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ᜊ_みʓく。ᜊ@物語作成×
14,245
詳しい注意事項は1話をご覧下さい🙇♂️
3000文字くらいあります
「紫苑殿…どこへ行かれるおつもりですか」
💜「…どこへ行こうが構わないだろう」
「藩を守ってくださいと、伝えましたよ」
💜「……あぁ、守ってるよ」
💜「守れるんだよ…もうじき」
「いつまであの嫡男を探すのですか、お父上も望んでいないはずですよ」
💜「十五日は待つと言った」
「…はぁ、あと3日です」
1日、また1日と時間だけが過ぎていった。数年前に行方不明になった嫡男を探す、など誰が見ても現実味がない。見張りを強化され、何かしようとすれば疑われる。
絶対に見つけなければいけないのに、証拠をださないといけないのに。
今日だ。今日は、外へ行く奴が多く俺が見られることも少ない。今日、隙を見てあそこに行くしかない。
.
.
.
💜「頼む、待ってて」
「紫苑殿」
💜「っ…」
「もう、子供ではないんですよ」
💜「…父上の望みじゃないのも、藩のためにはこんなことしてる時間がないことも……お前に迷惑をかけてる事も、分かってる」
💜「ちゃんとやるから…今日だけ、今日で最後にする、から」
「……紫苑殿。私は、1番近くであなたを見てきました。」
「父上がお亡くなりになって、あなたが藩主になってからもずっと」
「……あなたを信じますよ」
「今日、あなたが藩を前に進めてくれることを信じます」
💜「…あぁ」
掠れた声しかでなかった。俺一人の行動で藩がどうなるかなんて、こいつが1番よく分かっているのに。
💜「…必ず、恩は返そう」
_____________________
屏風の向こうに行くのに、いつもより時間がかかった。もう何日もあの声も、琴の音も、聞いていない。
証拠どころか、彼奴は俺の事をまだ想っていてくれてるだろうか。彼奴はまだ、自分が身請けされることを諦めているのだろうか。
いや、時間が空いた分前よりもっと、期待なんてしていないだろう。
不安が止まない中でも時間は進んでいくのだ。一刻も早く話をつけるために、一刻も早く会いに行くために、足を動かした。
💚「っ……!!」
💜「随分時間が空いたな…俺の事覚えてるか?」
💚「……忘れるわけないでしょう、」
💚「紫苑様は、全て忘れてしまったんですか」
💜「悪かった、冗談だよ……早くお前に会いたかった。長い間空けたから、不安だった」
💚「…ずっと、待ってました」
💜「ごめんな」
💚「…はい」
💚「…次会えるのは、いつ頃ですか」
💜「……」
💚「身請けの話が次々来るんです」
💜「っ…」
💚「私はある程度の地位を持っているので断れます、ただ…時間の問題です」
💚「……ごめんなさい、私には、あなたの元へ行く勇気なんて」
💜「…その手に持っているものを見せてもらえるか?」
💚「ぇ、なんの、話でしょうか」
💚「やだ、私紫苑様の前なのに私物を出すなんて……ご無礼をお許しください」
💜「気にするな、心を許してもらえてうれしい」
💜「お前の話を、聞かせてくれるか?」
💚「……これは私が捨てられた時から持っていたもの、だと思います」
💚「捨てられたのに、どうしてもこれを手放せませんでした…御守りとしてずっと持っているのです」
💚「あなたが来ない間も…不安に感じる時はずっと持っていました」
💜「それを、見せてくれないだろうか」
💚「っ、同情はいりません…ようやく会えたと思ったら何のおつもりですか」
💚「捨てられたのにこれを持っている私は、惨めでしょうか」
💜「違う、違うんだ」
💜「身請けの話で、それがあれば…お前を身請けできるかもしれない」
💚「何を…」
💜「頼む、お前と…一生を終えたいんだ」
💜「時間が空いてすまなかった…ずっと、声を聞きたかった、会いたかった」
💜「もう、離れたくない」
💚「っ、そんな…、これで最後みたいな口ぶりで話さないでください」
💜「……すまない」
💚「…え、」
💚「嘘と、言ってください」
