手がかりが掴めればいいのだが……
残り僅かなページに期待を含み、ゆっくりとめくる。
すると
≫治療について≪
という文字が目に飛び込んでくる。
私は食いつくように文字を追っていった。
≫治療について≪
治療法についてはたった1つだけ解明されている。
その方法は
『人生で最も大切な人を咬むこと』
なお、………………
em「ッ???」
思わず息を呑む。
咬むことが治療法?
大切な人??
訳がわからない。
思考を巡らせ、読んできたいくつもの本を照らし合わせる。
咬んで治療、そして咬まれた人は…。
……
em「はぁ…」
だめだ。悪い想像ばかりしてしまって怖い。
窓を見ればあんなに明るかった空も、日はすっかりくれてしまって私の心のように暗闇に包まれてしまった。
久しぶりに長時間頭を使っていたのでさすがに疲れた。
時間も時間なので食堂へ行こうと立ち上がろうとする。
すると
「ワァッッッ!!!」
と後ろから大きい声と共に私に飛びついて彼は現れた。
em「ギャァァァァァァァ!!??zm さんッ??!」
zm「クヒヒッwww驚きすぎやろwwwww」
彼はzmという。
私よりも身長が高く、体は鍛えられ、フードから少し見える緑色の目はとても美しい。
誰もが尊敬する人である。
zmさんは先程私の読んでいた本に一瞬目を落としたかと思えば、すぐにこちらを向いて輝かしい笑顔でこう言ってくる。
zm「なぁなぁemさん今日メシ行こうやで!」
彼は食べることが好き、遊ぶことが好き、イタズラが好き。
面白くないことが嫌い、一人が嫌い。
なんとも子供らしい性格の人物である。
em「えっと…先週も行きましたよね?」
zm「せやけど?…お前ナメてるんか?w」
em「いやッ舐めてるわけちゃいますけど…無理ですねぇ」
zm「えお前なんで?なんで??w」
em「えーっと…書類が終わってナクテ…」
zm「それなら帰ってからやればええやろ、来れるやん」
em「そうかぁ…」
くそ、今日も流されてしまった。
毎回食害されるからそろそろ断れるようになっておきたいと思うが、 彼の誘いから逃れられるようになるのはまだ先のようだ。
まぁ、zmさんと行く食事はとても楽しいし気が楽だからこんな毎日が続けばいいとも反面思っているが。
tnさんにA区画に食事をしてくると報告した後、行きつけのレストランへと足を運んだ。
tnさんには
「お前ら先週を行ってたやろ笑 ほんま仲ええなぁ…」
と呆れられた笑
道中、何度も美味しそうなものを見つけては色んなものを食べた。
zm「emさん、俺これ食べたぁーい」
em「はいはい、買ってあげますよ」
zm「流石emさんやなッ!」
em「へへw」
zm「イヒヒw満更でもねぇなwww」
本当によく食べる人だ。
普段のトレーニング中やゾンビの抗戦中には考えられない姿である。
まぁ、この美味しそうに食べる姿が好きで金を使ってしまうのが正直痛いところではある。 (自覚あり)
コツコツと二人の足音と笑い声が静かな区画で響く。
頬を撫でる夜風が気持ちいい。
カランカラン
zm「ちっす!いつもの2つくださぁーい!!」
彼の明るい声が店内に響く。
今日は他にお客さんは来ていないようだ。
店員「いらっしゃいませ笑、すぐに用意いたしますね。」
そう言って店員は厨房へと消えていった。
静かな時間が流れる。
こんな時間も心地がいいと感じるのは、きっと互いに心を許しているからこそであろう。
zm「なぁemさん」
先に沈黙を破ったのはzmさんの方であった。
どこか、真剣な面持ちで話しかけてきたので、こちらにも少し緊張が走る。
em「…なんです?」
zm「emさんはさぁ…その、」
彼が言葉に詰まるのは珍しい。
言いにくいことなのか?
そう思って顔を柔らかくし、こくりと頷く。
em「はい。」
zm「…た、大切な人おる?」
em「…へッ?」
いきなりの質問で声が裏返る。
zm「あッ、そういう意味やないんよ!ただ…」
em「…ただ? 」
zm「見てしまってん。治療法。」
その言葉で蘇る。
そういえば、一瞬zmさんは本に視線を落としていた。
流石としか言えない。
em「……私はいますよ。」
zm「どんな人?」
em「子供っぽくて守りたくなる人です。
一緒にいて楽しい、自分を犠牲にしても助け出したくなる人。」
zm「ほぇー」
興味のなさそうな相槌が返ってくる。
em「なんやねんッ!その興味ないような相槌!ww」
zm「クヒヒッw童◯がなんかいいよると思ってw」
雰囲気が和んだとき、私も問いかける。
em「そういうzmさんは居てはるんですか?」
zm「俺は…」
zmさんがそう言った瞬間、厨房からガッシャーンと音が聞こえた。
一瞬にして緊張が走る。
最初は食器か何かを落としただけかと思った。
だが、物音は途切れることなく、ぶつかる音、抗う音等が聞こえる。
zm「おいッッ!!大丈夫かッッ?!」
彼が大きな声で呼びかけても返事はない。
その代わりにあのゾンビ特有のうめき声が複数聞こえてきた。
「「グrrrrrrrrrッッ!!!」」
【tn視点】
まったく…
あいつらはなんであんなに仲がいいんだか。
emさんもよくあんなのに付き合うよなぁ。
大変やないんかなぁ。
と夕食後の特有の睡魔に襲われながら考える。
その時、現在監視係を担当中の大先生からインカムが入る。
ジジッ
≫ut「A区画にてゾンビの群れが発生ッ!数は40ほど。」
それと同時にサイレンが鳴る。
グゥィーングゥィーン
『総員出動!これ以上被害を広めるなッ!!』
…A区画??
