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【翠視点】
ああ、疲れた。
生徒会に入ってから、毎日のように放課後、みんなが帰った後も書類仕事をしていると、その後からはもう慣れて生活の一部になっていた。でも、やっぱり疲れるものは疲れる。
私は、背負っていたリュックを下ろして、筆箱と今日の宿題を出して、机に広げた。
「そういえば、二番達は旧校舎に行ったんだっけ」
私は、書類仕事中、「五番!久しぶりの旧校舎パトロールだぜ!」という七番の大声が聞こえて、少し笑った。私も本当は一緒にパトロール行きたかったけど、七番が生徒会の仕事をサボるから、私の仕事が増えて、パトロールに行けなかったんだ。
私はサボることに関しては少し怒ってるけど、学校のために旧校舎にパトロールに行くのは、別にいいことだと思ってる。だって、仕事よりもみんなの命が大事だから。
「私も、もっと能力を使えるようにしなきゃ」
二番達は、翠はもう強いから大丈夫、というけど、やっぱりまだ納得いかない。私が怪異を倒すんじゃなく、話し合って解決できるように、私はこの能力を使って、怪異とも仲良くなれるんだよ、と証明したい。でも、私の能力は「拒絶」。怪異を受け止めるモノじゃなく、逆に跳ね返してしまうモノ。私は、この能力とも向き合っていきたいと思ってる。向き合えないと、怪異とも仲良くはなれない。
「……電話?」
机に置いてたスマホが、急に鳴り出した。私はシャーペンを置いて、スマホを手に取り相手を確認する。
「……七番くんから…?」
七番くんからなんて珍しい。いつもはかけてこないのに。
「もしもし?どうかしたの?」
私はいつも通り優しい声で話しかけた。スマホからは、微かに風の音がする。外にいるのかな。
『あ、もしもし会長?今家にいるの?急なんだけどさ、今から学校来れる?』
「……え、学校?なんで?もう夕方だし……」
私は窓の外を見た。もう太陽は半分くらい見えなくなっていて、赤色に染まっている。
『夕方なんだけどさぁ……今俺だけで旧校舎見回りしてるんだけど、ちょうど怪異とばったりなんだよねぇ、だから、この前会長がさ、怪異と話し合いたいーとかなんとか言ってたから、ちょうどいいかなって』
「怪異と?でもどうして1人でパトロールしてるの?他のみんなは帰ったの?」
『あー、みんな帰った。今の学校は俺以外誰もいないよ』
なんで七番くんだけでパトロールしてるんだろう。ていうか、今学校に入ったら先生に怒られるし……でも……
「怪異がいるの?ちょっと待ってて、私すぐ行くから」
『分かった。夕方に俺が学校にいること怒りそうだなって思ってたのに、なんか違ったわ』
「それは怒ってるよ。でも、怪異がいることを教えてくれて……ありがとう」
私は、素直に感謝した。七番くん、1人で怪異を倒しちゃうくらい容赦ないけど、今みたいに優しい一面もある。
『……なんで会長がありがとって言うの。俺は逆に謝りたいよ』
すごく寂しそうな声。なんで七番くんが謝るの?私は七番くんに助けられてばかりなのに。
「どうして謝るの?私、七番くんにいつも支えられてるよ。本当にありがとう」
その瞬間、息を呑む声が聞こえた。七番くんだ。
『……うん。ごめんね、会長。ありがとう』
七番くんは、謝罪と感謝を言った後、電話を切ってしまった。私はそれが少し寂しかったけど、逆に嬉しかった。いつも自分のことを言ってくれない人だけど、彼のことを少しだけ知れたような気がして。
「それじゃあ……怪異救出作戦、スタート!」
私は小さく言うと、玄関を飛び出て学校に向かって走り出した。
コメント
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第6話、拝読しました!翠視点で七番くんとの電話のやりとり、すごく良かったです……「なんで会長がありがとって言うの」っていう七番くんの戸惑いと寂しげな声、普段の彼からは想像できない新しい表情が見えてドキッとしました。翠が「拒絶」の能力と向き合おうとしているのも、彼女の優しさが滲んでいて印象的でした。続きが気になります!