💚「っ……私は、」
💚「単純で、世間知らずです。悪い人に唆されたとしても、疑うすべなどありません。ましてやそれが、愛する人なら尚更。」
翡翠花魁は、震える手でその御守りを見せてくれた。これがもし、橘家と違うものだったら、関係がなかったら。もう二度と会えなかったら、最悪の自体が次々と頭によぎった。
💜「…ありがとう」
ここで逸らしては次に進めない、こいつをここから出すことはできない。藩主である限り、ここから逃れることもできない。
俺は藩主であり、藩を守る義務がある。俺個人が幸せにならなくとも。
翡翠花魁、すちをここから出して、藩も守る。
あいつが信じてくれたように、俺もこの状況を信じると決めよう。
💜「……っ、あ、あぁ」
💜「これ、だ…橘家」
急いで持っている資料の家紋と照らし合わせた。間違いなく、橘家の家紋だった。
幼い頃に行方不明になった嫡男、こいつが知らずにずっと持っていた御守り。
この作りからして、偽物であるはずがない。
💚「どうされたのですか、紫苑様」
💚「本当に、二度と会えないのですか」
💜「…いや、逆だ」
💜「今すぐ、お前を…翡翠花魁を身請けする」
💚「何故……それはっ」
💜「婚儀の話が来てたんだ」
💜「資料を見てたら…幼い頃に行方不明になった奴の名前が見つかった」
💜「橘、すち」
💜「聞こえたお前の名前と一致したんだ……状況も、すべてが」
💚「、うそ……」
💜「お前は橘家、名家の嫡男だった」
💜「恐らく捨てられたんじゃない……攫われた」
💜「その御守りは、両親がもたせていたものだろう」
💚「……そんなの、信じられません」
💚「私は紫苑様の考えていることが分かりません…」
💚「会えただけで、嬉しかったんです…っ」
💜「ごめん、ごめんな」
💜「遅くなった、許してくれ」
💜「お前が持っている家紋が……すべての証拠だ」
💜「お前に考える時間を与えてやれなくて悪かった……お前の人生を、選ばせてやれなくて悪かった」
💜「……っすまなかった、翡翠花魁」
💚「…お願いです、紫苑様だけは、笑ってください」
💜「お前も涙を流しているだろう、」
💜「ごめん……俺と、一緒に来てくれないか」
💜「俺の隣にいて欲しい」
💚「紫苑様……謝らないでください」
💚「考える時間なんて結構です」
💜「っ……」
💚「あなたがいない間……ずっと一人で考えていました。覚悟は…できています」
💚「禿……あの子達にも、教えられることは全て教えました。子供というのは…全てお見通しみたいなんです」
💚「あなたと一緒に、生きていいのなら……それが私の本望です」
💜「……っあぁ、あ、よかった、一緒に、」
💜「橘すち、お前のことを愛してる…誰よりも、ずっと」
💚「この世で1番、紫苑…いるま様の事を、お慕いしております」
.
.
.
.
.
.
屏風の向こうにはもう、翡翠の髪は見えない。
穏やかに話す声も、琴の音も聞こえない。
残ったのは、鈴を転がす声で話す二人の少女の姿だった。
「橘って木はね、冬でも葉を落とさないんだって。翡翠姐さんが教えてくれたの」
「翡翠姐さん、元気だといいね」
「きっと幸せに暮らせるよ、だってあんなに優しいんだもん」
「ねえ、大きくなったら緑色の簪付けてもらおうね」
橘の花言葉:追憶 永遠の愛 敬愛
第一章 翡翠 終わり
コメント
4件
🌾失礼しにゃすっ.ᐟ.ᐟ 最近🌾できてなかったですすいません… ついに翠彡身請けするんだぁ…… 実は嫡男っていうストーリーも完璧すぎますにゃっ….ᐟ.ᐟ 一章完結ってことは…… 2章も期待していいってことですか(( ほんとに作品が神すぎますにゃっ.ᐟ.ᐟ 次回も楽しみですにゃっ.ᐟ.ᐟ
ああ〜、もう、泣きそうになったわ……。紫苑が必死に翡翠花魁を守ろうとする姿と、その翡翠花魁がまさか名家の嫡男だったっていう展開、マジで美しすぎる。御守りの家紋が証拠になるって伏線、ここで回収するんだね。ずっと待ってた想いが実ってよかった……「俺と一緒に来てくれないか」の台詞に全部持ってかれた。最終話じゃないんだよね? 続き見たすぎる🔥