今、A区画って言った???
全身の血が引く感覚がする。
すぐにインカムを使う。
ジジッ
≫tn「全員に報告ッ。今現在A区画にはzmとemが外出中ッ!
拳銃をそれぞれに持たせているが、長くはもたないと思われる!」
≫all「…ッ!?」
≫tn「あの二人を必ず生かして、全員無事に帰ってこい」
【zm視点】
zm「おいッッ!!大丈夫かッッ?!」
厨房と扉に駆け寄る。
こちらから中の様子は見えないが、 複数のゾンビの唸り声が聞こえる。
クソ、店員は既に感染していたのか…
「グrrrrrrrrrrr……」
em「zmさんッ!離れてくださいッッ」
zm「でもッ、今ここで殺さんと被害が広がるやろ!!?」
拳銃を構えて厨房の扉に手をかけたとき
ジジッとインカムが入る。
それはゾンビの発生を知らせるものだった。
直後、頭に響くサイレンが鳴る。
数は40か…
みんなが到着するまでに20やれたら良い方やな。
発生場所はA区画の中でも近いのか。
今の拳銃のみで戦えるのか。
それも、emさんを守りながら…。
考えていたとき、ガチャと目の前の扉から音がする。
ガバッた。 油断した。
em「zmさんッッ!!危ないッッッ」
世界がスローに見える。
前には扉を開けて俺を喰おうしているゾンビ。
体を掴まれ、身動きがとれない。
emさんの珍しく強張った声が聞こえる。
ゾンビの歯が俺の首に近づいたとき、俺は体制を崩しながらもゾンビの脳に向かって発砲した。
…でも、虚しくも銃口は扉にブレてしまっていた。
グサ
冷たい牙が首に当たる感覚がする。
異物が首から体内に侵入している。
体が凍りそうなほど内側から冷たくなる。
emさん、逃げてくれ。
お前だけでも逃げてくれ。
助かってくれ。
…視界が霞む。考えられなくなる。
「ぐッぁ゙…ッあ゙ぁ゙ぁ゙」
「グrrrrrrrrrrrァッッッッ!!!!!」
タベタイ。オナカイッパイ。
ニンゲン、タベタイ。
…emサン、ニゲテ
【em視点】
「危ないッッッ」
目の前で物事が進んでいく。
zmさんが抵抗して発泡するが、扉に銃口がブレていた。
彼はゾンビに掴まれ、押され、背中から倒れ込んだ。
…そして、咬まれた。
私はただその様子を見ることしかできなかった。
手と足は震え、拳銃は手から滑り落ち、言葉にならない声が出る。
em「ぁ、ぁ……ぅぁ、、、」
情けないんだ。
こんな時に動けない自分がとても憎いんだ。
zm「え…みさ、 …ぐッぁ゙…ッあ゙ぁ゙ぁ゙」
zmさんが苦しそうな声を上げた。
直後、zmさんは最後の力とでも言うように上に乗りかかっているゾンビの脳に発砲し、倒れた。
私はすぐに彼に駆け寄った。
咬まれた首はすでに緑や青に染まっていた。
彼もきっと、感染してしまった。
zmさんの手をとる。
既に、温かく、優しい手はどこかへ行ってしまった。
「ぅッzmさ、ん…ッ」ポロ
【tn視点】
「ハァッ…ハァッ」
粗方ゾンビの群れは片付いた。
だが、あの二人の姿が一向に見つからない。
tn「kn、そっち居った?」
kn「おらん、そっちは?」
首を横に振る。
rbrがインカムについているGPSである程度場所は割り出せたものの、見つからない。
その時、
ひときわ大きい唸り声が後ろから聞こえた。
「グrrrrrrrrrrrッッッッ!!!!!」
振り返るとそこには2つの影があった。
「大丈夫かッ?!」
店内に入る。
目に飛び込んできたのは信じられない光景だった。
緑の体、緑の目、長めの茶髪、そしてクリーパーのフードを深くかぶった姿。
つまり、ゾンビになったzmが目の前のemを喰わぬまいと、必死に理性を保っていたのだ。
歯はガチガチと音を鳴らし、目は見開かれ、口からは涎が垂れている。
それでも、emを喰わぬと本能に抵抗をしている。
emは目に涙をためていた。
そしてzmはガラガラの掠れた声でこう言った。
「ゔぁ゙…え゙、み゙さ…に゙ッげろ、グrrrrr」
それを聞いた俺はemに声をかける。
tn「em。行くで、1度撤退や。」
我にかえったのか、ハッとこちらを見た。
em「トんと、さ。でもッzmさんがッ…!」ポロ
tn「…クソッ」
俺らは店を出て、軍基地へ帰った。
出ていた全員が帰ってきた。
結果はゾムと店の一人の男性が犠牲となった。
各々がまぁそれなりにショックを受けていた。
それでも、1番ショックが大きいのはやはりemだろう。
帰ってきてからこちらに顔を見せない。
心配だ。
【em視点】
zmさんzmさんzmさんzmさんzmさんzmさんzmさんzmさんzmさんzmさんzmさんzmさん
私のせいで私のせいで私のせいで私のせいで…
私があの時しっかり発砲できるほどの技術と度胸があれば…。
私があの時扉から離れるようにもう一度行っておけば…。
私があの時あの店ではなく、他の店を提案していたら…。
私があの時食事に乗らなかったら…。
私があの時…。
私があの時…。
守れなかった。
心から友人として好きだと言える人。
初めてできたんだ。
大切だと思える人。
ただ、
「守れなかった」
この事実だけが胸を苦しくする。
その時、頭によぎる。
あの治療法。
私は軍基地から抜け、zmさんのいるであろう店へ向かった。
怖い。正直。
でも、大切な人を守るためだと思うとそれほど怖くはなくなった。
扉を開ける。
zm「グrrrrrrrrrrrッッ」
いた。zmさんだ。
こちらへ向かってくる。
ひんやりとした手が私の体に触れる。
直後、ピタリとzmさんの動きが止まった。
zm「え゙、み゙…だメ゙、グrrr…ニ゙げt」
em「咬んでください。zmさん。
…最期くらいカッコつけさせてくださいよ」
その言葉を皮切りに、首に牙が当たる。
でも当たっただけで咬まない。
最後まで本能と闘っているようだ。
それなら、と思ってzmさんの頭を上から優しく押した。
首の皮がプツと切れる音がした。
異物が入る感覚がする。
段々と視界が薄れていく。
その中で人間に戻っていく彼が見えた。
…驚いた顔をした後、笑顔を見せたと思ったら、私を見た途端に泣き出した。
その光景がなんとも面白く、子供のようで愛おしくて私は笑った。
意識もだんだん薄れていく。
その中で彼の声を聞く。
zm「emさんッ!emさぁんッッ!!嫌や、俺ッ!emさん居らんと生きられへんッッ!!!」
あぁ嬉しい。
そんな風に思ってもらえていたなら、この人のために死ねるのは本望。
em「ふふ。見守ってますね」
それを最期に体が軽くなった。
【tn視点】
朝になった。
emの姿がない。
…でも、ゾンビになったはずのzmが人間としてそこに居る。
みんなは感激していた。
遂に治療法が見つかったのだと。
でもそれは違った。
よく見ると、zmの目は腫れ、顔色も良くないし、背中にはだらんとしたemが担がれていた。
zmは俺らに本を見せながら説明してくれた。
emがzmを治してくれたのだと。
でもそれは自分の命を犠牲にして助けたんだと。
つまり、担がれているemは死んでしまっているんだと。
zmは途中、泣きすぎて過呼吸になりかけた。
それはとても珍しく、俺らも全員もれなく貰い泣きをした。
zmは酷く悔いていた。
それは俺らもみんな、同じであった。
その本にはこう書かれていた。
≫治療について≪
治療法についてはたった1つだけ解明されている。
その方法は
『人生で最も大切な人を咬むこと』
なお、治療のため咬まれた人は
ゾンビ細胞をすべて受け持ち、
人間の動物細胞を対象者に与えるため、
確実に死に至る。 助かることはない。
【???視点 】
あれから皆さん随分と気合いが入って闘うことだけではなく、治療についても調べたり、実験を活発に行うようになりました。
そして遂に、先日治療薬が完成しました。
みんな泣いて喜んでいました笑
あ、今日も来ましたね。
緑の目で、長めの茶髪、緑のクリーパーのフードを被り、私が好んでいた珈琲を飲むようになった 彼が。
zm「emさぁーーーーん!!!見てるー??」
ふふ。見てますよ。
風が彼の頬を撫でた。
end
うん。
連載読んでいただいている方が言いたいことは分かっているんです😭
スミマセン
いやあの、長いし難しいしでなんやかんやこれを書くのに1週間以上かかりました^^
頑張ったんでコメント頂けると幸いです。
あと、失踪しかけててすみませんでした。
受験生になるので相変わらず投稿はローペースですが、何卒よろしくお願いいたします🙇🏻♀️
コメント
9件
泣きそう
1000♡コンプリート☆
ヤバい…好きだ…ッ! 何食べたらこんな天才的な物語が出来るんですか…ッ!天才じゃないですかッッッッッ!